ナチュラルで涼しげなかごバッグ。ずいぶんと昔から夏の定番アイテムですよね。オードリーやバーキンのかごスタイルは永遠の憧れだし、今やフレンチシックの王道ともいえる存在。おしゃれな人は夏に限らずオールシーズン持っています。にもかかわらず私は、今までかごバッグをひとつも持たずに生きてきてしまった。しかも去年の夏に自分がどんなバッグを持っていたかさえも思い出せない。ちょっとこれはいろんな意味でヤバイかもしれない……。そんなわけで降り止まない雨の中、夏の足音を感じながら、人生初のかごバッグ探しに本気出しました。
運命の一品はわりとすぐに見つかりました。決断の早さだけは、学生時代からの取り柄です。「イネス・ブレッサンド」というフランス人の同名デザイナーが手がけるブランドのショルダーバッグ。壺のような花器のようなフォルムに、一瞬で心を奪われました。天然素材とは思えないほど彫刻的でコンテンポラリーなデザイン。でも顔を近づけてクンクンすると、ストローの素朴な香りが漂ってきます。そのまま目を閉じれば、頭の中に広がる情景は夏休みに訪れた田舎のおばあちゃんの家。洗練された佇まいに、ノスタルジーがたっぷり染み込んでいます。
懐かしい香りの正体は、まだ見ぬガーナの地で採れたエレファントグラス。茎が丈夫なので耐久性があり、型崩れの心配もありません。イネス・ブレッサンドのバッグは、ガーナの職人による手編みでベースがつくられたあと、フランスのアトリエでデザイナー自身が最終的な成型とストラップの取り付けを行います。つまり、職人とデザイナーの共同作業によるオールハンドメイド作品。バッグに触れるたび、製作に携わった人々の手のぬくもりが伝わってくるようで、日常のふとした瞬間に思いもよらない小さな幸せを感じます。
しなやかな麦藁色のかごと漆黒レザーのモードなコントラストもまた素敵。プレーンなトップスに添えるだけで、おしゃれ度がぐっと上がります。このバッグは、京都にある「keiokairai(@keiokairai)」というショップで購入しました。フィンランドをはじめ世界各国の雑貨や洋服、家具が集まる、私の大好きなお店です。オンラインストアもあるので、ぜひのぞいてみてください。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。