「90年代の香り」を思い出すファブリックスプレー #深夜のこっそり話 #1320

10代の頃、古着屋のにおいにすごく憧れていた時期がありました。当時は古着全盛期の90年代。私の地元にも勢いのある店がたくさんあったのですが、どこも決まって「ガーネッシュNo.8」というお香が焚かれていたんです。ほんのり甘くてエキゾチックな香りがしみついた古着は、外国っぽい雰囲気をいっそう醸し出し、ひときわおしゃれに見えました。古着屋のにおいを家でも再現したくて、実家のせせこましい自分の部屋でガーネッシュをモクモク焚き、母によく叱られたものでした。あゝ、青春の香り……(遠い目)。

あの頃の思い出を引きずってか、今でも服に香りをまとわせるのが好きです。20代の頃は残り香まで主張するくらいの強さを求めていましたが、気がつけばやさしさに包まれたいお年頃に。これまでいろんな「さりげなくいい香り」を試してきましたが、今のところ私的ナンバーワンフレグランスは、UNUSED(アンユーズド)のファブリックスプレーです。インセンスブランドKUUMBA(クンバ)とのダブルネームというだけあって、そのクオリティはさすがのひとこと。ローズのフローラルなノートが弾けたあと、パチョリのウッディな香調が続き、最後はアンバーの軽やかな甘さが漂います。その奥行きの深さは、さながらお香。どこか懐かしく、かつて愛用していたガーネッシュNo.8にも通じるものがあります。それでいて使い心地はとても爽やか。おまけに除菌や消臭効果もあって、文句のつけようがありません。

ファブリックスプレーといえば、森林をイメージしたナチュラルな香りやサボンのような清潔感のある香りが多い中で、これは明らかに一線を画しています。昔憧れた古着屋のにおいを思い出しながらも、ほかにはない新しさを感じる。まさにアンユーズドらしい香りだなと思います。最近はこのスプレーをシュッとするたびに10代の頃を思い出し、つかの間のノスタルジーに浸っています。

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エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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