エシレのバター。言葉にするだけで魅惑的ですね。実は学生の頃、日常的に避けていたのがバターと揚げ物でした。なんて禁欲的だったのだ、と今では思うのですがその当時はダイエットが心の大半を占めていて、トーストは何もつけずそのまま食べていた思い出が。だんだん体の適量がわかり、今でこそバターは適度に食べていますが、その当時の名残かちびちびと塗ってしまいますね。
前置きが長くなりましたが、先日ある本に導かれて思わずエシレのバターを購入。その美味しさから、なんて贅沢な食べ物なんだと改めてその魅力に開眼しました。その本とは、本屋で見かけて手に取った『BUTTER』(柚木麻子著、新潮社刊)。ご存じの方も多いかもしれないですが、週刊誌で働く主人公の女性記者が、拘留中の容疑者(結婚詐欺の末、男性三人の殺害容疑で逮捕された女)との初めての面会で、バター醤油ご飯を作るように言われるのですが、バターはエシレというブランドの有塩タイプを、冷蔵庫から出したて、冷たいまま。と食べ方まで細かく指示されるのです。主人公はすぐに実行し、その食するシーンの描写がとてつもなく興味をそそり、これは食べなくては!という使命感までも感じました。
エシレのバターそのものを味わうため、プレーンなフランスパンにつけると、なんとも甘く、ふんわりと軽やかに口の中でとろける、これこそがごちそうと言える多幸感を得られます。食べすぎると後悔してしまう禁断のバターを適量で楽しむ、これこそが大人のたしなみかと一人納得し“大人になって好きになったもの”に認定。美味しすぎるとなかなか適量に、というのが難しいので、大人になってこそ、その美味しさと上手に付き合えるようになる、というところでしょうか。
ちなみに『BUTTER』というこの本もねっとりと中毒性が高く、主人公の女性が、容疑者に翻弄され9キロ増量するのですが、私も読み進めるうちに同調して体が重くなったような...。料理との向き合い方に加え、自分を追い込みすぎないこと(社会が大きく変わろうとしている今だからこそ強く感じたのかもしれません)、人との上手な距離の取り方など、すべてにおいて自分にとっての適量をつかむことが大事だとバターは教えてくれた気がします。
エシレのスイーツも見逃せない!
ウェディングとファッション担当。淡々としてますが笑い声だけよくとおります。好きなものは夕暮れとボサノバとチョココロネ。