世界的な編み物ブームの中、「ダーニング」に出合った！ #深夜のこっそり話 #2116

ダーニングされたコートの写真に釘付けに

家族の愛読誌「毛糸だま 2024年冬号」をふと手にとり見ていると、その中の１ページに心奪われました(毛糸だま冬号　掲載作品ギャラリー14枚目の画像）。ダークチョコレートのような深いブラウンカラーの、仕立てのよいステンカラーコート。よくよく見ると、衿や裾を中心に紺、紫、グレーのグラデーションで刺繍が施されています。（後で別物と知りますが、最初は刺繍だと思いました。）勝手に妄想すると、「ベルギーの夜の森」イメージで、美しいのです。もくもくしたところは森の精霊?! 抽象的なデザインも好み。その余韻を楽しんだあと、改めて誌面を見てみると「野口光の、ダーニングでリペアメイク」と連載タイトルが書いてあります。

「お直し」とは違う「ダーニング」！

調べてみると、「ダーニング」とは「繕う」という意味を持ち、欧米では古くから行われている針仕事。とはいえ、一般的なお直しとは別物です。現物を見ると、ただの繕いではなく、もはやデザインであり、アートワーク。記事の中の野口さんの文章に「傷みを気にして着られない『一生もの』では残念すぎます」とありました。まさにそうです。

また、野口さんのポリシーとしては傷みが見えないように植毛することはないと書かれています。先のコートにはくるっくるのループを使ったテクニックで、立体的な表情やぬいぐるみ的な優しい印象を加えたとありました。着るのが楽しみになるようなワクワク感がプラスされ、シックで上品です。

野口光さんの原宿でのイベントへ

すぐさま、どんな方なんだろうと気になり、野口さんのインスタグラムを調べてみると、運よく原宿でイベント中。ということで、駆けつけました。会場は半分のスペースでレッスンが行われ、半分は展示スペースで、幅広い年代で賑わっています。野口さんのニットマフラーやミトンをしている男性の姿も。

未来のダーニングをイメージして、ミトンを購入！

ダーニングの材料や本が置かれる中、イギリスをはじめ世界でテキスタイルデザイナーとしても活躍する野口さんのオリジナルニット製品も展示販売。手持ちのコートとの相性などを考え、悩みに悩んでPOPなグリーンのミトンを選びました。シンプルなネイビーコートのスパイスになってくれそうです。そして、このミトンにいつか自分でダーニングする日が来るのかと思うと、毎日手を通すのが楽しみになります。

正直、野口さんのダーニング作品を見たときには、「このダーニングしたものを買えないのかな……」と思うほど気に入りました。森岡書店のイベント、伊勢丹のPOPUPなど、日頃チェックしているところで活動されていた野口さん。今まで出会えなかったのが不思議なくらいですが、今回魅力と刺激をたっぷりいただいたので、いずれチャレンジしたいと思います。最後になりますが、野口さんの「毛糸だま」の連載の文章も素敵でした。編み物好きの方はご存じとは思いますが、手にとって読んでいただきたいです。