いつの間にか秋になっていたので、もう20年以上愛用しているトップスの出番です。といっても、毎年買い足しているとかではないのですが、ちょうど最近、コレクションに新入りが加わったところなので、ご紹介させてください。
といっても初代は15年以上着倒した結果、派手に裂けてしまいやむなく処分したので手元にはありません(泣)。ですが、出合った時のことは今でも覚えていて。丸の内での仕事の日、昼休みに立ち寄ったA.P.C.で、ちょっとレトロな感じのブラック×ホワイトのストライプ柄トップスに一目惚れ。ヘンリーネックのカジュアルさも良いな、と思い、すぐさまレジへ。たぶん店を出る時にはニヤけていたんじゃないかとさえ思います。
その後、仕事で60年代フレンチシネマについて調べていた時、いくつか似たようなトップスを見かけてびっくり!
ジャン=リュック・ゴダールの名作『軽蔑』をご覧になった方は、劇中でブリジット・バルドーが着ていたピンクのトップスに見覚えがあるでしょうか。バルドーならではのコケティッシュなスタイリングも素敵なのですが、私が憧れたのは、カトリーヌ・ドヌーヴの姉としても知られる俳優のフランソワーズ・ドルレアックの着こなし!
なんなら、ヘアメイク含めてこのまま全身コピーしたいくらい。肩肘の張らないどこかユニセックスなムードで、私のスタイルアイコンのひとつです。さらに調べてみると、このトップスはチュニジア発祥で、かつてはフランスやイギリスでも流行していたらしく。A.P.C.の創業者ジャン・トゥイトゥーはチュニジア出身、かつカルチャーへの造詣も深いので、非常に納得しました。
さらに余談で、確か初代を買って12年くらい経った頃、某有名メンズバイヤーさんに「これ、昔A.P.C.から出てたトップスですね」と即座に当てられ、ファッションプロの脳内データベースに恐れおののいた&おしゃれな人の記憶に残る服なんだなあ、と思ったのも印象的です。
しばらくは手放した初代をリフォーム店に持ち込まなかったことを悔やんでいたのですが、3,4年前にふとA.P.Cのルックブックを見ていたら、再びあのトップスを発見し、慌てて即ポチ(時代は流れ、今度はオンライン購入)。同じくらいの時期に似たデザインのワンピースも見かけたので、ついで買いしました。写真上の2着は膝丈ワンピースです。
なお、この記事を書くにあたり、私がおしゃれにおいて最も尊敬&信頼している友人にこのトップスについてふと話したところ、本当の初代A.P.C.版チュニジアントップスは90年代半ばに発売されていて、私が手にしたのは2000年代に復刻されたものだったようです。
最近、ようやくこの服のオリジナルがファディーラというブランドのものだと判明し(判明というか、A.P.C.のタグにもはっきり「A.P.C. FADHILA」と書いてあったのに、長らく意識していなかっただけ……)、日本で買えることもわかり、手に入れたのが冒頭のブルーグレーのカットソーというわけです。
うれしくてサイズ感も見ずに買ってしまいましたが、肩がしっかりしていてゆったりフィットが好きな私(170cm)としては、Mを一枚で着るのはソワソワする! でもジャケットやニットと重ねて着れば全然問題ありません。チュニジアに行ったことはないけれど、あちらではタイトフィットが人気なのかしら。
ちなみに生地はレーヨン混で伸縮性もあるので、着ていてとてもラクなところもお気に入りです。袖口がキュッと締まっていて、食事の時に汚れにくいところも(笑)。
これだけ長いこと愛用すれば、自分の“スタイル”にもなったかしら、と願いつつ、手に入りそうなカラーバリエーションはまだまだたくさんあるようなので、次の一枚はヴィヴィッドな色にしようかな。