職業柄、取材や展示会などでブランドのデザイナーにお目にかかることがあるのですが、デザイナーの人柄を知ってますますそのブランドのファンになるというケースが、私の場合はままあります。商品に作り手の個性があらわれるといいますが、デザイナー本人と直接話をすることで新たな魅力に気付かされることもあり、そのような機会に恵まれているのはたいへん光栄ですし、エディター冥利に尽きます。
1年を締めくくるには若干早いですが、自分が今年買ったもの(おもにファッション関連)を振り返ってみて気が付きました。どちらかというと買い物では迷わない派の私。じっくり吟味してから購入することはあまりなく、だいたいひとめぼれの衝動買いか、デザイナーもしくはショップオーナーのパーソナリティに惹かれて“応援買い”するかの2パターンに分かれます。特にジャパンブランドのものを買うときは後者が多い傾向に(以前ご紹介したCFCLしかり)。
2022年の“応援買い”で、買って正解だったなと実感しているのが_Fot(フォート)というブランドのサンダルです。ブランド自体はミニマルでコンテンポラリーなムードですが、デザイナーの大津亜由美さんは明るくチャーミングで、弾ける笑顔の持ち主。凛としていながらも温もりを感じる彼女の人柄に、ファーストコレクションの展示会で初めてお会いしたときにすっかり魅了されまして、以来いちファンとしてずっと応援し続けています。
大津さんはもともとエンダー スキーマのチームの一員としてご活躍されていた経歴もあり、フォートのアイテムはレザー使いがとにかく秀逸。素材が上質なのはもちろん、シンプルな中にひとさじのユーモアを添えるセンスが素晴らしいんです。
私がこの春に買ったサンダルは、アッパーをヘアカーフで仕上げた、冬も履ける(というかオールシーズン履ける)一足。思わずなでなでしたくなるルックスに心を奪われました。やわらかなレザーが甲全体を包み込み、バックストラップとともに足をしっかりホールド。ライニングもレザーなので、足入れがとてもスムースなんです。弾力のあるクレープソールには程よく厚みがあり、驚くほど軽やかでコンフォートな履き心地!
秋冬のスタイリングにマッチするシックなベージュカラーもまたいいんですよね。デニムとも相性がよく、カラーソックスを合わせればプレイフルな表情に。つま先からちらりとのぞく差し色をアクセントに、足もとのおしゃれを楽しんでいます。
ちなみに、私がこのサンダルを買ったときにはオリジナルのシューズバッグが同梱されていたのですが、箱から出した瞬間にふわっといい香りが漂ってきました。そういえば、以前いただいた展示会の招待状からも同じ香りがしたっけ?と思い、気になって大津さんご本人に聞いてみると、精油をブレンドして作ったオリジナルのスプレーを吹きかけているんだとか。そういう粋な計らいができるところも含めて、やっぱり好きだなあとしみじみ感じたのでした。