ピーター・フィリップス来日、インタビューで読み解くメンズビューティの最前線 

東京を熱狂の渦に巻き込んだ、キム・ジョーンズによるディオール2019年プレフォールメンズランウェイショー。世界中からクリエイターチームが集結した一大スペクタクルは、ショーが始まる何時間も前から始まっている。

今回、ディオールのメイクアップ クリエイティブ&イメージ ディレクターである、ピーター・フィリップスにバックステージで突撃取材。モデルたちのメイクの手を休めている一瞬を狙い、ランウェイメイクアップのストーリーから、昨今のビューティトレンドまで話を聞いた。

Photo by Akihito Igarashi from TRON

 

── 前回来日した時にもインタビューさせて頂きましたね。あの時は、マリア・グラツィア・キウリによるオートクチュールコレクションが発表された時でした。

ああ、そうだったね!あのショー、すごかったよね。ルーフトップで、暴風に吹かれながら歩くモデル。すごく大変そうだった。でも後で動画を見て、なんてドラマティックなんだろうと感動したのを覚えてるよ。

── 2年ぶりの東京ですが、今回はショーの直前に到着されたと聞きました。相当お疲れなのでは?

そうだね、今日も朝から取材や撮影が続いてるでもショーの前の高揚感は、他の何にも代えがたいものがあるね。

── 先ほどメイク台に並んでいた「ディオール バックステージ」のアイテムを使わせてもらったのですが、ファンデーションの使いやすさに驚きました。これってユニセックスで使えるんですよね?

そう、ユニセックス仕様。これまでのディオールのファンデーションは、特定のテクスチャーやカバー力を打ち出していた。「ディオール バックステージ」のアプローチは、それとは全く逆で、ランウェイメイクのように、あらゆるシーンに対応出来るようオールマイティなフォーミュラに仕上げてる。パッケージも、色が分かりやすく、実用性を重視したデザインに仕上げたんだ。

Photo by Akihito Igarashi from TRON

 

── 水のようにライトなテクスチャーなのに、しっかり質感を整えてくれる。薄づきなのに、カバー力もある。まるで夢のような話ですが、本当なんでしょうか?

夢のような仕上がりの秘訣は、重ね付けしやすいフォーミュラ。通常のファンデーションは、重ね付けするとくすんで見えがちなんだけど、極限まで軽く仕上げた「ディオール バックステージ」は、重ね付けしても肌本来の質感が損なわれないんだ。軽く質感を整える程度であれば、体温が伝わりやすいよう指で軽くたたき込むようにするのがいいね。よりカバー力が欲しければ、平筆で肌の表面を滑らせるようにつければオーケー。しっかりカバーしたい人は、面積の広いブラシで磨き上げるようになじませていけばパーフェクト。

── 今回のランウェイでは、ルックでも用いられたロゴを取り入れたアーティスティックなメイクアップが目を引きました。ズバリ、テーマは何でしょう?

「サイバー・シック」。キム・ジョーンズから見せてもらった今回のテーマロゴを、シリコン製のプレートで再現してる。コレクションで打ち出された、近未来的な世界観を表現したかった。一方でベースメイクアップは限りなくナチュラルにして、コントラストを演出したんだ。

Photo by Akihito Igarashi from TRON

 

── 2年前にインタビューした際、記憶に残っているコメントがあります。「SNSによってメイクアップの創造性が飛躍的に高まった」と仰っていたのですが、メンズビューティという観点で見て最近の傾向をどう分析されているのでしょう。

メンズビューティ、ようやくメインストリームになったよね。これも当然、SNSの影響によるものが大きい。今まで世間から「男はこうあるべきだ」という固定概念から解き放たれた、自由な感性の世代がどんどん勢いをつけている。

── 今月号の『シュプール』でもメンズビューティ特集を組んでいるのですが、予想以上の反響に驚いています。個人的には、若い子たちは韓国のアイドルグループに憧れているのかな、とも思うのですが。

面白い視点だね。確かにKポップの影響、あるかもしれない。それを聞いて、90年代に一世風靡したボーイズ・バンド、テイク・ザットを思い出したよ。スキャンダラスなファッションやヘアで有名だったんだけど、当時それを見て新しい時代が来たと胸を高鳴らせたんだ。20年経って、ようやく男性の美意識がメイクアップにも向くようになった。ちょっと遅いんじゃない?とも思うけど、いい傾向だね。

── ファッションからヘア、そしてメイクアップ。これからメンズのスタンダードがどう変わっていくのか楽しみですね。

text:Shunsuke Okabe

バックステージのメイクアップの詳細は下のフォトギャラリ―にてチェック!

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パーツをひとつひとつつけて完成させる。
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サイバーロボットのようなデコレーション
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うなじにはDIORのロゴ。
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ユニセックスに使用できる、ディオール バックステージ フェイス&ボディ ファンデーション 50ml ¥5,508を使用。ディオール バックステージ フルイド ファンデーション ブラシ ライトカバー¥6,480
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ディオール バックステージ ブロウ パレット¥4,320 ディオール バックステージ アイブロウ ブラシ ダブル¥4,320
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ディオール アディクト リップ グロウ¥4104
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