ポスト・マスク時代への希望を表すかのように、にわかに色めき始めた2022年のオータムカラー。多彩なラインナップから17名の心を奪った"推し色"をチェック。新たなビューティトレンドの波に乗れ!
DIOR / サンク クルール クチュール 889
「ひとつひとつが主役級の存在感。なのにどう組み合わせてもサマになる、奇跡の5色」
モデル・椎名美月さん
「再び新しい、オーセンティックな赤を基調にした今季のディオール。それだけに中央の赤は華やかで主張が強いと思いきや、どのカラーともすんなり溶け合うのにびっくり。ほかの4色も異なる質感が美しく調和して"難しいかも!?"と一見躊躇する色合わせでも品よく新鮮にきまります。クチュールのドレスのようにまなざしに自分だけのスタイルを紡いで、シンプルな服も格上げする力を感じる。個人的には中央の赤を下まぶたのキワに細く入れるのが、目もとで秋を先取りできて気に入っています」
喜び、官能、余韻、情熱……赤から生まれるエモーションを表現。サテンベージュやローズウッドがそのドラマを盛り上げて、まなざしに新風が吹き抜ける。
Celvoke / ヴァティック アイズ 13
「乾いたイエローベージュでハイセンスなおしゃれ顔に」
ビューティエディター 小川由紀子さん
「おうど色に近い難しそうな色みなのにハレぼったく見えず、ただただおしゃれなまなざしになるのに惚れぼれ。二重幅にのせると"明るい陰影"が生まれ、色をアピールしながら目もとをクッキリ見せられるのにも感動です。遊び心と強さの両方を印象づけられ、ついこればかり手にとってしまう。テラコッタ色にしかり、アーシィトーンはもはやセルヴォークの代名詞ですね」
くすみ色の洒落感だけを活かし、実際にはまぶたをくすませないこだわりの処方。植物オイルが肌への密着感を高めて長時間ヨレにくい。
FASIO / パーマネントカール マスカラハイブリッド(ロング)101
「目力と色遊びを両立できるブルーのさじ加減が絶妙」
ヘア&メイクアップアーティスト 渡嘉敷愛子さん
「パキッとした発色のカラーマスカラは目を小さく見せがちですが、このスモーキーブルーなら瞳の印象を引き立てながら色を楽しめる。そして、どんなスキントーンやファッションにもすんなり溶け込んで使いやすい! 繊維たっぷりでフサフサになるのに重ねても軽やかで、発色を自在に操れるのも魅力です。鮮やかな色のまつ毛に飽きてきた人へ」
まつ毛に密着する凹凸のある繊維を採用。時間がたってもポロポロ落ちてきたりせず、でもお湯と洗顔料でオフできる。
NARS / ソフトマット ティンティッドリップ バーム 00366
「彩度の低いブラウンで最高にモダンな表情に」
ヘア&メイクアップアーティスト Rie Shiraishiさん
「今年の秋冬はダークカラーのリップが復活の兆し。この温かみのない沈んだブラウンにはひときわ目を奪われました。クールな色みながらバームならではのシアーなマット感でつけやすく、ひと塗りでメイクアップがモードに研ぎ澄まされる。重ねる回数で印象が変わり、幅広いスタイルに合わせられるのも魅力的」
昨年即完したヌードカラーの限定シリーズが定番復刻。なめらかな潤いも上々。
SUQQU / メルティング パウダー ブラッシュ 09
「可憐な柔肌に仕立てる、感動モノのベージュピンク」
メイクアップアーティスト 有泉志乃さん
「つけた瞬間ふわりと肌に広がり、心地よさすら感じるほど。肌に見事に溶け込んでにごらず、等身大の愛らしさをかなえてくれます。サラッ&スルッと軽さを極めたパウダー。そして肌に磨きをかける付属のブラシのクォリティにも感涙。ほかのチークのベースにすれば、リアルなツヤと立体感を簡単に演出できてよりランクアップした仕上がりに」
にじんだようなツヤめきをもたらす新湿感チークの新色。イノセントなベージュに繊細な光沢のピンクパールを浮かべ、ほんのりと紅潮したような頰へと導く。
ADDICTION / ザ アイシャドウパレット 006
「レッドニュアンスに偏光パールが瞬く、ラグジュアリーなモード感がまさに"今"」
メイクアップアーティスト・Tamayo Yamamotoさん
「今季のまなざしは少しだけゴージャスに仕立てたい。まばゆいゴールドやルビー系のレッドは実に今年らしく、でも決してギラつかない洗練された輝きが見事です。そして重ねてもにごらず、深みだけを増してゆく。デイリーに使いやすく、でも確実にワンステージ上の自分に見せてくれます」
代々受け継がれるジュエリーやドレスなど、流行に左右されず輝き続けるタイムレスなものをテーマに。普遍的に美しい色みを質感でアップデートしたアイパレットは、これからのメイクアップのニューベーシックに。
TIPS
ゴールド(左上)を目のキワから眉下まで広げ、マットなトープ(右上)を上まぶたのくぼみまでレイヤード。ルビーレッド(左下)をアイホールに重ね、下まぶたのキワにも細くオン。赤みのブラウン(右下)を二重幅に入れ、目尻はスッとのばす。下まぶたの目頭側⅓にゴールド(左上)をのせ、そのまま目頭を「く」の字にマーク。赤みのブラウン(右下)を下の目尻側⅓のキワに重ねて。
GIVENCHY / プリズム・リーブル・ハイライター 11
「天使!? と疑いたくなる、イノセンスと愛らしさ」
メイクアップアーティスト 松井里加さん
「ハイライターには珍しいルースタイプと青みピンクのグラデーション。それがチーク未満の艶やかな血色を生み出し、大人でも本当に可愛い顔になれるんです。広範囲にのせれば、泣き腫らした後の少女のようなピュアさが。仕事を抜きにして自分でも使いたい!」
肌にスポットライトを当てたような発光感を。
clé de peau BEAUTÉ / ル・レオスール デクラ 21
「オパールの多彩な光で、肌が格段にきれいに」
ビューティエディター 平 輝乃さん
「京セラとのコラボで実現した合成オパールを化粧品に初配合した技術力の高さに驚き。繊細に重なるブルーや白、ピンクの光は、肌の色を問わず美しくボトムアップしてくれます。頰からこめかみにふわりとのせれば、マスクの日でも表情が生き生きとしますよ」
天然宝石と同じ性質を持つパウダーが360度どこからも目を惹く輝きを実現。
RMK / オブスキュア テンプテイション アイシャドウパレット 01
「リアルな影になりかわる、計算ずくの赤みに脱帽!」
ビューティエディター・浦安真利子さん
「よくあるバーガンディと思いきや、つけると全然違う。赤とブラウンの配色の妙で、いわゆる影色よりもずっと自然に彫り深な目もとを演出できます。黒髪&ぱっつん前髪の私でも赤みが個性派な印象にならず、モダンに見えるのがうれしい」
ピュアで媚びない、ナイーブな色気をかなえるニューレッドを追求。繊細な粉でしっとり息づく。
DECORTÉ / ルージュ デコルテ リキッド Foggy rouge 17
「ブラウンを秘めた赤が今季の装いにベストマッチ」
SPURビューティ担当 編集H
「ココアのようなぬくもりを秘めたレディライクな赤が粋。この秋トレンドのシックな装いに抜群に合うし、顔に深みとメリハリが生まれます。表面はさらり、内側には湿度を感じるテクスチャーは、これぞマットリップのファイナルアンサー!」
塗って50秒間乾かすことで膜が唇にしなやかにフィット。長時間色移りを防ぎ、加湿されているような心地よい潤いが続く。
dejavu / ラッシュアップE クリアネイビー
「まなざしに奥行きをもたらし、白目をクリアに見せる洗練の青」
メイクアップアーティスト&ビューティディレクター MICHIRUさん
「うぶ毛までキャッチして端正なシェイプへと導くこのマスカラがもともと大好き。限定色の透明感あふれるネイビーもすぐ手にとりました。色みも仕上がりもまるで地まつ毛のようにナチュラル。それでいて品のいい吸引力が出て、接近戦の撮影にヘビロテ中」
まつ毛を際立たせる深みのあるネイビーにブルーをプラス。強さと抜け感を同時にもたらす。
KANEBO / ポップタップジェリー EX1
「指でサッと塗るだけで、こなれた洒落感が」
スタイリスト 丸山佑香さん
「ピンクに偏光するパーリィなベージュはテクなしでつけても本当におしゃれ。まぶたや頰になじみつつもキラめきはきちんと感じさせる、成熟した大人にふさわしいラメ感です。自然光の下でも美しく、眉にのせていても褒められますね」
ぷるぷるのジェリーが表情にときめきとうるツヤをオン。目もとにも頰にも使えるマルチカラー。ほかのシャドウに重ねても。
THREE / ネイルポリッシュ 133
「ほんのわずかにグレーの気配をはらんだ〝秋の白〟」
ビューティエディター 前野さちこさん
「ネイルというファッションと関係の深いアイテムにおいて、今季のムードにジャストな一色。どこか眠たげなアンニュイな白は、にわかに気になっているピンクやクールなモノトーンの装いにも"絶対合う!"と確信。音を色で表現したというコンセプトにも惹かれました。この繊細な発色を最大限味わうべく、単色塗りで潔く仕上げたいです」
マットな白にやわらかいグレーをひとしずく。本企画でも多くのビューティプロが名を挙げた、フレキシブルでいて凛とした意志のある未知の色。
YVES SAINT LAURENT/ ルージュ ピュールクチュール ザ スリム ベルベット ラディカル 314
「赤茶ではなく〝茶赤〟が今の気分にクリティカルヒット」
ビューティエディター 森山和子さん
「シックだけど暗くならず、赤すぎないからデイリーにつけやすい。肌のトーンや服のテイストを問わず、どんな人にも自信をくれるエンパワメントなカラーです。むっちりとしたマット感で、上唇の山だけオーバーぎみに塗るとちょっぴりふてくされた感じになるのもなんだか可愛い。カジュアルな装いにも、強さが欲しい日にも、大活躍です」
唇に軽やかにフィットして乾きを知らない、スフレマットな質感のシナモンレッド。ヴィンテージライクな佇まいも旬。
LUNASOL / スタイリングアイブロウ マスカラ EX02
「主張しすぎず眉があか抜ける、前代未聞のダリアカラー」
ビューティエディター 安井千恵さん
「ピンクともモーヴともパープルとも違う、ブラウンに微細なレッドパールを潜ませた色。まさに色名のドライダリアのようで、眉に秋めいたやわらかなニュアンスが生まれます。パンツスタイルが多いので、表情がやさしげに見えるのがすごくいい。毛流れを整える力が高く、眉をほどよくキリッと見せてこれ一本でもサマになる点も素晴らしいです」
アイシャドウと色調を合わせたくすみカラーにパールの光沢を加え、ひときわ軽やかな彩りを実現。地毛の質感を活かしつつハリ感アップ。
Amplitude / コンスピキュアス ネイルカラー EX-06
「媚びず、可愛くならない。切れ味のよいピンク、尊い!」
ビューティライター 摩文仁こずえさん
「大人にこそ似合うピンクにようやく巡り合えました。あざとい可愛さの代わりに穏やかなやさしさを感じさせ、生活感を払拭しながら、洒落感をくれる。コンサバに転ばない貴重なピンクのネイルは、ノンパールだけれどムラにならないなめらかな液も至高です。目にするたび気分が上がり、つい手肌をいたわりたくなる。数本フレンチ塗りしても素敵」
思い描いたのは’60sの女優が好んだような、美意識とモード感、ハッとさせる強さのあるピンク。均一なマット感とピュアな青みが新鮮。
CHANEL / ルージュ アリュール 212
「シャネルならではの品格を感じる、スキントーンの延長線上のブラウン」
メイクアップアーティスト・Kie Kiyoharaさん
「以前にはやったのが主張の強い王道ブラウンとすれば、今年のトレンドはウェアラブルなブラウン。その中でも肌の色にインスピレーションを得たこのカラーは、ほんのりシアーな質感、くすみ具合、黄みと赤みのすべてがちょうどいい。スルスルと均一に広がって、ヨレたり溜まったりせず、品を伴ってスタイルの一部になるのはさすがです。目もと6:リップ4くらいのパワーバランスで仕上げたい、今シーズンの気分にぴったりの逸品」
あらゆる肌を美しく引き立てるよう計算された、ルージュとネイルのコレクション「SETTHE TONE.」が登場。その中でもひときわ深い、温かさに満ちた褐色シェード。血色と陰影、今の空気のすべてを呼び覚ます。
TIPS
ラフに直塗りした後、唇のアウトラインを指で叩いて軽くなじませて。
SOURCE:SPUR 2022年9月号「美容賢者が、絶対買いの秋新色を語り尽くす 私の"推し色"ここにあり!」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉(model: still), Kenta Sato(cutout) make-up: Tamayo Yamamoto (p.136), Kie Kiyohara 〈beauty direction〉(p.134〜p.135, p.139) hair: Miho Emori 〈KiKi inc.〉(p.134), HORI 〈BE NATURAL〉(p.134〜p.135, p.139) styling: Yumeno Ogawa model: MINYOUNG edit: Yukiko Ogawa