日々進化を遂げ、多彩な広がりを見せるカラーコスメティックスについてのクロストーク。服のトレンドも踏まえ、美容とファッションを知り尽くした3人が集結

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3人のモード・プロが分析! 2024年をにぎわせたカラーメイクアップ

日々進化を遂げ、多彩な広がりを見せるカラーコスメティックスについてのクロストーク。服のトレンドも踏まえ、美容とファッションを知り尽くした3人が集結

森山和子さんプロフィール画像
ビューティエディター森山和子さん

コスメティックスへの膨大な知識量と愛情は右に出るものなし。"デパコス"はもちろん、"プチプラ"や海外コスメまでとことん深掘りする。2024年は、久しぶりに黒マスカラに回帰。

丸山佑香さんプロフィール画像
スタイリスト丸山佑香さん

自身のキャラクターとリンクする、モダンで遊び心のあるスタイリングに定評が。韓国ビューティにも精通しており、気に入ったものは迷いなく色ち買いする派。マットリップ好き。

KIE KIYOHARAさんプロフィール画像
メイクアップアーティストKIE KIYOHARAさん

パーソナリティを生かした丁寧な肌づくりと鮮度の高いメイクアップが持ち味。アイブロウやリップに強さを出すのが好きだったが、2024年はアイシャドウのよさを改めて実感中。

主張のあるメイクアップを自由に楽しんだシーズン

2024年のトレンドで記憶に残っているのは?

森山(以下MO) ここ数年、いわゆる流行りの色があるというよりは、各ブランドがそれぞれの推しを打ち出し、使う側に取捨選択が委ねられている。その傾向が、より色濃くなった気がします。

KIE(以下K) SNSなど情報源も多く、全体的に化粧が上手な人が増えました。アイテムを選ぶ審美眼も上がっていますよね。そんな中、今年は顔に“メイクアップ感”が欲しいと感じました。

丸山(以下MA) 同感。以前はリップとマスカラだけだったのに、アイシャドウやルースパウダーを使う機会が増えた。

MO 盛りたい気持ちが高まりましたよね。それで思い出すのが、リップライナーの復活。赤みのないくすみカラーが多く、それを使って少しオーバーリップにするのが今っぽかった。昔はルージュと同じ色を使うのがセオリーだったけど、トーンを下げるのも新鮮で!

 唇のフォルムを調整できるし、それこそさりげなく盛れる。

MO まさか人生でリップライナーを持ち歩く日がくるとは(笑)。個人的にはグロウなリップを塗ることが多かったけど、ツヤ一辺倒だったかといえば話は別。同じ口紅のシリーズでもグロウとマット、のように二つの質感を提案しているブランドが多かった。これも気分や装いに合わせて選ぶ流れですね。

くすみ色のリップライナーが新鮮!(森山さん)

ザ リップバーム ソフトマット 001
ザ リップバーム ソフトマット 001 ¥4,070/ADDICTION BEAUTY

エアリーに色づく白みベージュ。洗練された適度なマット質感。

キャビア リップライナー 01
キャビア リップライナー 01 ¥3,740/ローラ メルシエ ジャパン

唇と一体化するヌードベージュ。

カジュアルな服こそ肌づくりはしっかりと(丸山さん)

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©Getty Images

 一方、肌づくりに関しては、一時期の「ツヤ命」の流れは落ち着き、スムースな質感が主流に。毛穴はぼかすけど厚みはなく、でも高いところには若干ツヤが残る、といった感じ。なので、今年はお粉が活躍しました。

MA プラダのランウェイは、メイクアップまで必ずチェックするのですが、最近は丁寧な肌づくりがされていた印象。私は、クッションファンデーションを長らく愛用していますが、今はセミマット、かつフェイスパウダーをプラスして肌の質感を更新しています。

ネーミング ゼログラビティ カバーフィットクッション
ネーミング ゼログラビティ カバーフィットクッション SPF40・PA++ 全2色¥3,190/Rainmakers

ライトなつけ心地とハイカバーを両立。セミマット仕上げ。

ルース パウダー 00
ルース パウダー 00 ¥6,050/コスメデコルテ

透明感のベールをかけるトランスルーセントカラー。

MO マットといっても、テクスチャーの進化で、塗ると肌の上から消えてなくなるような、“透け感マット”が手に入るようになりましたよね。そしてベースの一環でもあるチークも盛り上がった!

ムース質感でほわっと発色(KIEさん)

グロー プレイ クッショニー ブラッシュ トゥルー ハーモニー
グロー プレイ クッショニー ブラッシュ トゥルー ハーモニー¥4,950/M・A・C

3種のスキンケア成分が、しっとりとなめらかに肌を染め上げる。KIEさんの推しは、どんなメイクアップにもなじむニュートラルなヌードベージュ。

 ムースのようなテクスチャーやハイライトチークなど、面白いものが多かった。頰周りへの意識は、今後も高まりそうな気がしています。

MA 2024-’25年秋冬のプラダのランウェイでは、チークがしっかり発色していて可愛かった。スタイルって服だけで完結しないから、メイクアップとのバランスが大事。

 Y2Kトレンドのような、主張のある服の場合、顔にも色や質感が欲しくなる。でも、リップだけ、アイメイクだけといった一点豪華主義ではなく、各パーツに華を添えたくなった。だから、今年はかつてないほど撮影用のメイクボックスにアイシャドウを入れていました。今まで口もとにポイントを置く派だったので目もとアイテムは最小限だったんです。

MO そうなんですね! ビューティ界隈ではスモーキーメイクが流行るといわれていたけれど、現場での体感は?

 スモーキーアイのように囲む入れ方でも、色をパステルにして遊びを加えていました。アイシャドウパレットは、一色だけ攻めた色が入っていたり、面白い配色のものが増えた印象です。

モードな攻め色入りパレットが気分(KIEさん)

ダイメンションズ マルチエフェクト アイシャドウ 05
ダイメンションズ マルチエフェクト アイシャドウ 05 ¥12,650/プラダ ビューティ

プラダのアーカイブスからインスパイアされた色彩で構成。質感の異なるブラウン系の3色に、鮮やかなスカイブルーがアクセント。

MO ビビッドなブルーとかシルバーブルーとか、青みのアクセントカラーが目立っていましたね。

MA ドリス ヴァン ノッテンの’24-’25 年秋冬コレクションに、すごくキラキラした靴があって、シャイニーなものをまといたい気持ちが刺激されたんです。個人的に服では着ない分、メイクアップできらめきを取り入れていました。年齢を重ねていくと、好きな服が固まり、旬のムードは素材やサイズ感へのこだわりで添える。それだけでは補えない部分をメイクアップで足している気がします。

MO それにしても、ますます流行のスピードが上がっている。“コレいいよね”と話していた次の瞬間にはもう、新しいアイテムへと興味が移ろう。その分、プロダクトを出す側も、これが流行るから塗ってね、ではなく、『ウチはこれが可愛いと思うけど、他のところは違うかも。お好きなものを選んでね』というムードがある気がします。

 同じような服をみんなで着ることがなくなったように、メイクアップも好きに選んで組み合わせを楽しむ流れに。この気分は来季も続きそうです。