2022.09.09

エリザベス女王逝去、バッキンガム宮殿に二重の虹がかかる。英国に「心と献身」を捧げた70年

2022年9月8日(現地時間)、英国のエリザベス女王(享年96)が逝去。在位期間を通して「開かれた王室」を目指し続けた女王の願いは、息子であるチャールズ皇太子(73)に引き継がれる。

英王室のエリザベス女王(享年96)が、2022年9月8日午後(現地時間)、静養先だったスコットランドのバルモラル城で息を引き取った。

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英王室は8日朝(現地時間)、エリザベス女王が健康状態に関する懸念から医師団の管理下に置かれたと発表。一報を受けて、女王の長男で王位継承者のチャールズ皇太子(73)やその妻カミラ夫人(75)、長女アン王女(72)、次男アンドルー王子(62)、三男エドワード王子(58)とその妻ソフィー妃(57)、そして孫のウィリアム王子(40)が駆けつけ、女王と最後のお別れをしたという。

また、2020年に王室を離脱したヘンリー王子(37)は移住先の米カリフォルニア州から短期帰国中で、滞在していたロンドンから約820キロ離れたバルモラル城に駆けつけたものの、お別れには間に合わなかったと、英新聞『デイリー・メール』が報じている。

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亡くなる2日前の6日午後(現地時間)には、イギリスの新首相となったリズ・トラス首相(47)がバルモラル城を訪れ、エリザベス女王に謁見。新首相に任命されたばかり。

新首相の任命は通常、ロンドンのバッキンガム宮殿で行われるというが、エリザベス女王は歩行が困難な状態であるため、静養先の居宅バルモラル城で行われることになったそう。この日女王は杖をついていたものの、リズ新首相といくつか言葉を交わし、元気そうな姿を見せていた。

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女王の体調に大きな変化があったのは約1年前、2021年10月のこと。歩行用の杖をついて公務を行う姿が見られ、同月に開催された国際会議「COP26」への出席を、体調面の懸念を理由に見合わせることを発表した。

また、今年2月には新型コロナウイルスに感染。王室は「風邪に似た軽度の症状があるため、当分の間は(ロンドン郊外の)ウィンザー城内で軽い公務をこなす」としていた。

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女王の逝去に際し、チャールズ皇太子は声明を発表。「最愛の母である女王陛下の死は私と私の家族全員にとって最大の悲しみです。大切な君主であり多くの人に愛された母の死を私たちは深く悼んでいます」と、偉大な母であり、君主であったエリザベス女王を追悼した。

また、70年間にわたって続いていたエリザベス女王の王位は、息子であるチャールズ皇太子に引き継がれ、チャールズ皇太子は女王が亡くなった2022年9月8日(現地時間)、チャールズ3世とその名を改めた。

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女王の棺は9日(現地時間)、新国王チャールズ3世とともにロンドンに戻り、バッキンガム宮殿の王座の間に安置されるという。

女王の逝去から10日間、英国は喪に服し、葬儀の手配はその期間に行われる。

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訃報が発表された直後、半旗が掲げられたバッキンガム宮殿とウィンザー城の上空には二重の大きな虹が。バッキンガム宮殿は女王が生前暮らしていた場所、ウィンザー城は新型コロナウイルス感染症が蔓延してから隔離生活を送っていた場所であり、2021年4月に亡くなった夫フィリップ殿下(享年99)と最後の日々を過ごした地でもある。

現地メディアや英国民は宮殿と城を跨ぐようにかかった2つの虹を「エリザベス女王とフィリップ殿下のよう」と表現し、空を見上げた。

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在位期間を通して「開かれた王室」を目指し続け、英国民に敬愛されていた女王。そんな女王の象徴となってきたのが、毎年12月25日に放送されるエリザベス女王から英国および英連邦の国民に向けてのクリスマスメッセージ。

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1957年12月25日、当時31歳のエリザベス女王が国民に向けたスピーチを初めてテレビで放映したのが始まりのクリスマスメッセージは、以来、英国の伝統として続いてきた。

毎年数々のメッセージを発信し、国民の心に寄り添ってきた女王だが、その中でも女王の英国に対する思いが最も表れている、として語り継がれているのが1957年に初めて放映されたもの。

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初めて放映されたクリスマスメッセージで、「私は皆さんから見れば、かなり遠い存在かもしれません。歴史上の王や女王の後継者であり、新聞や映画で顔を知っていても、皆さんの個人的な生活には全く触れることのない人物です。しかし、今、少なくとも数分間は、私の自宅の平和な空間に皆さんをお迎えできます」と語り始めた女王。

続けて、「今日、こうして皆さんにお会いできたのも、私たちを取り巻く環境が急速に変化していることの一例です。このような変化により、多くの人が迷い、何を持ち、何を捨てるべきか決められずにいることは不思議ではありません」とした上で、次のように結んだ。

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「今、私たちには特別な勇気が求められます。必要なのは、戦うための勇気ではなく、正しいと思うこと、真実や公正なことのために立ち上がる勇気です。私は皆さんを戦いに導くことはできませんし、法律を与え、正義を執行することもできませんが、それ以外のことはできます。私は英国と、その兄弟関係にあるすべての国民に、私の心と献身を捧げます」

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女王が70年間にわたって守り続けた英国および英連邦とヨーロッパ諸国の平和を願う心は、新国王となったチャールズ3世やウィリアム王子、ジョージ王子(9)へと受け継がれていくことだろう。

エリザベス女王のご冥福をお祈りしたい。

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