年間最低の映画を決めるゴールデンラズベリー賞(通称:ラジー賞)は、最低女優賞に12歳の子役がノミネートしたことに批判が殺到したことを受け、ノミネートを撤回。謝罪した上で、今後は18歳未満の俳優を選考対象外にすることを発表した。
年間最低の映画を決めるゴールデンラズベリー賞(通称:ラジー賞)が、最低女優賞にノミネートしていた12歳の子役のノミネートを撤回することを発表した。
アカデミー賞の授賞式の前夜に、「最低」の映画を選んで表彰するラジー賞は、アカデミー賞のノミネート作品が発表された2023年1月24日(現地時間)、同じく今年度のノミネート作品を発表。
しかし、最低女優賞に『炎の少女チャーリー』の主演を務めたライアン・キーラ・アームストロング(12)がノミネートされていることが判明すると、発表直後から批判が殺到。SNSなどを中心に、大きな騒動に発展した。
また、ライアンのノミネートには映画ファンだけでなく、現在子役として活躍しているジュリアン・ヒリアード(11)も激しく反発。「ラジー賞はすでに意地悪で品のない賞ですが、子どもがノミネートするなんて反吐が出るし、間違っています。なぜ子どもをいじめの増加や悪化の危険に晒すのでしょうか。もっと良い賞になって欲しいです」と、苦言を呈した。
そうした多くの批判を受け、ラジー賞の創設者であるジョン・J・B・ウィルソン(68)は「アームストロング氏を我々の賞の候補者に選んだことに対する正当な批判を受け、我々がいかに無神経であったかに気づかされた。(中略)我々は正式に謝罪する義務があると考えており、彼女が傷ついたことを遺憾に思う」と謝罪する内容の声明を発表した。
さらに、ジョンは声明で「この教訓を踏まえ、今後18歳未満の俳優や映画製作者をこの賞の候補としない投票ガイドラインを採用する」と続け、今後は18歳未満の俳優を選考対象外とすることも発表。「誰かのキャリアをつぶそうとしたことは決してない」と、同賞は特定の俳優や映画製作者を貶める意図はないことを強調した。
ラジー賞はこれまでもその存在を疑問視する声が度々上がっており、中でも子役のノミネートについては、11歳の時に『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』に出演した俳優のジェイク・ロイド(33)が以前、同賞にノミネートされたことで「同級生からいじめを受け、俳優業の引退を決意した」と語ったことで、大きな波紋を呼んだこともある。
1981年にスタートして以来、初めて設けられることになった投票ガイドライン。今後は同賞が誹謗中傷の種になることがないことを祈りたい。
ちなみに、今年度のラジー賞、主要ノミネートは以下の通り。
■最低作品賞
『ブロンド』
『ピノキオ』
『グッド・モウニング/人生最悪のハイな1日』
『The King's Daughter(原題)』
『モービウス』
■最低主演男優賞
コルソン・ベイカー(『グッド・モウニング/人生最悪のハイな1日』)
ピート・デヴィッドソン(『マーマデューク』)
トム・ハンクス(『ピノキオ』)
ジャレッド・レト(『モービウス』)
シルヴェスター・スタローン(『サマリタン』)
■最低主演女優賞
ブライス・ダラス・ハワード(『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』)
ダイアン・キートン(『Mack & Rita(原題)』)
カヤ・スコデラーリオ(『The King's Daughter(原題)』)
アリシア・シルヴァーストーン(『ジョーズ・バケーション』)
■最低助演男優賞
ピート・デヴィッドソン(グッド・モウニング/人生最悪のハイな1日』)
トム・ハンクス(『エルヴィス』)
ゼイヴィア・サミュエル(『ブロンド』)
モッド・サン(『グッド・モウニング/人生最悪のハイな1日』)
エヴァン・ウィリアムズ(『ブロンド』)
■最低助演女優賞
アドリア・アルホナ(『モービウス』)
ロレイン・ブラッコ(『ピノキオ』)
ペネロペ・クルス(『355』)
ファン・ビンビン(『355』、『The King's Daughter(原題)』)
ミラ・ソルヴィノ(『Lamborghini: The Man Behind the Legend(原題)』)
■最低監督賞
ジャド・アパトー(『ザ・バブル』)
コルソン・ベイカー&モッド・サン(『グッド・モウニング/人生最悪のハイな1日』)
アンドリュー・ドミニク(『ブロンド』)
ダニエル・エスピノーサ(『モービウス』)
ロバート・ゼメキス(『ピノキオ』)
■最低脚本賞
『ブロンド』
『ピノキオ』
『グッド・モウニング/人生最悪のハイな1日』
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
『モービウス』