1999年5月、ホワイトハウス記者会夕食会にて、エレガントな黒ジャケットスタイルを披露したキャロリン Photo:Getty Images
『アメリカン・クライム・ストーリー』などで知られるライアン・マーフィー(60)が製作総指揮を務める本作は、1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディ元米大統領(享年46)の長男で、弁護士かつ雑誌出版社の経営者だったジョンと、カルバン・クラインで広報を担当していたキャロリンの出会い、恋愛、そして世間の注目を集めた結婚生活を描くもの。公式サイトによれば、エリザベス・ベラーによるキャロリンの伝記『Once Upon a Time: The Captivating Life of Carolyn Bessette-Kennedy(原題)』に着想を得ているという。
英誌『HELLO!』によると、米映画サイト『Rotten Tomatoes』のオーディエンススコアですでに84%という高評価を得たというこのドラマでは、ジョン役をカナダ出身の新人俳優ポール・アンソニー・ケリー(37)が、キャロリン役を米俳優サラ・ピジョン(29)が務めており、ジョンの母ジャッキーこと、ジャクリーン・ケネディ・オナシス(享年64)役はナオミ・ワッツ(57)が演じている。
1996年10月、ニューヨーク・トライベッカのマンションから出てきたところをキャッチされた新婚当時のジョンとキャロリン。キャロリンのペンシルスカート、ブーツ、バッグはプラダのもの Photo:Getty Images
同誌によると、アメリカの王族とも言われ、最も魅力的な独身男性としてメディアを賑わす存在だったケネディ家の長男とキャロリンの結婚は当時、まさにシンデレラ・ストーリーだったという。
1997年7月、ニューヨークのマディソン・アベニューで目撃されたキャロリン Photo:Getty Images
キャロリンはニューヨーク生まれ、コネチカット育ち。英『BBC』によると、1983年の高校のイヤーブックでは「Ultimate Beautiful Person(究極に美しい人の意味)」に選ばれ、ボストン大学在学中の1988年、大学のカレンダーの主役だったとか。卒業後はボストンのカルバン・クラインのブティックで販売アシスタントとして働き始め、やがてニューヨークへ。同ブランドでパブリシティ・ディレクターとして働いていた1992年にジョンと出会ったという。
1997年10月、プラダのコートをまとったキャロリン。米誌『People』によれば、ジョンはカチューシャをしているキャロリンとお揃いにしようと、ヘッドバンドを着用 Photo:Getty Images
交際が発覚してから、2人は全米のイット・カップルとして、メディアを席巻する存在に。世間の過剰な注目を浴び、パパラッチに追い回されることに苦しんでいたというキャロリンは、『BBC』によれば、「スポットライトの中で生きることに慣れた男性と結婚した」という意味で、ダイアナ元妃(享年36)と比較されることも多かったそうだ。批評家たちは彼女を高慢でよそよそしい“氷の女王”だと評し、友人たちは単に名声に慣れていなかっただけだと語ったという。そんな彼女は、わずか33歳でこの世を去ることに。『HELLO!』によれば、1999年7月16日(現地時間)、いとこの結婚式に向かうためジョンが操縦していた飛行機が墜落。同乗していたキャロリンとその姉ローレン(享年34)も命を落とした。
1998年10月、プラダのベルテッドコートをまとい、エルメスの「バーキン」を持って、愛犬フライデーと散歩するキャロリン。ライカのカメラで撮影しているのはジョン Photo:Getty Images
公の場に姿を見せた期間は5年ほどにすぎず、一度も公式なインタビューを受けることはなかったというキャロリン。音声記録はわずか2本、合わせて30秒にも満たないという。スマートフォンもSNSもない時代の彼女のミステリアスなイメージは、時間が経つにつれていっそう強まり、今なお「エレガントで神秘的で、魅惑的な存在であり続けている」と『BBC』は報じている。
1997年11月、細身のサングラスとエルメスの「バーキン」を持つキャロリンとユニークなニット帽をかぶったジョンの姿は、アイコニックなカップルスタイルのひとつ Photo:Getty Images
早すぎる死という悲劇とスター性が相まって、いまも伝説のように語り継がれているのが、1990年代のミニマリズムを象徴するキャロリンの装いだ。米サイト『Page Six』は、今回のドラマがキャロリンのファッションアイコンとしての地位を、改めて浮き彫りにしていると伝えている。
1999年、エルメスの「バーキン」を持ち、パッチポケットのコーデュロイパンツにマノロ・ブラニクのシューズを合わせたキャロリン Photo:Globe Photos/AFLO
生来のシックさはもちろん、削ぎ落とされた装いを極め、シンプルな黒のワンピースさえ個性的に見せる着こなしを心得ていたキャロリン。その唯一無二のスタイルは、映画スターのようなルックスで“アメリカのプリンス”と呼ばれたジョンと並ぶことで、いっそう際立ったようだ。
1998年9月、ロサンゼルスで行われた「Fire and Ice Ball」に出席したキャロリン Photo:Getty Images
ロゴなどを主張せず、黒、白、ベージュなどのニュートラルカラーを選び、プラダやヨウジヤマモトといったブランドを好む、その控えめでクールな美意識は、現代の“クワイエット・ラグジュアリー”ブームの源流ともいわれている。
1999年3月、ヨウジヤマモトのモノトーンルックに身を包み、ニューヨーク・ホイットニー美術館のパーティに出席したキャロリン Photo:Getty Images
『JFK Jr: An Intimate Oral Biography(原題)』の共著者でジャーナリストのリズ・マクニールは、『BBC』にこう語った。「27年近く経った今でも、キャロリンは、ほかの誰もが頑張りすぎているように見えてしまう存在です。彼女には、自分以外の何者かになろうとはしていないように見える何かがありました。シルエットや細部を見る目が驚くほど鋭く、白いボタンダウンに黒のフィッシュテールスカート、ゴールドメッシュのイブニングバッグといった組み合わせは彼女ならでは。信じられないほどクールでした。彼女は完全に独自の美学を持っていたのです」。
1997年1月、ビル・クリントン大統領(79)の就任式へ向かうキャロリン。プラダのベルテッドコートを着用 Photo:Getty Images
また、『People』によれば、スニタ・クマール・ナイール著『CBK: Carolyn Bessette Kennedy: A Life in Fashion(原題)』にこう記されているという。「キャロリンは常に自分らしさを貫いていました。それこそが何よりも大切なルールであり、お金では買えないものです。彼女にはスタイリストもアシスタントもおらず、イベントごとに自分でリサーチし、準備していました」。
1996年10月、ノースリーブの黒タンクトップに、リーバイスのデニムとプラダのサンダルを合わせたキャロリン。腕時計はカルティエの「タンク」 Photo:Getty Images
ワードローブは極めてシンプルで、白シャツ、プラダのローファー、サングラス、リーバイスのブーツカットデニム517、スリップスカート、ロングブーツ、プレーンなタンクトップ、黒やキャメルのロングコートなどが定番アイテム。
1997年1月、揃ってニット帽をかぶったふたり。キャロリンはプラダのコートと同じくプラダのブーツを着用 Photo:Getty Images
ただしコートだけは、ときおりインパクトのあるものをまとっていたことで有名だ。
1997年12月、ヴィンテージのレオパード柄コートをまとい、トライベッカで愛犬の散歩に出かけるジョンとキャロリン Photo:Globe Photos/AFLO
なかでもレオパード柄のフェイクファーコートの着こなしは当時、大きな注目を集めたという。なお、このコートはのちに友人にプレゼントしたとのこと。
1997年11月、ホイットニー美術館で行われたイベントに出席するジョンとキャロリン Photo:Getty Images
またキャロリンは、華やかなパーティやイベントでドレスアップする際でも、ジュエリーはほとんど身につけなかったことで知られている。1996年9月、マスコミを避けてひっそりと行われた結婚式で、当時まだ無名だったナルシソ・ロドリゲス(65)によるウェディングドレスをまとったが、結婚指輪以外のジュエリーは着用していなかったという。
1996年10月、セリマ・オプティークのサングラスとC.O.ビゲロウのカチューシャはキャロリンの定番小物 Photo:Getty Images
そして象徴的とされるのが“氷のよう”と称されたブロンドヘア。普段はラフに下ろしたり、ポニーテールにしたり、太めのカチューシャを合わせたりと、簡単なアレンジでバリエーションを出し、夜のシーンではお団子にまとめるのが定番だった。一見エフォートレスに見えるが、髪色には強いこだわりがあり、カラーリストが「コーンフラワー・ブロンド」と呼ぶキャロリンだけの色味を作り出していたのだとか。
1996年4月、カルティエの「タンク」ウォッチの新作レセプションにて Photo:Getty Images
さらに、ナチュラルな美しさで知られ、ほとんどメイクを施さないビューティールックを貫いていたことでも有名。『HELLO!』によれば、ノーメイクのまま社交の場に現れることもあったという。
1999年5月、ジョン・F・ケネディ・ライブラリー財団のディナーパーティで、キャロリンは珍しくパールのピアスを着用。ふたりが揃って公の場に姿を見せたのは、このときが最後に Photo:Getty Images
90年代らしい細眉と赤のリップがトレードマークで、普段は深みのある赤を好み、ファンたちはそれがボビイ・ブラウンの「Ruby」という色だと特定しているのだとか。
2025年8月、このドラマの撮影中の様子が報じられ、衣装写真がリークされた際には、ファッションが「不正確」だとしてSNSにファンの批判が殺到。「完全に裏切られた」と嘆く声もあったという。あるサイトによると、そうした酷評を受け、番組側は急遽、新たな衣装デザイナーを起用。可能な限り忠実に再現するよう調整したのだとか。
ファンの反発が思いがけず功を奏し、今も変わらずシックに映るキャロリンのアイコニックな装いが大きな見どころとなっている『ラブストーリー ジョン&キャロリン』(全9話)。現在、最初の3話が配信中で、新エピソードは毎週金曜に公開される予定となっている。