2024年1月23日(現地時間)、第96回アカデミー賞の各部門の候補が発表され、『バービー』主演のマーゴット・ロビー(33)とグレタ・ガーウィグ監督(40)がそれぞれの部門でノミネートされてないことに、ネット上でショックや怒りのコメントが殺到。
2023年最大の興行収入を記録したメガヒット作の立役者が、候補にも選ばれていないことを疑問視するメディアの報道が相次いだ。
映画自体は作品賞をはじめ、7部門8ノミネートを果たし、ライアン・ゴズリング(43)は助演男優賞、グロリア役のアメリカ・フェレーラ(39)は助演女優賞の候補に。
しかし多くの予想に反して、プロデューサーと主演を務めたマーゴットは主演女優賞の候補に選ばれず、監督と脚本を手がけたグレタは夫ノア・バームバック(54)とともに脚色賞の候補に選ばれたものの、監督賞のノミネートを逃すという衝撃の結果となった。
このアカデミーの“冷遇”に、セレブたちも一斉に反応。
英メディア『Daily Mail』によると、俳優マンディ・ムーア(39)や歌手で俳優のベット・ミドラー(78)らが、女性を軽視しているとしてSNSで不満をあらわに。シャロン・ストーン(65)は女性がノミネートされず、男性がノミネートされたのは「これもすべて『バービー』の筋書きなのよ」とXで揶揄した。
またフェミニズムをテーマとし、家父長制の規範に挑んだ作品から男性がノミネートされたという“皮肉な展開”に、ファンたちも激怒。ライアンの演技は素晴らしいとしながらも、アカデミーを批判する声が続出した。
そんな中、ライアンは米誌『PEOPLE』に声明を寄せ、「失望している」と発表。複雑な心境を明かした。
「多くの素晴らしい作品がある年に、このような卓越したアーティストたちと共に、同業の方々からノミネートされたことを大変光栄に思います。こんなことを言うとは思ってもみなかったが、ケンという名のプラスティックの人形を演じられたことは非常に光栄で、誇りに思っています」と、喜びから語ったライアン。
「しかしバービーなくしてケンはなく、グレタ・ガーウィグとマーゴット・ロビーなくして、『バービー』という映画は存在しえない」と断言。「この2人こそが新たな歴史を作り、世界的に名を馳せた映画に最も貢献した人たち」だとし、「彼女たちの手腕、気概、非凡な才能がなければ、この映画に関わった誰もが評価されることはなかっただろう」と自身のノミネートが2人のおかげだと思っていることを示唆した。
そして「2人がそれぞれの部門でノミネートされていないことに失望したといえば、控えめな表現になる」と遠回しにアカデミーを非難。
さらにライアンは、「魂がなく、ほとんど裸で、ありがたいことに股間のない人形のカップルだけで、あらゆる予想を覆して、2人は私たちを笑わせ、胸を張り裂けさせ、文化を盛り上げ、新たな歴史を作りました」と続け、「彼女たちの功績は、他のノミネートにふさわしい人たちとともに評価されるべきです」とユーモアを交えながら、毅然と自身の見解を明かした。
「とはいえ、アメリカ・フェレーラや、このような画期的な映画を作るために才能を発揮したほかの素晴らしいアーティストたちのことを、とてもうれしく思います」と締めくくった。
なおアメリカも、グレタとマーゴットがノミネートされなかったことに「信じられないほどがっかりした」と米誌『Variety』に語っている。
映画のプロモーション動画でも「バービーの世界ではバービーが一番で、ケンはただそこにいるだけ」と語っていたライアンは、「ケンはバービーという素晴らしい存在を、ただ見つめる人として作られた存在である」とたびたび主張してきた。
そんなライアンの声明について、英紙『Guardian』は「白馬の騎士が私たちを救ってくれた」と表現。「グレタとマーゴットがノミネートされなかったとき、世界中が迷い、混乱したが、ライアン・ゴズリングが一挙にみんなの不満を代弁してくれた」と報じた。
今回のノミネートは、男性が女性の仕事の手柄を横取りするという『バービー』の中でも描かれそうな筋書きで、ライアンが“悪役”になる可能性もあったかもしれないが、同紙によると、世論を反映して“怒り”を表明し、愛と敬意を込めてグレタとマーゴットを擁護したことで、むしろライアンの株は上がったようだ。
劇中歌『I’m Just Ken』の通り、“僕はただのケン”というスタンスを貫くコメントに称賛の声が集まっているという。
その『I’m Just Ken』はアカデミー歌曲賞にノミネートされており、ライアンは授賞式でパフォーマンスを披露する予定との噂も。
トロフィーの行方も気になる第96回アカデミー賞授賞式は、3月10日(現地時間)、ロサンゼルスのドルビーシアターにて行われる。