第37回アメリカン・シネマテーク・アワードの授賞式に出席した英国の名優ヘレン・ミレン(78)が受賞スピーチを淀みなく読み上げた後、原稿をビリビリと破り捨てるという衝撃の行動に! その場で理由を明かし、観客席から拍手喝采が巻き起こった。
映画『クィーン』(2006年)でエリザベス女王役を演じ、アカデミー賞主演女優賞に輝いたことでも有名な大御所俳優ヘレン・ミレン(78)。2024年2月、ビバリーヒルズのビバリーヒルトンホテルで開催された第37回アメリカン・シネマテーク・アワードの授賞式で、生涯功労賞を授与された。
ロングヘアからアシンメトリーなミディアムボブにチェンジしたヘレンは、ゴールドボタンがインパクトを放つスタイリッシュなブラックスーツに身を包んでレッドカーペットに登場。
このルックはサンローランの2022年春コレクションのもので、アレクシス・ビターのバッグを合わせ、耳元にはブラックエナメルにダイヤをあしらったデヴィッド・ウェブの大ぶりなフープイヤリングを煌めかせた。
米誌『Variety』によると、授賞式では、夫であるテイラー・ハックフォード監督(79)や俳優のピアース・ブロスナン(70)らから、長年の功績と人柄を称えられたというヘレン。
ドラマ『イエローストーン』のスピンオフ『1923』で共演したハリソン・フォード(81)からも短いながら感動的な賛辞を送られ、トロフィーを受け取った後、受賞スピーチを始めた。
原稿を片手に持ったヘレンは、「紳士淑女の皆様、尊敬するゲストの方々、そして親愛なる友人の皆さん、今日この特別な賞を受賞し、皆様の前に立つことができたことを恐縮ながら、心から光栄に思っております。演技という芸術に捧げた生涯が認められたことは、言葉では言い表せないほどの特権です」とスピーチ。お決まりのような文句ではあるが、すらすらとエレガントに読み上げた。
さらに「何よりもまず、この素晴らしい旅路を通して、私を支えてくれた業界と人々に、心からの感謝の意を表したい。情熱と挑戦、そして何よりもストーリーテリングという芸術への揺るぎない愛に満ちた人生でした」と、ときに感情を込めながら話し終えたところで、「そして、これはAIが書いたスピーチでした」と言い放つと、観客席からは驚き交じりの笑いが!
ヘレンはいまいましそうにAI生成によるスピーチ原稿を破り、紙切れをぽいっと床に捨てると、にっこり笑顔を浮かべて、大喝采を浴びた。
人工知能(AI)はハリウッドでも大きな話題のひとつで、業界の多くの役割がAIにとって代わられるのではという懸念から、昨年、俳優や脚本家のストライキでも主要な争点となったことは記憶に新しい。
米サイト『Indie Wire』によると、アメリカン・シネマテークはミニシアター系の映画とアナログな映写方式の保存を支援する団体で、その授賞式はAIへの抗議の意を示すのにふさわしい場だったとのこと。
軽妙なジョークにも受け取れるヘレンの“ドラマティックな行動”は、完璧なまでに効果的だったと評し、生涯功労賞に値する「真のクイーン」だと絶賛した。
そんなヘレンはメガヒット映画『バービー』(2023年)でナレーターを務めたことでも注目を集めたが、グレタ・ガーウィグ監督(40)と主演のマーゴット・ロビー(33)がアカデミー賞のノミネートリストから外れたことについて、意見を表明。
『Variety』のインタビューで、「正直なところ、そんなに腹を立てるようなことではない」と語ったという。
「もちろん、グレタがノミネートされるのは見たかったし、彼女は監督賞を受賞するべきだと思う」と前置きした上で、「『バービー』は、ワーナー・ブラザース史上最高の興行成績を収めたということが素晴らしいのよ」とコメント。
賞を獲得したからといって、人々の記憶に残るものではなく、2023年最大の興行収入を記録したという理由で『バービー』は語り継がれる作品になったと、ベテランならではの見解を示したそう。
同誌によると、ヘレンは『バービー』でカットされたシーンがあることも暴露。そこにはドラマ『ザ・クラウン』でエリザベス女王を演じたオリヴィア・コールマン(50)が登場していたとのことで、「彼女が酔っ払って、誰が英国の真の“大女優”なのかということについて、私と衝突するという、とても面白いシーンだった」と説明。
「オリヴィアは私のナレーターの役割を乗っ取ろうとしたので、私は彼女を追い払わなければならなかったのよ」と明かしたそう。そのシーンを見てみたかったファンも多いに違いない!