2024年7月29日(現地時間)、男子100m背泳ぎで金メダルを獲得し、この種目でオリンピックの表彰台に立った、初のイタリア人となったトマス。そのパフォーマンスはもちろん、水面で見せるセクシーな表情やモデルのような肉体美に、世界中の注目が集まった。
あるXのユーザーは、「いまや彼はホットなだけでなく、オリンピックの金メダリストでもある」と投稿。また別のファンは、「トマス・チェッコンは今回のオリンピックで起きた最高の出来事だ」と書き込んだ。
あるアメリカ人ファンは、イタリア代表の彼が「スクリーンに映し出されると、私の愛国心のすべてが体から消え去る」とユーモラスに綴ったとか。
今回のオリンピックで彼がSNSを席巻したのは、これだけではない。7月27日の夜(現地時間)、トマスをはじめとするイタリア代表チームは4×100m自由形リレーで銅メダルを獲得。TikTokのあるユーザーは、水着姿の彼らを「カルバン クラインのモデル」のようだと絶賛した。
メダルセレモニーでは4人揃って、胸元に大きく国名が書かれたスウェットを着用し、表彰台に登場。トマスがセンセーションを巻き起こしたのはそのときだった。
チームメイトとともに、両手をあげて観客の声援に応えた際、トップスの裾が上がり、見事に鍛えあげられた腹筋があらわに! その画像は瞬く間にSNSで拡散され、「なんという男だ!」、「本当に美しい」、「感動させられる」といった声が殺到。多くのオリンピックファンを虜にした。
そして世間の関心は、世界をときめかせた彼がいったい何者なのかに集中。米サイト『TODAY』は「美貌はさておき、チェッコンには見た目以上の魅力が多くある」と報じた。
伊紙『Il Messaggero』によれば、トマスはスポーツ一家の出身で、母親はスケートのイタリアチャンピオン、父親は軍隊の五種競技選手、兄も水泳選手で一緒によく泳いでいたそう。
幼い頃のトマスはテニスと水泳を嗜み、両方好きだったそうだが、あるときどちらかを選ばなくてはならなくなったという。「兄と水の中にいるのが楽しかった。そして最終的に両親が水泳を選んだ」と本人が2022年『World Aquatics』のインタビューで明かしている。
朝早くから父親に連れられてプールに通い、10、11歳の頃は週6回泳いでいたというトマス。出身地のヴィチェンツァには50mプールがなかったため、母親は仕事を辞めて、16歳のときに母子でヴェローナに移り、本格的にトレーニングをスタート。父と兄とは週末だけ会う生活だったとか。
オリンピック公式サイトによると、代表入りを果たしたのも16歳のときで、当初は30代の選手たちの悪ふざけの犠牲となり、先輩との関係に苦しんだという。
彼の最初のコーチのひとりは伊紙『Corriere del Veneto』に、「トマスが9歳の頃から知っている」と話し、「体格は見ての通り。長い腕、細いウエスト、190cmの身長。水中で体が軽く感じられる骨密度だ」と説明。
そして性格については、こう語っている。「何かに打ち込めば、それを止められない人だよ。トマスはエネルギーを分配するのがとてもうまい。周りが死にそうになっていても、彼は這い上がってくる。非常にインテンシティが高いときでも、彼は立ち向かうんだ」。
東京2020でオリンピックデビューを果たしたトマスは、4×100m自由形で銀メダル、4×100mメドレーで銅メダルを獲得。その後、世界水泳ブダペスト2022で、100m背泳ぎの世界新記録を更新し、金メダルを獲得した。
豪サイト『news.com』によれば、今回のオリンピックでの金メダル獲得は、この種目におけるアメリカの牙城を崩す歴史的な快挙なのだそう。
トマスはイタリアの放送局『Rai Italia』のインタビューで、「ここで勝つことは世界選手権とは違う。4年に1度のレースなんだ」とコメント。さらに「子どもの頃から金メダルを獲得できるとわかっていた。今日がその日だ」と続け、こう付け加えた。
「こんなにうれしいことはない。15歳のとき、コーチに『君の夢は?』と聞かれて、『オリンピックで優勝すること』と答えたら、彼は『落ち着け』と言った。でもそれはずっと僕の夢だった」。
大会前、あるジャーナリストの取材で“野望”を聞かれたトマスは、「パリ2024では、理論的にはトップに立てるだろう。(次の)ロサンゼルスでも互角に戦えるはずだ。(その次の)2032年には31歳半になるけど、どうなるか見てみよう」と回答したという。華々しく最初の目標をクリアした、彼の今後の活躍を楽しみにしたい!