[vol.11] 我が道を行くヘレナ・ボナム=カーター、50歳。そのファッションセンスも独自路線を貫いて、ロンドン名物の域

ヘレナ・ボナム=カーターはユニークな女優だ。古典的なコスチュームプレーからCG満載のディズニー映画まで幅広く活躍し、何度かオスカー候補にも上る実力派なのに、50歳になる現在まで、そのファッションはお上品方向には決して向かわない。それどころか、重ね着のフクザツ化はますます進み、とんでもファッションに磨きがかかってきた。昔からそうだったが、パパラッチに写真を撮られようがスッピンを覆うこともなく、ヘアスタイルは相変わらず鳥の巣のようにふくらまし、ヘタをするとショッピングバッグレディに見えそうなくらい、ずるずると色んなものを重ね着する。この方は、一般にいうところの、きれいに見られたいとか、セクシーに撮られたいとかの成り上がりセレブとはまったく別ものなのだ。

いや、むしろヘレナこそパンクスピリットを持った本物のセレブで、本当はいいとこの出だったりする。彼女の父親は銀行の頭取だし、曾祖父は第一次大戦開戦時のイギリス首相という家柄の良さ。でも、彼女のファッションを見る限り、きっとティーンエイジャーのときにヴィヴィアン・ウエストウッドなんかのパンクファッションに当てられた口でしょうね。お嬢が何か尖ったものに影響を受けると、一直線に洗脳くらったりするじゃない。きっと根が純粋なんだと思う。50歳になってもまだ続いてるんだから。

ヘレナに何度もインタビューした友人によると、彼女はとてもインテリで話が面白いとのこと。元パートナーのティム・バートンのことも、彼の一風変わった才能に惚れ込んだのでしょう。ティムを中心にして、ヘレナともうひとり、やたらじゃらじゃらと重ね好きなジョニー・デップの3人トリオの並びは最強だった!

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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