先日、北米で公開されて大ヒットとなっているこの夏一番の話題作『スーサイド・スクワッド』。DCコミックスが生んだ史上最強の悪党軍団が“世界を救う”ために戦う本作を、一足先に試写会で観て来た。11人からなる凶悪犯を集めた軍団のなかでもダントツに目立っていたのが、グリーンの髪の毛のジョーカー（ジャレッド・レト）と、彼に恋するハーレイ・クイン役のマーゴット・ロビーだ。
特にマーゴットは恐ろしげな悪党野郎が大多数を占める軍団の中で、大輪の毒花のような輝きを見せる。ピンクとブルーに染め分けたツインテールのヘアスタイル。セクシーダイナマイトなバディを惜しげもなくさらしたパンキーなコスチューム。まさにコミック的でありながら、堂々たる存在感。狂気とお色気にユーモアと可愛さも加わり、でも日本のアニメのような子どもっぽさは皆無。それというのも、目鼻立ちがハデ！体つきもハデ！で、なよついたところがひとつもないダイナミックな見た目の魅力があるからだ。レオナルド・ディカプリオの相手役として『ウルフ・オブ・ウォールストリート』（'13年）で一気にブレイクしたマーゴットだが、あのセクシーで思い切りのよい彼女の出現には当時私も衝撃を受けたものだ。
体でぐいぐいと押してくるような女優には、複雑な個性とか繊細な演技力なんかを凌駕するパワーがある。あらかじめ備わっている天然の力。いや天然の美と言ってもいい。この“かなわない感”は貴重だ。マーゴットは豪州のクイーンズランド州の農場育ちということだが、自然のなかでのびのびと育ったとびきり美人で豪快な女優。引く手あまたで、これからも新作が目白押しなのは言うまでもない。しばらく目が離せない女優だ。
イラストレーター＆エッセイスト 石川三千花
