[vol.25] マット・デイモン、これ以上ないフツーの私服で益々の好感度。メンズセレブは、ダサいくらいがいい人に見える?

女性のセレブは私服がダサいってだけでニュースになるのに、男性のセレブはそうはならない。むしろすごいスターなのに、私生活はダサダサの服でもぜんぜん気にしない、なんていう方がいい人に見えたりする。そう、私はマット・デイモンの私生活の写真を見る度に、そんなことを思っていた。

数年前のセレブニュースで、Tシャツと短パン姿のマットと彼の家族がニューヨークを散歩していて、道に迷っていた通行人にマットが場所を教えている写真を見たことがある。マットは乳母車を押していて、本当にどこにでもいるようなフツーのかっこうだから、道に迷っていた人も、まさか目の前にいる人がマット・デイモンだとは気がついていなかったようなのだ。私生活を売り物にしない、というより、私生活はただのファミリーマンとして、アメリカのフツーのおとっつぁんとして生きるマット・デイモン。そんな彼を、華やかな世界で活躍していても、素の彼は自分たちとおんなじなんだ、と思わせるからいい人に見えるのか。いや、やっぱり彼は努力しているんだと思いますよ。オフの日は、フツーに徹することを。そして、そんな時間をオンの日と同じように大切にしている。年がら年中カメラの目がある生活の中で、ブレない人生を歩むマット。酒と賭け事が大好きで、ベビーシッターと浮気したマットの大親友ベン・アフレックとは、オフの部分で大違い。でも、ベンの方がよくある話で、やっぱりマットのフツーさは、意思の強さ、意識の高さによるもの。映画界でこれだけ大物になって、なかなかできないことだと思います、実際。

こうして見ると、大スターなのに私服もオシャレで、なおかついい人にも見えるという男性セレブとなると、エディ・レッドメインやダニエル・クレイグ(この方はいささかスカシ過ぎだが)、大先輩のダニエル・デイ=ルイスなど、イギリス勢が断然多い。アメリカ勢は俳優よりむしろミュージシャンの方が私服のシャレ者が多い気がする。いずれにしても、私服までも頑張ってオシャレ過ぎると、鼻持ちならなく見えたりする男性セレブの、いい感じのカジュアルさってのは難しいものだ。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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