4年にいちどのサッカー・ワールドカップがまたやって来た。ここまで勝ち抜いて来た選手たちの気迫が、彼らの髪型に表れているのを見るのも楽しいものだ。試合そのものを見るのはもちろんだが、やはり国別のユニフォームや選手たちのガタイ、顔、髪型などの見ために目を奪われることもまた楽しいのがW杯。そして、その見ための中で、選手たちの胸の内が分かりやすく表面化しているのが髪型だと思う。過去のW杯を振り返ってみても、ロナウドの大五郎カットやベッカムのソフトモヒカン、ナカータ(中田英寿)の金髪など、注目を浴びたり流行になったりしたヘアスタイルが毎年のようにあるのだ。
さて今年はというと、我らが日本代表からは長友佑都のキンパツがダントツで目立っていた。その燃えるような黄金色は、思わずカタカナで“キンパツ”と書きたくなるほどマッキッキ。今やベテランで、父親にもなった長友が4年前の雪辱を果たすための覚悟が見てとれた。「スーパーサイヤ人になりたかった」とギャグを飛ばした長友だが、嫌でも目立つキンパツ頭で自分にも世界に向けても強い気持ちをアピールするのだから、よほど自信がないとこうは出来ない。実際、彼は大事な1戦目のコロンビア戦では死力を尽くし、攻守に渡り頼りになるところをみせていた。
キンパツで目立っていた選手といえば、ブラジル代表のネイマールも外せない。奇妙なスパゲッティのような髪型だとイギリスのタブロイド紙で取りあげられていたが、後頭部のVの字に刈り上げた黒髪のキンパツ縁取りが凝っている。なんといわれようと、この自己顕示欲こそ、やる気と若さの表れ。
逆に、いきなり初戦スペイン戦で神がかりなハットトリックを決めた目下の得点王クリスティアーノ・ロナウドは、彼にしては意外なほどフツーの短髪だ。4大会連続ゴールの記録を持つも、自国ポルトガルの優勝が悲願の33歳。次のW杯出場がどうなるかは分からない年齢だ。落ち着き払って自信に満ちたロナウドの表情を見ていると、ああ、彼は髪型で自身を鼓舞する時期は過ぎて、達観した真の強い精神力をものにしたんだなぁ、と畏敬の念さえ感じてしまった。