[vol.59] 『ミッション:インポッシブル フォールアウト』、トム・クルーズの全力疾走は、マンガの渦巻きグルグル走りのようだ!

イギリスにはジェームズ・ボンドがいるけれど、アメリカにはイーサン・ハントがいる。ボンドほど歴史がないにしても、ハントはアメリカ一、いや世界一のスーパースター。トム・クルーズが「ミッション:インポッシブル」シリーズの全6作を最初から演じ続けているのだ。週末にポップコーンをほおばりながら大きなスクリーンで、この進化し続けるアクション娯楽大作の「M:I」シリーズを観るのは、シネコン時代の王道ではないだろうか。

 

早々にシリーズの最新作『ミッション:インポッシブル フォールアウト』を観たが、そりゃあ今回も目一杯、スター☆トム・クルーズが不可能なミッションを可能にしまくるのはお約束。トイレで死闘を繰り広げ、パリの街並をバイクでチェイスし、ヘリから吊るされ、成層圏あたりから生身の体ひとつでダイブしたりするスター☆トム・クルーズ!もう、なにがなんでも前作よりスケールアップしないと気が済まないスターのプロ根性!はっきり言って、この飽くなき向上心は、オスカーを何回も獲った演技派と呼ばれる俳優よりも潔くあっぱれで尊いのではないか。

タイプではなくても、私がトム・クルーズを好きなところは、彼の圧倒的にキラキラしてる(トムのイラストは、目ん玉を星にせずにはいられない)スター性ね。大作をしょって立つおおらかなハリウッドキング感。スタントなしのアクションで笑わせてくれるところなど最高だ。なんといってもおかしいのは、トムの全力疾走シーンね。上半身はまっすぐ胸張りで、決して長くない脚の回転がフルスロットル。私はいつもその走りを観て、マンガで描かれた脚が渦巻き状になるグルグル走りを想像してしまう。笑わせて人々をハッピーにしてしまうのもまた、スターの成せる技。そうそう、彼は今回のジャパンプレミアで、ビシッと決めたスーツの社会の窓が開いていて、股間から白シャツがのぞいていたのが世界配信されてしまった。あれもスターのサービス精神だったのか。んな訳ないよね。スタッフ〜ッ!

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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