コロナ禍による様々な自粛で、新作映画の試写室通いもままならない日々が続いている。自宅で海外ドラマもいいが、劇場スクリーンで思いっきりテンションの上がる映画を観てみたい、と思う日々。振り返れば、5月の緊急事態宣言が明けたときに、最初に試写室で観る作品として選んだのがニコラス・ケイジ主演の『カラー・アウト・オブ・スペースー遭遇―』だった。原作がH・P・ラヴクラフトで試写状に印刷されたケイジは、何やら紫色まみれになって訳のわからぬ闘いをしている絵ヅラだ。こういうときこそ、狂ったようなケイジで笑いたい!すみません、私の不埒な作品チョイス。
物語はざっくりいうと、極彩色を放つ宇宙から来た化け物によってケイジの一家がズタボロにされるSFホラー。父親役のケイジがない髪をふり乱し壊れていくパフォーマンスは、期待を裏切りません。特にケイジらしくバカバカしいほど大袈裟な演技が炸裂する、トマトにかぶりつくシーン、ここ最高!畑で採れたトマトを、何もそこまでってくらいにガツガツむさぼり食うのよ、訳は知らんけど……。わたし的には、もうこの狂ったトマト食いのケイジを観ただけで、OK。しばしコロナを忘れさせてくれて、ありがとうってなものでした。
そんなケイジ愛をかみしめていたら、彼とジョン・ウー監督作品の『フェイス/オフ』(’97)で共演した私が好きなもうひとりの愛すべきスター、ジョン・トラボルタの主演作『ファナティック ハリウッドの狂愛者』(9/4公開)が公開されることに。こちらのトラボルタも怪演にかけてはケイジに負けてはいない。彼の役柄はハリウッドスターにつきまとうストーカーなのだ。いつもはヅラボルタなのをいいことに、前髪思いっきりのパッツンヘアと、チャックの開いたバックパックを背負っている役作りのおかしさたるや、チャレンジ精神が半端ない。やり過ぎな演技が爆笑もののシーンは、忍び込んだスターの豪邸で、そのスターが使っている歯ブラシでベロまで磨くシーンね。長いキャリアの大スターなのにエキセントリックな役を嬉々として演るケイジとトラボルタ。彼らこそ、役者の鑑だわね。