[vol.110] ここ一番の勝負どきには、野球帽!トランプ VS.バイデンのトシは食っても野球帽は、なんてアメリカンなんだ!

混迷を極めているアメリカの大統領選挙を見ていると、領土も人種も我が日本とは比べようもなくデカくて多種多様な大国の複雑怪奇さを知る思いだ。それにしてもだ、74歳の現役大統領と77歳の元副大統領の両候補、もっと若くて活きのいい、そう、少しでも未来に希望を感じられるような候補者の選挙戦を見たかったなぁ。老人のいがみ合いなど見たくないですね、はっきり言って。

 

話はコロッと変わるが、この選挙戦終盤で激戦州での演説をTVで見ていたとき、トランプ大統領はトレードマークの赤の野球帽、バイデン候補もやはり紺色の野球帽を被っていて、アメリカ人がここ一番でハッスルする(この表現は両候補の年齢にピッタリじゃないか!?)ときには野球帽なんだねぇ、と気がついた。チェスターコートを着ていてもスーツでも、はい、シニア世代でもベースボールキャップ。それは、いかにもアメリカンなアイテムで、さすがは野球が国技のお国柄なのだった。野球帽にガッツリとスローガンを刺繍して、支持者にそれをロックスターのように投げ渡すトランプ大統領。バイデン候補もキャップを被れば、薄くなった白髪頭が隠れてちょっとロン・ハワード監督に似た若作りになる。両人とも、それなりにキャップが似合ってしまうオールドアメリカンガイなのだった。

考えたくもないが、菅総理に野球帽ってのもなんか違うものになってしまうし、中国の習近平 首席やフランスのマクロン大統領もイメージしにくい。やっぱり野球帽は、アメリカの野外スポーツの健全さや明るさ、強さ、気軽さなどが結集されていてアメリカ人に本当に似合う。ヨーロッパのおしゃれなニュアンスとか関係なくて、キッズからシニアまで、野球帽を後ろ前に被ってバーベキューするのにピッタリ的なね。

あとはセレブでいうと、マット・デイモンは野球帽でダニエル・クレイグはハンチングね。007が野球帽って、ありえないもん。だけどジェイソン・ボーンは野球帽じゃないとダメでしょ?Tシャツ、デニム、野球帽。政治は複雑だが、ファッションはシンプルなんですアメリカは。

 

 

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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