[vol.111] 大物スターになっても、やっぱりノー天気なテッド役が似合うキアヌ・リーブス

公私共に絶好調のキアヌ・リーブス56歳。彼がデビューしてからしばらくは「キアヌ君」などと気軽に言ってワーキャー騒いでいたものだが、彼もすっかりベテランの域に入り、Aリストのスターでい続けている。余談になるが、196364年生まれのブラッド・ピットやジョーニー・デップ、そしてキアヌはみんな同じ世代で、トップスターの座をキープしていて、実にしぶとい!ここに62年生まれのトム・クルーズ58歳を加えれば、80年代からのスター4天王。すごいもんです!

キアヌ・リーブスと相棒のアレックス・ウィンターがバンドを組んで騒動を起こすコメディ映画、『ビルとテッド』シリーズの第3弾『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』が1218日(金)から公開される。正直言って、このシリーズが3作も(しかも前作から29年ぶり!)制作されるほどの作品だったのかと驚いた。だが同時に、芯からノー天気なビルとテッドがミョーに懐かしく、こんな時期だからこそハッピーなコメディ映画が観たいと思ったのも事実。それに、今や『ジョン・ウィック』や『マトリックス』などの大ヒットシリーズで主演を張るキアヌが、何故に今さら『ビルとテッド』な訳?と興味を持ったのだ。

だが、彼は今でこそ監督業をこなし、インタビューでもまともな受け答えをする大物スターになったけれど、いっちばん魅力を発揮していたのは、初期の『旅立ちの季節/プリンス・オブ・ペンシルベニア』や『ラジオタウンで恋をして』、そして『ビルとテッドの大冒険』の軽い系のキャラクターだった。いや、褒めてます、私!あのもっそりした喋り方と歩き方。ジョン・ウィック役でも、うっかりドタドタ歩きが出てしまうのは、若い頃からバイクに乗る時と同じデカくてボロいドタ靴を履いていて、ああいう歩き方が抜けないのではと私は踏んでいる。まあとにかく、新作のビルとテッドは相変わらず「No way!」と「excellent!」を連発しながら、可愛いおやじバンド野郎として文字通りの息を合わせてバカをやらかし、世界中をハッピーにしているのだった。

 

 

 

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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