現代最高の俳優といえばケイト・ブランシェットだろう。英語版ウィキペディアすら、現在53歳となる彼女のページではいの一番にその称号が載せられている。2023年春には、アカデミー賞においても歴史的記録を前にしている。最新作『TAR/ター』(日本公開2023年5月)にて有望視されるキャリア3個目のオスカーを獲得すれば、イングリッド・バーグマンやメリル・ストリープに次ぐ史上5人目の栄誉だ。
神秘的な「超常と実存」
宣言どおり、キャサリン・エリーズ・ブランシェットは、私的な情報をあまり明かしてこなかった。1969年オーストラリアに生まれ、90年代には舞台俳優として名を馳せ、20世紀末『エリザベス』にて初のアカデミー賞ノミネート。その後は『ブルージャスミン』『キャロル』等々に出演、名優街道だ。当人いわく、個人としての人生を守るため、なるべく神秘的なイメージの維持を心がけていたという。
古典ハリウッドスターのような神秘性は、俳優像にも通じている。『アビエイター』でタッグを組んだマーティン・スコセッシいわく「ケイト・ブランシェットを前にすると、時がとまる」。大監督すら圧倒させてしまう存在感こそ、彼女を生ける伝説にしているのだ。
人間を超えた「史上最高の演技」
セレブリティや音楽、映画、ドラマなど、アメリカのポップカルチャー情報をメディアに多数寄稿。著書に『アメリカン・セレブリティーズ』(スモール出版)
