【ブルックリン・ベッカム】お家騒動?「なにをやっても駄目」と叩かれた二世の独立

「第二の英国王室」と呼ばれるほどの地位を築いたのが、ベッカム家。父親は、ご存じサッカー選手のデヴィッド。王室とも交友がある労働者階級出身者として「ナイト」の爵位を得た国民的英雄だ。そして母親は、伝説的グループのスパイス・ガールズのメンバーからファッションデザイナーとして大成したヴィクトリア。そんな立派な一家の長男として育つことは、どんな感覚なのだろうか? そのプレッシャーを背負って生きてきた人物こそブルックリンだ。

「第二の英国王室」と呼ばれるほどの地位を築いたのが、ベッカム家。父親は、ご存じサッカー選手のデヴィッド。王室とも交友がある労働者階級出身者として「ナイト」の爵位を得た国民的英雄だ。そして母親は、伝説的グループのスパイス・ガールズのメンバーからファッションデザイナーとして大成したヴィクトリア。そんな立派な一家の長男として育つことは、どんな感覚なのだろうか? そのプレッシャーを背負って生きてきた人物こそブルックリンだ。

何をやっても駄目な「二世のラスボス」

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October 03, 2023 in London Photo:Getty Images

ブルックリン・ジョセフ・ベッカムは、1999年に病院で生まれた瞬間から注目を浴びつづけてきた。

四人の子どもに恵まれたデヴィッドの溺愛ぶりも有名だ。ブルックリン13歳の誕生日に人気歌手アッシャーとの通話をプレゼントし、翌年には長男の寿司屋デートを手配した上で自らも離れた席から見守ったという。18歳の誕生日での初めての飲酒姿すら父のSNS投稿によってお披露目されている。

そんなブルックリンがつけられたあだ名が「ネポベイビーのラスボス」。「ネポベイビー」とは、二世タレントに近い言葉ではあるが「親のコネで実力に見合わない仕事についている」という蔑称の気が強い。

実際、ブルックリンは落ち着かないキャリアをたどってきた。15歳ごろまでサッカー選手を目指していたが「ベッカムの息子だろ」と軽視されるなか挫折。人生の夢を喪失したことで、自分探しかのように職種を転々とすることになる。まず写真家に転身したが、16歳で一流ブランドの広告を撮影したことで「分不相応」だと炎上。プロの写真家から「実力で大成した両親の面汚し」と酷評されるまでの騒動に至ってしまった。

その後モデルを細々つづけつつ、料理家としてクッキング配信や番組を始めたものの「大した腕じゃない」として視聴者から厳しいツッコミが殺到していった。本人すら、世間どころか周囲からも無職と思われがちだと明かしている。

何をしても叩かれる人生

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March 01, 2024 in Paris photo:Getty Images

「何をやっても駄目」と嘲笑されるブルックリンのキャリアは「なにをしても叩かれる」人生とも言いかえられる。あまりに有名な二世タレントすぎて、公の場で新しい挑戦をしようものなら過剰に注目されて叩かれる悪循環も否定できない。

それでも、ブルックリンは「いい子」と評判だ。いくら叩かれようと、強気な反論をすることは滅多にない。それどころか、家庭内ですら(ファッションにうるさい)母親に服について意見されても反抗したことがないと明かしている。

温和な生き方は、両親、とくに母親の教えのたまもののようだ。

「僕みたいな『ネポベイビー』が反感を買う理由はわかってる。でも、自分で生まれが選べるわけじゃない。両親が教えてくれたように、バッシングは受け流すようにしてるんだ。ひどいことを言う人はいつだっているものだから。僕としては、自分の幸せを大事にして人に親切にできていれば十分。何をしたって批判される人生なんだって、もう受け入れたんだ。叩かれることでもっと頑張ろうって思えるよ。『見返してやるぞ』って」。

最近では、人格面の評判が業界でも広まりつつあるようだ。とくに個性が強いスターが集うLAでは、時間どおりにちゃんと来てスタッフに親切に接する希少な有名人だという。

ご令嬢とのスピード結婚

成長の裏には、妻ニコラ・ペルツの存在がある。ニューヨーク出身のニコラは、資産17億ドル(約2,400億円)とされる投資家の父のもと生まれた俳優兼映画監督。二世タレントではないものの超富裕層出身なため、ブルックリンとは英米「ネポベイビー」同士の夫婦と言われている。

二人が出会ったのは2017年の音楽フェス。二年後、レオナルド・ディカプリオ主催のパーティで再会するとすっかり恋に落ちた。ブルックリンのほうは数ヶ月で結婚を決意。実際、交際半年を迎えた21歳のころ、四歳年上のニコラにプロポーズした。

お互いの家名を維持するペルツ・ベッカム姓となったブルックリンの新しいブランドが「愛妻家」。全身100個ものタトゥーのうち七割がニコラに捧げられているほどだ。前述の料理家チャレンジにしても、コロナ禍に料理をふるまった妻からSNS掲載を勧められたことがきっかけだった。

カリフォルニアで新たな家庭をはぐくむブルックリンの現在の目標は「ビジネスマン」。父ゆずりの和食好きグルメとして、日本酒ブランド立ち上げや寿司にも合うホットソースの販売にいそしんでいる。

泥沼? お家騒動

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February 03, 2024 in Los Angeles photo:Getty Images

一方、故郷には暗雲も漂っている。「第二の王室」さながら、実家と息子夫婦の不和の噂が取り沙汰されているのだ。嫁姑問題の疑惑からはじまり、デヴィッド50歳の誕生日パーティーに長男夫婦の姿が見られなかったりしたことで、ゴシップがとまらなくなっている。

「国民の英雄」一族の栄光から「泥沼リアリティショー」ファミリーに転落した──そんな見方すらあるベッカム家だが、ある意味、子どもたちの成長の証かもしれない。末っ子ハーパーを除き、三兄弟はすでに成人している。混乱の理由とされるのは次男ロメオが兄の元恋人とつきあったことだとも言われているが、両親がコントロールできることではないだろう。

26歳となったブルックリンは、故郷から離れ、妻とともに自らのキャリアを構築しようとしている。世界一有名な「ネポベイビー」として過度に注目されては挫折を味わってきた育ちを超えて、ようやく「ブルックリン」としての個性が発揮されていくのかもしれない。

辰己JUNKプロフィール画像
辰己JUNK

セレブリティや音楽、映画、ドラマなど、アメリカのポップカルチャー情報をメディアに多数寄稿。著書に『アメリカン・セレブリティーズ』(スモール出版)

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