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「何年も一緒に寝ている男だもの。監督としての才能があるかどうかぐらいわかるわよ」
シャーリーズ・セロンのこの言葉に、最初は聞き間違い?と思ったけど、何回もインタビューするうちに本当に率直な女性だと感じ入った。「一緒に寝ていた男」スチュアート・タウンゼントとは、「彼の故郷のアイルランドで一緒に舞台に立つ計画もあるの」と語っていたが、その後破局。ただ、当方が彼の舞台『地獄のオルフェ』を観て、あまりにギター演奏が上手で「もしかして父親はロックミュージシャンのピート・タウンゼント?と思った」と告げるとギャハハ笑い。「実はスチューの父親もピーターという名前なの。結構有名なプロゴルファーよ。ギターの腕前は知らないけど(笑)。」普通に家族ぐるみの付き合いだったのが、なんか良かったな。
誰が見ても美貌に恵まれていることは確かなシャーリーズ。ゆえにでっぷり体型に出っ歯という醜い姿で挑んだ『モンスター』('03)は、アカデミー賞主演女優賞に輝いたけど、「あざとい」という批判も出た。「大スター相手に大作に出演するのもいいけど、『モンスター』や『スタンドアップ』('05)のように心から出たいと思える作品に出合うことがどんなに嬉しいか。『スタンドアップ』で描かれたセクシュアル・ハラスメントの問題にしても、私なりに経験してきたことだし、体型を変えるのも、単に体重を増やせばOKじゃないのよ」。確かに『マッド・マックス 怒りのデスロード』('15)のデーンとしたヒップは、また別物だ。
経歴に「ジョフリー・バレエ所属」とアメリカではかなり有名なバレエカンパニー名が書いてあったので「シカゴの同バレエ団で踊っていたの?」と聞いたら「あ、それNYのバレエ学校にいた、の間違い。虚偽申告みたいで恥ずかしいわ」と自ら訂正したくれたシャーリーズ。「背が高くなり過ぎてバレエは諦めた」というが「ミュージカル出演はもちろん興味はあるわよ」とのこと。実現すればさぞカッコいいだろう。
インタビューをしていると、当事者ではない人間の話し声が気になることがある。あまりにひどい時は「少し静かにしてもらってくださいますか?」と係の人にお願いするが、それがインタビューする相手の関係者だと、なかなかそうはいかない。ところがシャーリーズは、お喋りに夢中な自分のスタッフのところにカツカツと寄って行って「へい、ガイズ!インタビューに集中させて!」と一喝。「みんな」という意味の「ガイズ」は女性にも使うんだと知ったのと、こちらの気持ちに気づいて、いや彼女自身も片手間で仕事はしたくないプロ中のプロだとわかって、忘れられない出来事となった。
映画や舞台、ダンスに造詣が深く、独自の視点で鋭く切り込むインタビューに定評が。ジョニー・デップから指名されることも多々。