ジョディ・フォスター #6

『マネーモンスター』公開中

初めてジョディ・フォスターを意識したのは、『アリスの恋』('74)で主人公の中年女性アリスの息子の友達役を演じた時のこと。ふた言目には、「スチューピット!」と口にする金髪の美少年で、後に『刑事コロンボ』などの翻訳家・額田やえ子さんはこの口癖を「き、奇っ怪!」と訳していたが、役の雰囲気にピッタリだった。もちろんその美少年はれっきとした少女ジョディだったわけだが。

近年、当時のジョディに雰囲気そっくりな子を見つけ、驚いている。ブラピとアンジーの実子のシャイロちゃんだ。シャイロちゃんも将来、ジョディみたいになる?

ジョディの初来日は『ダウンタウン物語』('76)のプロモーションで、当方全く興味本位で羽田空港まで見学に行った。するとジョディがごく普通のTシャツにジーンズ姿とアメリカのローティーンそのものだったが、多分お母さん(?)が押してきたカートが凄かった。トランク、スーツケースも全部ルイ・ヴィトンのモノグラムで、あんなに大量のヴィトンを見たのは初めて。さすがにハリウッドスターだなと食い入った次第。『ダウンタウン物語』では主役のスコット・バイオと噂になっていたけれど、同性愛をカミングアウトしたジョディにもそんな淡い恋があったかと思うと、微笑ましい。

「ジョディのためにやった」。‘81年当時、レーガン大統領の暗殺未遂犯がこんなことを言ったため、ジョディは映画界からの一時撤退を余儀なくされた。彼女が選んだのはイェール大学への進学と、「パリに住むこと!」。LAのリセ・フランコというフランス系の学校に通っていたため、言葉には全然困らず、「パリのサン・ルイ島のアパルトマンでボーッとして、昼になるとミラマー(美麗華)でワンタンメンを食べ、カフェでゆっくり新聞を読むの。全然生産的じゃないでしょ(笑)」。ちなみにジョディの映画の趣味は、「母がヌーヴェルヴァーグなどのフランス映画好きだったから、幼い頃から私もそうなってしまったわ」だそう。

日本の女性と同じくらい小柄なジョディだが、キックボクシングやスキーなど、「アクティブなスポーツをやるのが好き」だという。「でもそうやって鍛えていても、40歳過ぎて男の子を追いかけまわして育てるのはキツかったわ」。それに比べると映画作りは「赤ちゃんの頃から知っているから、撮影スタジオこそ我が家、という感じ(笑)」。監督最新作、『マネーモンスター』では、「ダンスの下手なジョージ・クルーニーを踊らせるのが大変だったけど(笑)自分にも娯楽映画が撮れるとわかってうれしかった」そう。それでも、これまでの全出演作品の中で一番好きなのは、「『ドライバー』('76)ね」と即答。スコセッシ監督の尊敬され具合は半端じゃないようだ。

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ジャーナリスト佐藤友紀

映画や舞台、ダンスに造詣が深く、独自の視点で鋭く切り込むインタビューに定評が。ジョニー・デップから指名されることも多々。