新デザイナーのお披露目となったジル・サンダーやロベルト・カヴァリ、デザイナー就任から節目の年を迎えたヴェルサーチやミッソーニ、ブランド創立から記念の年に当たるアンテプリマ、エトロなど、今季のミラノコレクションは、アニバーサリーに沸いたシーズンだった。
新デザイナーたちのファーストコレクション
ジル・サンダーは、バレンシアガやディオールで経験を積んだルーシー・メイヤーとその夫でメンズブランド「OAMC」の設立者の一人でもあるルーク・メイヤーの二人によるデビューコレクション。白シャツやネイビーのジャケットなど、ジル・サンダーのアイコニックなアイテムをモダンに進化させ、拍手を浴びた。
ロベルト・カヴァリの新デザイナーは、ポール・サリッジ。メンズウェアで経験を積んだサリッジによるコレクションは、セクシーさはありつつもそぎ落とされたモダンさが印象的。
今回、ミラノでデビューを飾った2組は、共にブランドのDNAを受け継ぎながらもモダンな提案があり、好評を博した。またコレクション終了後には新たなデザイナー交代のニュースが。来シーズンより、サルヴァトーレ フェラガモのウィメンズ クリエイティブ・ディレクターに、現在同ブランドのシューズのデザイン・ディレクターを務めるポール・アンドリューが就任するそう。ますます進化するコレクションから目が離せない。
2018年はアニバーサリーイヤー!
ミラノが最も熱い夜となったのはヴェルサーチのショーが行われた9月22日の夜。ドナテラ・ヴェルサーチの兄でブランドの創設者、ジャンニ・ヴェルサーチの没後20年あたり、“ヴェルサーチ トリビュート”と題して、往時のアイコニックなプリントを現代に蘇らせた。さらに、フィナーレでは、90年代のスーパーモデル(ナオミ・キャンベル、カーラ・ブルーニ、クラウディア・シファー、シンディ・クロフォード、ヘレナ・クリステンセン)が、当時と変わらぬプロポーションで登場、ゴールドのドレスをまとってランウェイを闊歩した。
同じく、デザイナー就任から節目を迎えたのはミッソーニ。両親からクリエイティブ・ディレクターを引き継ぎ20年目となるアンジェラ・ミッソーニは、高度なテクニックでニットブランドの矜持を見せた。
ブランド創立の節目に当たるのがアンテプリマとエトロ。ブランド創立25周年のアンテプリマは、フィナーレにデザイナーの荻野いづみとハロー・キティが登場し会場が沸いた。ブランド創立50周年のエトロは、初めてメンズ&ウィメンズの合同ショーを開催。「生命の樹(The tree of life)」をテーマに、インドにインスピレーションを得た全91ルックを発表した。
EDITOR'S MEMO
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会場選びもデザイナーたちの腕の見せどころ!今シーズン、特に会場選びにこだわったデザイナーはボッテガ・ヴェネタとジル・サンダー。ボッテガ・ヴェネタは、今回の着想源がイギリスの新古典主義の建築家ロバート・アダムが設計した、ケンドルストンホールのマーブルルームだったため、同じくフレスコ画や大理石が美しい19世紀前半の建築、パラッツォ・アーキントを選んだ。
一方、デビューコレクションとなったジル・サンダーは、ミラノ郊外のシティ・リフェと呼ばれる大規模再開発地域の仮設の会場で行われた。ザハ・ハディッド、磯崎新、ダニエル・リベスキンドによるオフィスタワーやレジデンスが建築中のエリアで、モダンなコレクションとリンクしていた。 -
招待状からショーは始まっている!毎シーズン、手の込んだ招待状が送られてくるグッチとモスキーノ。グッチは、モスグリーンの缶の中に、糸巻き、ろうそく、香水を染み込ませた紙、マッチが入っているセット。缶を包む紙には催眠術を意味する「HYPNOTISM」という文字が描かれ、幻想的なショーを予感させる。モスキーノの招待状は、なんとバレーシューズ。ライダースにチュチュを合わせたガーリーなルックが印象的なシーズンを象徴していた。