パリコレ後半で登場するのが、シャネルやヴァレンティノをはじめとするメゾンたち。オートクチュールにルーツを持つブランドならではのレベルの高いクリエイションのみならず、趣向を凝らしたステージ演出も見逃せない。
1976年のドキュメンタリー「Memories of Berlin」に着想を得たジバンシィ。東西を隔てる壁があった時代の緊張感が下地に。夜の闇に息づくほの暗い闘志とグラマーを、研ぎ澄まされたシルエットに込めて。力強い陰影とメタリックな光が交錯する世界は、「ナイト ノワール」の雰囲気たっぷり。モノクロームの中に差し込まれたマスタードや茜色のオータムカラーが際立つ。なお毛皮アイテムはフェイクファーを使用。
グラフィティーをまとった巨大な雪山。スノーボーダーのための白いパラダイスが、サンドニの会場に出現。シルエットは、ボディコンシャスからスーパーオーバーボリュームへと展開した。前後で印象ががらりと変わるギミックや、解体→再構築のハイブリッド、ポップなソリッドカラーやスポーティブな差し込みは健在。支援を表明した国際連合世界食糧計画「#WorldFoodProgram」ロゴのインナーも。
オーバーシルエットがランウェイを席巻する中で、ヴァレンティノのストレートなラインはとても優美。洋服をキャンバスに見立てフラワーモチーフを大胆に描いたり、スカラップのエッジ、花びらのようなレイヤーなど、いたるところにロマンティックな要素が。さらに、カラーパレットも見事!大絶賛された2018年春夏オートクチュールに通じるヴァイオレット、ピンク、レッド、グリーンなど、ポエティックな色調にうっとり。ピエールパオロ・ピッチョーリが誘う、ロマンあふれる夢の世界に酔いしれるひとときでした。
紅葉が描かれた招待状。いつも趣向をこらすシャネルのショーですが、今回はグラン・パレに秋の森が出現。ロケットや滝のような驚きはないものの、そこはシャネル。野生の香りが立ち込めていました。エレガントな黒のロングコートやドレスで始まり、落ち葉模様のシリーズ、ピンクや黄色をポイントにしたスタイル、そしてクチュールライクなドレスへと展開。ブルーやグリーンのパーカをジャケットのインに重ねたり、ダウン素材のアイテムが登場するなどスポーティな要素も。フィナーレでは森の奥へとモデルが消えていき、少しメランコリックな気分に浸る、詩的なコレクションでした。