【PFW 19SS】ビッグメゾンの華麗なる競演、パリコレで注目をさらったショーをプレイバック

盛況裏のうちに幕を閉じた、今季ファッションサーキット。フィナーレを飾ったパリコレクションから、注目を集めたショーをプレイバック。

【ディオール】ランウェイに登場したコンテンポラリーダンサー、その真意とは

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「踊り続けなさい、自らを見失わないように」。ディオールの会場の外壁には、ピナ・バウシュの言葉が綴られていました。ショーが始まると、ひらひらと舞い落ちる紙吹雪の中、コンテンポラリーダンサーが踊り続けます。その周囲をショーを闊歩するモデルも、レオタードやチュール、メッシュのインナーなど、バレリーナの衣装を思わせるレイヤリング。足元もバレエシューズ風です。色味はピンクグレーやミントグリーンなどパウダリーなカラー。体の動きに呼応して波打つ布地のテクスチャーが、女性のしなやかさとその内側の芯の強さを感じさせるコレクションでした。

 

【マリーン・セル】古着を用いたアップサイクルなハードコア・クチュールに注目

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今回マリーン・セルが打ち立てたキーワードは、ハードコア・クチュール。モーターサイクル・スポーツのユニフォームに着想を得た機能性の高いウェアを基調とし、クチュールライクな手仕事を施していきます。でも、刺繍されているのはスパンコールではありません。懐かしさの漂うキーホルダーであったり、無数のワークポケットだったり。ネオプレンにデニム、古着のTシャツといったラフな素材を使いながらも、ウエストはキュッと絞られ裾はフェミニンに広がり、どこかにエレガンスを感じさせます。個人的には爆弾のようにもヘルメットのようにも、はたまたポケモンボールのようにも見える、球体バッグにときめきました。

 

【メゾン・マルジェラ】ジョン・ガリアーノの創造力が遺憾なく発揮された、メンズとウィメンズの合同ショー

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ウィロー・スミスやハネ・ギャビーが語る映像が流れ、メンズ&ウィメンズ合同ショーがスタート。新しい香水「#MyMutiny」のローンチ映像であるということがショーの後明かされました。カラーパレットはモノトーン。大人がリアルに持っておきたい、トラスティなピースが揃っています。カットオフしたジャケットや、パターンのステッチを残したようなドレスなど、服の構造を見せるディテールがありながらも、ウェアラブルな印象です。PVCのパネルやフェザーが軽やかなタッチを加えていました。フェミニンなドレスをメンズモデルがまとい、パンツスーツをレディスモデルがまとうユニセックスな着こなしは、服が持つジェンダーの概念に疑問を投げかけます。ショーの背景でトランスジェンダーのモデル、Teddy が紡ぐ言葉「本当の自分になることは、反逆の行為なのよ」という言葉に説得力を感じました。

 

【ドリス ヴァン ノッテン】“今、着たい”が凝縮された、珠玉のコレクション

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ショーを見ていて、思わず「可愛い!」と声に出てしまうことが時々あるのですが、今回のドリスは間違いなくそういうものでした。ワークウェアやスポーツのディテールは、ドリスの手にかかればこんなにも上品で、清らか。歩くとフェザーがふわっふわっと気持ちよく揺れ、プラスチックのフリンジがシャンシャンと耳障りの良い音を鳴らします。ジャンプスーツの上身頃を腰で巻くワークスタイルがあるかと思えば、透けるように薄い生地にとびきり甘い花柄が躍っていたり。いつものエスニックなムードは今回は鳴りを潜めていましたが、今、着たいと素直に思えるモダンなコレクションでした。「過去への郷愁でもなく、未来に執着するでもない。今への個人的な見解」というコンセプトが、とても腑に落ちます。

【クロエ】トライバルなワードローブが浮き彫りにする、タフでフェミニンなクロエガールズ

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熱気が漂うコレクション。大きなイヤリング、ロープのベルト、プリントの掛け合わせ、かぎ針編みニットドレスなどがトライバルな香りを運びます。袖がたっぷりとしたシルクジャカードのブラウスやドレスに、クロエのやわらかな女性像を残しながらも、全体的には大地をしっかりと踏みしめて歩く、強い女性のアティチュードを感じさせました。

 

【オフ-ホワイト ℅ ヴァージル アブロー】キッズからの支持はピカイチ、ナイキとのコラボレーションにも注目

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昨年同様、ショー会場の入り口には一目でいいからoff-whiteのショーを観たいキッズ達がごった返し、ヴァージル・アブローの人気過熱ぶりを証明ていました。オープニングを歩いたのはケンダル・ジェンナーとベラ・ハディッド。「TRACK & FIELD」を象徴するランウェイを、真っ白なウェアで闊歩します。コレクションのベースとなるのはスポーツの要素。それがロングトレーンやフリル、繊細なレースと組み合わさり、ヴァージルが推し進めて来た「スポーティとラグジュアリーの融合」を極めて高いレベルで実現していました。また今回はナイキと全面的にコラボレーション。とにかく今、若者から大人まで、全ての人が「次に彼は誰と何をするのか?」と、その一挙一動に目を凝らしている、という印象。影響力の大きさを改めて感じます。

 

【ロエベ】スペインの海辺をインスピレーションにした、優美でエクレクティックなモダンスタイル

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出発点はジョナサン・アンダーソンが着任して初めてのキャンペーン写真。スティーヴン・マイゼルが撮影した海の写真です。そこから派生して、今回はスペインの海辺がインスピレーションでした。カラーパレットは、オレンジやグリーン、ブルー、ベージュといった、大地と空を感じさせる色。シルエットはゆったりとエフォートレスで、太陽の下を散歩しているような、楽観的なムードを醸し出します。フェザーやレースといったフェミニンな要素がさらにポジティブな気分を盛り上げます。仕上げとしてトッピングされたバイザーグラスと、チェーンでトリミングされたレザーのつけ襟で、未来的なモードに。こんなに様々な要素を盛り付けても、決してビジーには見えず、モダンで清潔感のある佇まいに完成されています。ロエベがモードな大人に愛される理由はそこなのですね。

 

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