『SPUR』エディターの現地レポートで、熱気溢れるNYコレクションの様子をプレイバック。今シーズン話題を集めたのは、テクノロジーを駆使したユニークなステージ演出を披露したラグ&ボーン、独自の視点でサステイナビリティを謳う3.1 フィリップ リム、そしてモード史に残るビジョナリーたちへのオマージュを捧げたトリー バーチやマーク ジェイコブス。洋服だけじゃない、ファッションの次なるトレンドキーワードに注目を。
【ラグ&ボーン】ダンサーにロボットアーム、華やかステージ演出に拍手
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NYコレクション、始まりました!最初のショーはラグ&ボーン。ダンサーによるコンテンポラリーなパフォーマンスと、数種類の楽器を巧みに活かした生演奏からスタート。合唱隊も揃い、華やかな構成です! 男女が織り成すダンスは、ロボットアームのカメラに捉えられ、リアルタイムで画像処理されスクリーンに映し出されます。ウェアは、ベーシックなネイビーや黒を基調に、ところどころにネオンカラーを挿したり、春夏らしいマリンテイストも感じられました。個人的には、ビックジャケットの裾からも覗かないくらいのエクストリームミニなショートパンツが気になりました。
【ケイト・スペード ニューヨーク】花々に彩られた、インクルーシブな提案
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今季のケイト・スペード ニューヨークは、花々にあふれていました。ロケーションは、緑豊かなガーデン。陽光が降り注ぐ気持ちいい空間で開催されました。会場に足を踏み入れてまず目に飛び込んでくるのは、ピンクのデッキチェアとテーブル。テーブルには花が活けられていてきゅんときました。 ランウェイを歩いたのは、年齢や人種、体型もさまざまな女性。双子やマタニティモデルも登場しました。鉢植えや花束など、それぞれ植物を携えていたのも印象的! 素材も、レースやツイード、ニットなどさまざまな組み合わせで魅せます。パステルカラーを基調としたスタイリングも春夏らしい空気感でした。 ちなみに、インビテーションには土に還る台紙に花の種が散りばめられていて、読んだら土に埋められるよ、という素敵な仕様。サステイナブルな試みにもぐっときます。 すべての女性は、美しく咲き誇ってるんだよ、と語りかけるようなフェミニニティへの礼賛と愛に満ちたショーでした!
【トリー バーチ】故ダイアナ妃への追憶を、モダンに表現
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トリー バーチの今季のインスピレーションは、ダイアナ妃。言わずと知れたファッションアイコンであり、デザイナー自身も幼い頃から今も影響を受けているそう。ショーの幕開けは、花の刺しゅうが施されたハンカチを繋げたドレスから。続いて花柄のボウタイブラウスとカラーストッキングの装いや、エフォートレスなコットンツイルのセットアップなどが登場。フェミニンなスカートの足もとにリラクシングなスニーカーを合わせたルックも気になりました! 80年代らしいノスタルジックな雰囲気が、モダンにアップデートされていました。
【3.1 フィリップ リム】スターデザイナーが打ち出す、サステイナブルの在り方
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「Boys and Girls」と題した3.1 フィリップ リムのメンズとウィメンズの合同ショーは、ブルックリンが舞台(ランウェイミュージックはBlurの「Boys & Girls」のアレンジ!フィナーレではオリジナルソングが流れ、個人的にアガりました)。サステイナブルやクラフツマンシップ、ダイバーシティなどデザイナー自身が大切にする価値観をファッションを通して伝えている今シーズン。全体を通して漂う、知的で心地よいムードは、まさに今の気分にフィットしました。 イージーでモダンなウェアに重ねたレザーのスカーフなど、素材のコントラストも気になりました! アンディ・ウォーホルのデイジープリントから着想を得たウィメンズのプリントも印象的。メイクアップはカラーアイライナーが席巻中かつ、サステイナブルな製造方法を取るUZUとコーポレート。他にも、引き続き環境などに配慮しているクリエイターやブランドと手がけることにも、彼のサステイナビリティへの思いが反映されています。
【マイケル・コース】NYトラッドにアクセントを添える、ひとひらのパンクスピリット
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合唱隊によるコーラスをバックに繰り広げられたマイケル・コース コレクションでは、プレッピーとパンクが融合。テーラリングの美しいジャケットにパワーショルダーのディテールを用いたり、スタッズを随所にあしらったり。トラッドなスタイルにぴりりと反骨精神を効かせつつ、シックにまとめたスタイルです。可愛い!と思わず目をハートにしたフルーツモチーフは、デザイナー自身が幼い頃母と連れ立って訪れたピクニックに由来するもの。上品さと遊び心が共存します。春夏シーズンのNYでは、鮮やかなカラーリングもトレンドのひとつ。ぱきっとしたグリーンのドレスにも目を奪われました。
【マーク ジェイコブス】ロマンティシズム礼賛、NYのフィナーレにふさわしい絢爛豪華なデフィレ
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マーク ジェイコブスのショーは、短い時間で繰り広げられる、夢そのものでした。オープニングとともに、巨大なPark Avenue Armonyの向こう側の入り口から溢れるようにすべてのモデルが登場。視界いっぱい広がるようにカラフルなモデルが会場を埋め尽くします。冒頭からクライマックスかのような演出に、胸がぎゅんぎゅん高鳴りました! そして全員一度姿を消し、客席の両サイドを行き交うようにランウェイが始まりました。ルックは、色彩や柄に溢れてプレイフルな高揚感がたっぷり。映画から飛び出てきたようなプリムの広い帽子と、クラシカルなフォルムのジャケット、セットアップ。先シーズンから引き続き、花そのものを全身にまとったようなドラマティックなフラワードレスも目を奪われる美しさ。楽しみ、平等性、個人主義、楽観性、幸せ、夢や人生そのものへの「セレブレーション」を、パワフルなスタイルで体現しました。また、カール・ラガーフェルドやリー・ラジウィル、アニタ・パレンバーグなどファッションの歴史を形作ってきた象徴的な人々へのリスペクトとインスパイアも随所に落とし込まれています。フィナーレでは、シートの前を真っ赤なブーツで跳ねながら駆け抜けていったデザイナーのマーク・ジェイコブス。18年前の春夏コレクションの発表は、9月11日の前夜に行なわれました。そして迎えたこの日、2019年9月11日。過去を深く見つめながら、このショーをもってNYファッションウィークは幕を閉じます。