コロナウィルスの影響により、自粛ムードが続くミラノ。こんな時だからこそ、明るい未来に思いを馳せて、夢のあるファッションを見たい。今シーズンは、そんなムードを後押しするような、ビッグメゾンの渾身のコレクションが出揃った。クラフツマンシップでも名高いミラノ。ファンタジーとリアリティが共存するクリエイションは、まさに次世代のベーシックと呼ぶにふさわしい。
【グッチ】メリーゴーラウンドのようなステージ演出で描き出す、クラフツマンシップの裏側
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”再現することのできない儀式”をテーマに掲げた今季のグッチ。それは、アレッサンドロ・ミケーレが抱く、ファッションショーに対する想いでした。会場に入るとそこはバックステージ。モデルたちがヘアメイクし、アレッサンドロ・ミケーレが歩き回りながら細かくチェック。時にゲストと談笑します。席につき、中央の円形セットの幕が下りたと思ったら、再びバックステージが現れ、グレーのセットアップ姿のスタッフがモデルに服を着せつけていきます(この制服欲しい!)。いつもは隠されている舞台裏をもショーに組み込むことで、創造のおののき、産みの苦しみ、職人の技術と熱量にもスポットライトを当てました。そこで披露された新作は、ヴィンテージドールの衣装と子ども服の要素、70年代のグランジテイストが折衷された、ドラマティックかつロマンティック、そしてドリーミーな世界です。メンズコレクション同様に、ミケーレが考えているのは「子どもっぽい、というのはネガティブに見られるが、最高の褒め言葉、なぜなら子どもは純粋で自由だから」ということ。既成概念に染まる前の子どものように、好きなものを好きなように着ていいんだ、と背中を押してくれます。
【ジル サンダー】ふとした日常にドラマをもたらす、セオリーのあるワードローブ
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暮らしの中で、いかに服がその人を美しく見せるか。ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻が大切にしていることです。360度美しい曲線を描くコート、優雅になびくロングスカート、プレイフルに揺れるフリンジ、すべてがため息ものの素敵さ。ショー会場もウォーキングスペースを広く取り、中央に並んだ椅子に座ったり、立ち上がったりして生まれるシルエットも堪能できました。今季は特に、マスキュリンとフェミニンをひとつのルックに盛り込んだそう。例えば、柔らかい素材をたっぷり使ったドレスに、テーラードジャケットを組み合わせ、エアリーに。そこに幾何学的なアクセサリーを添えることで、ピュアでモダンなさじ加減を意識。今すぐにでも真似したいおしゃれな数式がここにある!と、改めてジル サンダーに惚れ込んでしまいました。
【プラダ】禁欲的なテーラリングに垣間見る、一筋縄でいかない女性らしさ
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今季のミラノでは、強さと柔らかさをいかに共存させるか、という命題を感じます。プラダは、”シューリアルグラマー”がコンセプト。オーバーサイズのテーラードジャケットに大胆不敵なフリンジスカートを合わせるなど、そのパワーバランスは読み解くほどに難解です。フェミニンの象徴のような”揺れる”要素を取り入れながらも、構築的な作りによって、これまでの”女らしさ”に傾かない。もう、絶妙すぎます!展示会で見ると、その技巧にさらに惚れぼれ。ギャッツビーの世界を彷彿させる1920年風ドレスも、可愛いの一言では済ませられない、力強さがあるんです。今シーズンもミウッチャさんについていきたい! 時々、チャームネックレスをぶら下げているルックが登場しましたが、それは、小さくなった昔のバニティケースとのこと。ベルトやバングルにもなっています。これは、めっちゃ可愛いです!
【フェンディ】力強さと柔らかさが共存する、シルエット美学
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春夏のフレッシュでガーリーなコレクションから一転、秋冬のフェンディはシックで、フェミニンな強さを表現しています。美しい外見とは裏腹に、パワフルで力強い内面を併せ持ったひと。特に、カレン・エルソンのウォーキングからは、レディライクで、情緒豊か、そして、優雅なライフスタイルが垣間見えました。それをシルヴィア・フェンディは”ソフトパワー”と表現。特徴的なドロップショルダーがアイコニック です。アクセサリーでは、ピーカーブーとバゲットの新作が登場。柔らかく進化し、なんと、折りたためる! 久々のアニマル柄にも注目しています。
【トッズ】新デザイナーのデビューランウェイは、究極のラグジュアリーベーシック
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ヴァルター・キアッポーニによるトッズのファーストランウェイ。ミラノ出身のキアッポーニは、グッチ、ヴァレンティノ、ボッテガ・ヴェネタなどイタリアンラグジュアリーブランドでの経験を生かし、モダンな”イタリアンライフスタイル”を作り上げました。テーラードジャケットやコーデュロイパンツなどはボーイッシュなサイズ感。リラックスできる日常着、だけどめちゃくちゃ仕立てがいい! 後半に登場したパッチワークアイテムは、ため息ものの仕上がりです。クラフツマンシップに裏打ちされたリュクスなアイテムは、100年後のヴィンテージになること間違いなし!
【サルヴァトーレ フェラガモ】抜群のバランス感覚で、重厚なクラフトワークを軽やかに
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クリエイティヴ ディレクターのポール・アンドリューが「洋服は時にあなたを定義付ける存在となります。しかし、自由なマインドを持って洋服を着用するとき、洋服は、自己表現や変化、変革をするためのツールとなり得るのです」と語るように、今季のフェラガモは、まとう人の意志を尊重し、支えてくれるようなムードを感じました。ハンサムなセットアップやしなやかなレザーのドレス、繊細なゴールドチェーンを連ねたフリンジスカートなどどれもが着る人のパワースーツになるような。まさに、現代の”ワンダーウーマン”たちのワードローブです。また、デイリーに映える新作バッグは"100年後のヴィンテージ"といっても過言ではないタイムレスな雰囲気が素敵。前シーズンデビューしたVIVAの進化系シューズにも注目しています。
【ドルチェ&ガッバーナ】イタリアが誇るクラフツマンシップを詰め込んだ、珠玉のブラックスタイル
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ドルチェ&ガッバーナの会場に入ると、職人たちの仕事場を再現したスペースが。実際にニットを編んだり、ビジューのパーツを制作しているところを見ることができました。ランウェイにはそうして生み出されたアイテムが続々。今シーズンは特にボリューム感が新鮮なロングコートやカーディガン、プルオーバー、ロングマフラーなどいろんな手法のニットが豊富です。しかも前半のルックはほぼオールブラック! 全てを包み込む色でもある黒の、力強さとセンシュアリティを感じる、可愛らしいコレクションでした。