昨今のランウェイで見られる傾向のひとつが、明確なテーマを設けないコレクション。ブランドの歴史やデザイナーの故郷など、より内省的なコンセプトに着想を得たクリエイションは、タイムレスな美的感覚、そしてものづくりの真髄を感じられるものばかりだ。
【ロエベ】クラフトへの愛を込めたコレクション。日本人作家とのコラボレーションも
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ふわりと膨らんだ袖や流れるようなドレープ、誇張されたシルエットが目立った今季のロエベ。クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アダーソンが掲げたテーマは「ファッションと遊ぶことを愉しむ」でした。ブロードやジャガードシルクなどの豪華なファブリックやドラマティックなラインが、今までにない装うことへの喜びを伝えてくれます。また、「ロエベ ファンデーション クラフトプライズ 2018」の特別賞受賞者である陶芸家、桑田卓郎とのコラボレーションも。写真1枚目の「フラメンコ」クラッチなどにあしらわれたユニークなモチーフにぜひご注目を!
【ニナ リッチ】祖国への憧憬、美しいオランダのわたし
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ニナ リッチのクリエイティブ・ディレクターを務める、ルシェミー・ボッターとリジー・ヘレブラーは、共にオランダにゆかりを持つデュオ。オフホワイトから始まり、ヘーゼルやグレイ、ブラウン、と言ったニュアンスある今季のカラーパレットは、祖国オランダの風景から着想を得たものだそう。時折挟まれるオレンジやロイヤルブルーの差し色やフラワープリントが、鮮やかな印象を残します。アイコニックな帽子は今シーズンも登場!ブリムが深くなり、よりロマンティックに進化しました。またレイヤリングの妙も見どころのひとつ。素材もさまざまなオーバーサイズのシャツとジャケットの組み合わせは、今すぐ取り入れたいスタイリングです。
【ノワール ケイ ニノミヤ】黒から広がる、エネルギー溢れる赤の世界
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黒の中にある強いもの。ノワール ケイ ニノミヤが追及する黒の可能性が、今シーズンは赤から黒へのグラデーションで表現されました。幾重にも重なるフリルやニット、フリンジ、チュールなど、素材もシルエットもさまざま。ルックを追うごとに縦横無尽に赤と黒の世界が広がっていきます。足もとを彩るのは、初となるチャーチとのコラボレーションシューズ。定番のシャノンに、安全ピンで作った花やリベットがあしらわれた、パンクマインドを感じる一足です。一体一体にパワーが凝縮されたエネルギッシュなコレクションでした。
【エルメス】カラフルなステージとコレクションに垣間見る、メゾンの広大な世界
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会場に設えられたカラフルなバーの森。実は、馬の障害競走などに使われるジャンピングバーを縦にして並べたものなんだそう。その森を駆け抜けるモデルたちがまとうのは、白を基調に赤やブルー、グリーン、イエローなどのカラフルな装い。フレッシュな色の組み合わせがパワフルなハーモニーとなって、ポジティブなムードを演出しています。暗い世相を反映してか、黒い服が目立つ2020-21秋冬シーズンにあって、鮮やかな色のもつパワーを再認識させてくれるコレクションでした。また、モデルたちの唇を彩るのは、待望のデビューを果たした、メゾン初の口紅 “ルージュ・エルメス”。エルメスがかける色の魔法から目が離せません!
【ジバンシィ】知性とフェミニニティを兼ね揃えた、強くて賢いパワーウーマンたちへ
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今シーズンのジバンシィが着想を得たのは、ポルトガル出身のアーティスト、ヘレナ・アルメイダの「私の作品は私の身体であり、私の身体は私の作品である。」という言葉。反骨精神に溢れた彼女の意思を象徴するような、パワーショルダーのルックが多数登場します。けれどもそれが単なる強さの表現に留まらないのが、クレア・ワイト・ケラーの描く女性像。いずれも銀幕の中に生きる女優のようなセンシュアリティを備え、エレガントな魅力にあふれています。キーカラーとなるのは、目の覚めるような赤やブラウン、ブラック。知性とフェミニニティを兼ね揃えた、大人の女性のためのファッションです。