シーズンのフィナーレを飾る、パリのビッグメゾンのコレクション。中でも一際注目を集めたのは、初のメンズ、ウィメンズ混合でのショーを開催したセリーヌ、清廉かつ力強い純白の世界を作り出したシャネル、そしてルーブル美術館を貸し切り、時空を超えたハイブリッドスタイルを披露したルイ・ヴィトン。シーズンを象徴するスタールックの中で、『SPUR』のページを飾るのは?
【セリーヌ】エディ・スリマンによる服と香りが描く、70年代パリのエスプリ
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初のメンズとウィメンズの合同ショーとなったセリーヌ。先シーズンに引き続き、70年代のブルジョワスタイルがインスピレーション源となっています。ボウタイブラウスや膝丈のドレス、フレンチシックなデニムなど、エターナルなアイテムがよりモダンかつセンシュアルに進化。ユニセックスで着られるルックも多数あり、男性の着こなすフェミニンなジャケットスタイルにもキュンときました。話題はフランスを代表する彫刻家、現代美術家のセザール・バルダッチーニとのコラボレーションによるジュエリー。ギュッと圧縮したペンダントがアクセントになっています。また、今回は男女合わせて111ルックに及ぶコレクションでしたが、全員がセリーヌ オート パフューマリー コレクションのレプティールの香りを身につけていたそう。ロックスターをイメージしたウッドとレザーの香水で、70年代のスピリットを現代によみがえらせて。
【アレキサンダー マックイーン】サラ・バートンからのラブレターを、ウェールズの伝統的なモチーフに乗せて
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ビビッドな赤と、ハートのモチーフが印象的だった今シーズンのアレキサンダー マックイーン。それもそのはず。実は、クリエイティブディレクターであるサラ・バートンからのラブレターがテーマとなっていたんです。勇敢な女性たち、家族、同僚、友人に向けた愛情あふれるメッセージを、コレクションに重ね合わせて。洋服の着想源になったのは、英国・ウェールズの民族衣装。キルトやエンブロイダリー、たっぷりとしたシルエットなどに、フォークロアなムードが漂います。人の体温や手触りを感じるファッションこそ、最も崇高な愛の形のひとつなのかもしれません。
【シャネル】白の世界に描き出された、パワフルでピュアな愛
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まるで浮島のように配置された白いセットのなかを二人あるいは三人のモデルが連れ立って歩いていく。今シーズンは、シンプルでありながら服の美しさが際立つ演出で、アーティスティック ディレクターのヴィルジニー ヴィアールのファッションに対するピュアな思いが伝わってきました。着想源になったのは、騎手のスタイル。ガブリエル シャネルは、乗馬を嗜む恋人の影響もあって自身でも「ロマンティカ」という競走馬を所有するほどに馬に熱をあげていたそうですが、そこから発想を膨らませ、愛するものへの情熱をファッションに託しました。ほぼすべてのルックに乗馬ブーツを合わせ、ユニークなシルエットのジョッパーズや騎手の服を彷彿とさせるルック、中にはペガサスのプリントも。さらにガブリエルが愛したビザンチン芸術からインスパイアされたコスチュームジュエリーをレイヤード。好きなものを自由に遊ぶ、まっすぐで強いメッセージです。
【ミュウミュウ】多難な時代だからこそ、自分自身のために着飾る喜びを謳歌して
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ピュアで鮮やかなカラーパレットやプレイフルなチェック、きらめくビジューのディテール…。見た瞬間にキュンと心を刺激されるルックが次々と登場したミュウミュウ。今シーズンのテーマは「TOYING WITH ELEGANCE」。純粋にファッションを楽しもうという、ミウッチャ・プラダからのメッセージが込められています。日常生活をスムーズにするための機能や社会の信用を得るための服ではなく、単純に服を着た時に感じる喜びにこそフォーカスする試みは、暗いムードが漂う今こそ心に強く響きました。グランドフィナーレでは、出演したモデル全員が大階段に整列。胸が高鳴る服があれば毎日を生きる糧になる、と力強くアピールする演出でした。
【ルイ・ヴィトン】時をかける、モードなタイムトラベラー
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指揮者がタクトを振る先には、15世紀から1950年までのさまざまな時代の衣装を身にまとった200人もの観客の姿が。時を超えて集ったゲストたちが見守る中、ルイ・ヴィトンのショーは始まりました。コレクションのテーマは、ずばり「タイムクラッシュ」。伝統的なスタイルと現代のスタイルが対峙し、衝突して、予想外の組み合わせや見たことのないハーモニーを奏でます。時代や国境、性別、年齢の垣根を超えたハイブリットなルックは、いずれもパワフル。スポーティをベースに、○○風という型にはまらないルックが次から次へと登場します。暗く不安なムードが漂う中にあって、ニコラ・ジェスキエールの描く力強い近未来の姿に、明るい希望を感じました。