ジョナサン・アンダーソンに特別取材、最新秋冬コレクションの制作秘話をインタビュー!

金曜の夜。いつもと変わらない、忙しない編集部のデスクに、大きな筒状の包みが届いた。開くと、B1サイズの巨大なポスターが現れる。JWアンダーソンの2021-22年秋冬コレクションのルックブックだ。

Photo courtesy of brand
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ジョナサン・アンダーソンは今シーズンのコレクション制作の中で、2人のアーティストとコラボレーションを果たした。一人目はケニヤ生まれのイギリス人陶芸家マグダレン・オドゥンド。そして二人目は、イギリス在住のアメリカ人陶芸家であり、パフォーマンスアーティストのシャワン ダ・コーベット。特にマグダレンにおいては、ジョナサンが「長年敬愛してきたアーティストであり、大切な友人」と語るほど親交が深い。

「マグダレンと出会ったのは、2017年。私がゲストキュレーターとして参加した、ヘップワース・ウェイクフィールド・ギャラリー(イギリス、ヨークシャー地方のコンテンポラリーギャラリー)での展覧会でのことでした。それ以前より彼女の作品の大ファンで、実際に作品を蒐集していたこともあり、その後数年をかけて交友を深めてきました。

これまでに何度もJWアンダーソンでのコラボレーションを発表してきましたが、昨年のパンデミックの中で、彼女とより密接に対話するようになったのです。彼女との対話の中で得られたパーソナルな視点を、より広く知ってもらいたい。そんな思いからコラボレーションが始まりました。シャワンダの作品に出会ったのは昨年7月のこと。シャワンダについてマグダレンに話を持ちかけると、彼女のことをよく知っていると聞きました。今回のコレクションでは、両アーティストの作品をモチーフにしたリミテッドエディションのブランケットを制作しました」。

Photo courtesy of brand
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色鮮やかなイエローのブランケットが映った写真。モデルのノウエス・リアムが、まるで家にいるかのようなくつろいだ様子で佇んでいる。どうやら最近のジョナサンは、“タクタイル (触って感じることができる)” なものに目がないようだ。そのことは、先の大判ポスターを見ても伝わってくる。

「撮影は、先シーズン2021年プレフォールコレクションに続き、ユルゲン・テラーに撮影を依頼しました。ランウェイショーを開催できない今、通常ショーのゲストとして来てもらうメディア関係者には、実際に手で触れて何かを感じ取るツールが必要だと感じました。ルックブックではマグダレンのとシャワンダセラミック作品の静物画、そしてポートレートを組み合わせ、複合的なメッセージを込めています」。

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パンデミックによって変わったのは、コレクションの発表形式だけではない。コレクション制作の過程においても、以前とは異なるプロセスを取り入れるようになった。

「前よりも本を読んだり、テレビを観たりする時間が増えました。大好きな美術館巡りができなくなったのは悲しいですが、これまで以上に身の回りのことに目を向けるきっかけにもなりました。従来のランウェイショーが懐かしいのは事実ですが、今は自分たちが置かれている状況を何より大切にしたいと思っています」。

text:Shunsuke Okabe

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