【2023年春夏東京コレクション】エディター注目の3ブランドをピックアップ! 展示会で気になるアイテムを試着してみた

東京のファッションシーンがまた面白くなってきた! 東京のファッションウィークである「Rakuten Fashion Week TOKYO」通称“東コレ”が、2022年8月29日(月)〜9月3日(土)の6日間で開催された。今回は着実にファンを増やしている若手から、実力派として数年ぶりに東コレにカムバックしたブランドまで、東京らしい幅広い個性がラインナップ。東コレを見続けて9年のエディターが注目した3ブランドを、展示会でのリアル着用とともにレポート!

美しいと思う心を肯定するFETICO

ファッションウィークのトップバッターを飾ったのは、今最も勢いのあるドメスティックブランドのひとつ、FETICO(フェティコ)。2023年春夏コレクションのコレクションテーマに掲げたのは、「Admire Your Own Body」。2022-23年秋冬コレクションに登場し人気を博したセンシュアルなリブニットは、カーディガンやホルターネックドレスとして進化。今季はどこかスポーティな印象を与える、網目が大きく開いたメッシュ素材のアイテムとのレイヤードが新鮮だ。ショーのリリースには「美しくあろうとする意識を持つ人はそれだけで美しい」というデザイナーの言葉が記されていて、朝からグッとくる場面も。

FETICO展示会レポート

タイトなシルエットや大胆な肌見せなど、フェティッシュなスタイルに定評のあるフェティコですが、そこに束縛するような窮屈さはありません。レース柄のニットボディスーツは、丈夫でありながらも柔らかで、素肌にヴェールをかけたような優しい着心地。ショーではシアーなビスチェを上から重ねていたジャケットは、背中が大胆に開いています。インナーで遊ぶか、肌を見せるか、悩ましいところ! ブランドとして初挑戦となるシューズは、パテントレザーで仕上げたザ・フェティッシュな佇まい。ヒールは約12cmとかなり高めですが、とても軽く、調整できるストラップが2本ついているので、意外にも歩きやすかったです。来シーズンも自由に肌見せを楽しむ“フェティ子”たちが増えるに違いありません!

知的好奇心を掻き立てるYOHEI OHNO

5年ぶりのカムバックとなったYOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)は上野の国立科学博物館でショーを開催。「夜の博物館ってそれだけでワクワクする……!」と心を躍らせていたら、期待を上回るエキサイティングなショーを見せてくれた。ファーストルックに登場した腰を覆う巨大なウエストポーチは、19世紀後半のバッスルスタイルを思わせる。ブランドが得意とするメタリックな素材が放つのは、フューチャリスティックなイメージ。時代や空間を縦横無尽に飛び回るようなルックで、8分間の時空旅行を楽しませてくれた。会場に博物館を選んだ理由は「大音量で恐竜の骨を震わせたかったから」だとか。ブランドの軌跡と成長を感じる、エネルギッシュな時間だった。

YOHEI OHNO展示会レポート

会場だけではなくガッチリ心も震わせられつつ、「実際着たらどうなの?」ということで、展示会ではショーで気になったセットアップなどを試着。ボトムスはギリギリのラインまで透けた素材で攻めてきますが、セクシーとか色っぽいという言葉ではなく、「ここをこうしたら面白いのでは?」という純粋な好奇心を感じます。こちらも「着こなしてやろうじゃないか!」と気合が入る一着。巨大ウエストポーチは斜めがけにして使うのも良さそう。最後の一枚はショーピースですが、なんだか気の抜けた顔の可愛い板があったので記念にパシャリ。さて、ショーではどのルックで登場しているでしょう!

空想の世界で反抗を描くHOUGA

ドリーミーな世界観とボーダーレスな提案で世代や性別を問わず人気を拡大しているHOUGA (ホウガ)が、2度目のショーを開催。テーマは「MY WILL, OUR WILL」。自分の感覚を信じ抜く強い意志、そして押し付けられた“当たり前”への反抗を、得意のフリルとデコラティブなシルエットで表現した。着想源となったのは、デザイナーが幼い頃から大切に集めてきた鉱石や宝石。それらを連想させるシルバーやルビーピンク、サファイアブルーが、パンキッシュでガーリーなHOUGA流の反抗心を鮮やかに主張している。

HOUGA展示会レポート

つけ襟やベルトとして使えるマルチウェイのアクセサリーや、腕や頭を出す位置によって色々な着こなしが楽しめるハーネスなど、HOUGAにはその魅力の引き出し方を着る人に委ねてくれるアイテムがたくさんあります。今季はシアーやメタリックの素材でそれらをアップデート。定番のドレスに合わせたのは、ロックな印象をプラスするスタッズつきのベルト。チュールが身体に沿うようにあしらわれたベストは、薄くて軽い素材なのでレイヤードしやすいのがポイントです。HOUGAの国で採れた鉱石をイメージしたというパウチに入っているのは、なんとTシャツ! 洋服を手のひらサイズに圧縮する「PocketTips」とのコラボレーションです。開封した時に現れるシワを、デザインとしてそのまま生かしているのだとか。

コロナ禍で思うようにコレクションを発表できない期間が続いたこの2年。その影響もあってか、今季は「原点回帰」というキーワードがどのブランドからもうかがえた。じっくりと自分自身に向き合った結果、初期のクリエーションに立ち返りパワーアップするブランド。あるいは原点から今が確実に地続きであると確信し、変化を恐れず強さを増したブランドもあったように思う。次のシーズンではどんなスタイルを見せてくれるのか、今からすでに楽しみでならない。

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