新生【CARVEN(カルヴェン)】に迫る! いきなり"大好きになった"人続出の新クリエイティブ・ディレクターを直撃 

「新しいページを始めることにとても興奮している」と語るルイーズ・トロッター。歴史的メゾンの再出発へのビジョンとは?

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Louise Trotter

イギリス出身。ニューカッスル大学でファッションを学び、ギャップ、次いでカルバン・クラインに。2009〜’18年はジョゼフ、2018〜’22年はラコステ、’23年からはカルヴェンのクリエイティブ・ディレクター。

©Ezra Petronio

CARVEN(カルヴェン)とは?

1945年にカルメン・ドゥ・トマソ(通称マダム カルヴェン)によるクチュールメゾンとして始動し、その後水着や子ども服、香水を加えて発展。ブランクを経て2009年以降はギョーム・アンリのほか数人のデザイナーを迎えた。

 

【インタビュー】目指すのは、自身のために装う女性の服

——このコレクションのインスピレーションは?

ルイーズ(以下) 日常のあらゆるシーンが着想源ですが、基本はオプティミズム。マダム カルヴェンが提案した"楽しさ"です。

——スタイルでいうと、装飾的なマダム カルヴェンの服とあなたのミニマルなクリエーションは、対極にあるように思えます。ガリエラ美術館でカルヴェンのアーカイブスを見たとき、何を感じ取りましたか?

 特定のデザインや製品ではなく、若々しく、ポジティブでオープンなスピリットです。彼女は新しいアプローチを提案し、世界に目を向けたマーケティングのパイオニアでした。たとえば当時では珍しい、本拠地とは違う地でショーを開催すること。私にとってカルヴェン・ウーマンは、時代に合った生き方をしながら、他人に媚びるのではなく自分のために装う女性です。意図しているのは、着る人に興奮やドラマよりも自信を与える服を作ること。何よりも、女性たちが存在価値を示して発言権を持つことを助ける、そんなブランドにしたいんです。

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1 「あてもなくのみの市をぶらついていて見つけたのが、たくさんの”ビジュー”。これはバッグにパーソナルなタッチを加えられる、とひらめきました。ジュエリーの一部には陶芸家による作品も。手仕事が感じられる職人技も大切です」と、ルイーズ

——象徴的なグリーンと白のストライプ(2)も取り入れられましたね。

L カルヴェンのコードを私なりのやり方で表現しました。メゾンの歴史をとても誇りに思いますが、ノスタルジックではありません。

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2 マダム カルヴェンが好んだグリーンと白のストライプを、ルイーズ流にアレンジ

——とてもモダンで絶妙な女性らしさが印象的でした。シアーな素材や大きな肩、ウエストマークだけど"セクシー"や"パワフル"とは違う。

L 確かにそういった言葉は考えませんでした。私はランジェリーとメンズウェアのテーラリングの共存など、矛盾を楽しんでいます。不自然ではなくイージーで、その人のスタイルを感じさせるのが理想ですね。

——トレンチコートやテーラードジャケット、ミドル丈のスカート(2・3)。これらキーアイテムのデザインにはどう取り組みましたか?

L カッティングを一度完成させてから、さらに手を加えました。見た目の美しさを大切にしつつ、動きやすさを確かめるんです。仕立てが素晴らしくても、着ているときはそれを忘れてしまう。そんな服が好きなので。

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3 ベーシックアイテムで構成しつつ、シアーやシャイニー素材でモダンなムードに昇華

——ペールトーンに鮮やかな色を加えたカラーパレットや、マットとシャイニー、透けるものと透けないものの組み合わせなど、重ね着もとてもインスパイアリングでした。バランス感は綿密に計算しましたか?

L いえ、自然な流れです。私の仕事はとてもオーガナイズされているので、おおむねのアプローチは最初からあるものの、フィッティングで最終的なタッチを加えます。テーラリングやパターンにはとても正確なやり方で取り組んでいても、ちょっとした偶然を取り入れたいんです。

——どのシルエットでも、常にスポーティなテイストが感じられました。

L スポーツウェアは専門的で機能的なところが大好きです。"さあ起きて、一日を始めよう"というポジティブなフィーリング。デザイナーとしては、スタイル、ファブリック、製造方法においてスポーツウェアを念頭に置きつつ、ほかの文脈に落とし込むのは興味深いですね。

——ところで、今のところメゾンやあなた自身からはあまり発信がないですよね。SNSの投稿も少ないですし、ウェブサイトもインデックスのみ。今後どんなコミュニケーションをしていく予定ですか?

L 2024年の春にファーストコレクションが入荷される頃には、ロゴもウェブサイトも一新されます。私たちはカルヴェンを長く愛される"ホーム"にしたく、このプロジェクトに対しては長期的なビジョンで取り組んでいるんです。だって、一度にたくさんのことを言う必要はないでしょう?

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4 バッグはわしづかみで
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インビテーションは、ルイーズが以前から好きなアーティスト、アリソン・ワットの作品。「何度もこの絵にインスピレーションを求めました。折り線が記憶された白のページは、私の仕事の出発点を象徴しています」。Alison Watt《Warrender》(2016)
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