ファッション・プロ10人の超私的【2024 S/S コレクション】レポート

現場ならではのプチハプニングから、オフランウェイのニュースまで。貴重なエピソードをたっぷりご紹介

飯田珠緒さん(スタイリスト)

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異例の長さ! "自由すぎる"ショーにほっこり

「服もスタイリングも好きなメリル・ロッゲ。今回も少し萎れた装花や、ビニールに包み積んだ椅子など会場の設えはセンス抜群。ただPFW最終日のラストだったからか、プレゼンテーションはなんと1時間超え! 途中で犬を連れたお客さんが来たり、PRの方がワインをサーブして回ったり。フリーダムな空気感も含めてユニークで興味深かったです。しかし、長かった!」

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パリの最愛レストラン、Le Baratinの料理に舌鼓

「7、8年前に料理家の渡辺有子さんに教わって以来、パリに来るたび訪れています。チャイナタウンにある夫婦が営むビストロで、ふたりとも塩対応(笑)。予約は電話のみ、メニューも筆記体なので、語学堪能な知人と訪れます。3年半ぶりの今回もすべての料理が変わらず、文句なしのおいしさ! 前菜からメイン、デザートまでハズレがありません。以前ここでLCDサウンドシステムのジェームス・マーフィーと遭遇したことも」

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ソフィ・カルの個展があまりに素晴らしかった

「ピカソ美術館で彼の没後50周年を記念して開催されている展示『À toi de faire, ma mignonne』。ソフィ・カルがずっと好きで、日本でもさまざまな展示を見てきた私。PFW最終日より会期がスタートすると知って駆け込み! ピカソの絵に彼女の言葉を載せたカーテンを垂らしたり、写真がコラージュされていたりと大充実でした。翻訳アプリを駆使しつつ見たものの1時間では足りず。再訪するためにパリに戻りたいくらい。写真は会場で購入したカタログ(右)とバッグ(左)」(2024年1月7日まで開催中)

渡邊 薫さん(スタイリスト)

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Profile

セレクトショップの販売員を経て小川夢乃氏に師事、2020年に独立。

写り込み事件と気になるモデル

「パロマ ウールのショーで座った席が、たまたま撮影ブース沿い(写真右)。後ほどオフィシャルフォトを見たら、ほぼすべての写真に自分が写り込んでいました。あまりにシリアスな表情だったので、次回は朗らかに臨みたいです。気になったのは、パロマに加えてパウラ・カノヴァス・デル・ヴァス、メリル・ロッゲに起用されていたモデル、Emilie Montfoort(Instagram: @e.mi.lie)(写真左)。 特にパウラは服を着たり脱いだり、撮られたりという演出。彼女の所作やミステリアスな雰囲気が服とマッチしていました」

渡部かおりさん(エディター)

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AP/アフロ

リック・オウエンスの愛を感じた

「演出にもっとも感動したのは、リック オウエンスのショー。パリの曇り空にピンクとイエローのスモークが広がり、バラの花のシャワーが。コントラストが美しかったのはもちろん、独創的なコレクションの根底にあるリックの人類愛や、弱き者に寄り添う優しさをひしひしと感じました」

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bfa.com/アフロ

モードなカップルを発見

「コム デ ギャルソンのショーで前列にいたフォトグラファーのユルゲン・テラーとパートナー。ネオンカラーのペアルックで、手にはロンドンのDAUNT BOOKSのエコバッグ。最初は誰かわかりませんでしたが、会場外でファンが集まっていて確信。さすがのオーラを放っていましたね」

髙橋 恵さん(ジャーナリスト)

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Profile

ミラノ在中のジャーナリスト。特派員として現地の旬の情報を発信。

ミラノの街がグッチ色に染まった

「ブレラ地区のギャラリーで開催されたグッチの展覧会。新クリエイティブ・ディレクター、サバト・デ・サルノが選んだブレラ美術学院のアーティスト数名の作品が展示されたのですが、人気のあまり数百mの入場待ちの行列ができていました。並んでいた人に聞くと、多くがSNSで知り、駆けつけたとか。中には、『トラムや街の広告もグッチ一色だったから、つい来てしまった』という人も」

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靴は"可愛い系"がキテる!?

「エレガントな印象のジャンヴィト ロッシですが、今季はころんとしたフォルムでキュートなテイストでした。特に豊作だったのがバックスリングタイプ。ロッシ氏曰く『若い子たちがヴィンテージ的な魅力を感じるみたいだよ~』。懐かしくて可愛いシューズトレンドに注目!」

高玉あかねさん(コーディネーター)

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Profile

SPURの取材もサポートするミラノ在住のコーディネーター兼ライター。

今、改めて感じる手書きの温かみ

「昨今は、E-インビテーションに移行しつつあり郵送で招待状を受け取ることも減りました。そんな中、美しいカリグラフィーで丁寧に名前が書かれたマックスマーラのインビテーションにジンと心が温かく。心遣いがうれしく、ショーがいっそう心待ちになりました」

大杉真心さん(ファッションジャーナリスト)

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Profile

『WWD JAPAN』の記者を経て、フリーランスのライターに。文化学園大学の非常勤講師としての顔も。

終わりよければすべてよし!

「ドルチェ&ガッバーナでは、ゲストのカイリー・ジェンナーの遅刻でショーが50分押し。会場に流れるビリー・アイリッシュの『What Was I Made For?』を無限ループで聴きつつ、来場客はやきもき。いざ始まると華やかな世界観とラストを飾ったナオミ・キャンベルのウォーキングの美しさに大感動。会場は大きな拍手に包まれました」

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常識を吹き飛ばす粘土の服

「ジェイ ダブリュー アンダーソンの招待状は、アイルランド製のカラー粘土。不思議に思っていたら、なんとファーストルックが、粘土で作られたパーカとショートパンツ! シワや陰影を再現した歪んだ形が独特で、ありふれた日常の定番をプレイフルに表現していました。クラフトを愛し、新たなフォルムを探究し続けるジョナサンらしい!」

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会場に出現したヴィーガン屋台

「ショー会場にサステイナブルな屋台が並んだステラ マッカートニー。ステラの母で、ベジタリアンのパイオニアであるリンダの食品ブランド「リンダ・マッカートニー・フーズ」は、オリジナルの大豆ミートを使ったバーガーを提供していました。香りは牛肉そのもので、食感は少しパサつきがあるものの、満足感はあり! お昼時だったので、空腹を満たしてくれました」

金子夏子さん(スタイリスト)

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パリでは素敵な出合いも

「ショーの合間にパリの6区で催されていたのみの市へ。スキー好きなので、スキー関連のものを見つけるとつい買ってしまいます。アライア財団によるコレクションの展示やソフィ・カルの展覧会にも伺えてとても刺激的でした」

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麗しのあの方を発見!

「街中がランウェイとなったステラ マッカートニーのショーには、数々のスターが訪れていましたが、ケイト・ブランシェット様に遭遇できたのはかなりうれしかったです。デニムのセットアップスタイルが素敵でした」

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カルヴェンのセンスの虜

「カルヴェンの新しいクリエイティブ・ディレクターのルイーズ・トロッターのセンスが素晴らしかった。洋服はもちろん、テーブルセッティングやグリーンの使い方もとてもおしゃれ。今シーズンは残念ながら日本に入ってこないらしいですが上陸が楽しみです」

栗山愛以さん(ファッションライター)

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Profile

多くの雑誌で活躍するファッションライター。2014年からパリコレを取材。

話題性大の気鋭ブランド

「オフスケジュールでショーを開催したALL–INは、勢いがありました。スタイリングを手がけるロッタ・ヴォルコヴァを筆頭に、スタッフは一流。モデルとしてはイッサ・リッシュが登場するなど豪華でした。パリベースで雑誌も発刊しており(見たことないですが……)、既存の衣服を再構築するという特殊なスタンスを含め今後も注目していきたいです」

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パーソナルな要素を感じて

「伝統的なショーに則って、最後をマリエで飾ったバレンシアガ。しかもまとったのは自身の夫というからびっくり! おまけにウェディングドレスはアップサイクルされている……と、全体を通してデムナらしいひねりがきいていました。幸せな結婚生活なんだろうな、と心はほっこりしつつも、ウェアやメイクはゴシックテイストでかっこよかったです」

早川すみれさん(スタイリスト)

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Profile

モード誌を中心に活動するスタイリスト。ミニマルで洗練されたスタイルが人気。

空間全体で表現するショーに魅了されて

「演出も含めて印象的だった、イッセイ ミヤケ。音楽はブリュッセルのアンサンブル、Ictusが担当し、パフォーマンスは若手コリオグラファーのネモ・フルレが手がけるなど、演出面でも圧巻の見ごたえ。スタイリングもいつもよりロマンティックで、ブランドの新しい一面が見られました」

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AP/アフロ

"ドリス"のスタイリング力に感服

「職業柄、ランウェイにおいてもスタイリングが気になります。中でも素晴らしかったのは、ドリス ヴァン ノッテン。着せ付けの上手さに魅せられましたし、音楽を伴って歩くモデルのモーションまでも計算されていて、写真や映像では受け取れない不思議なスタイリングのパワーを感じました。フェザーを髪や目もとにあしらったヘアメイクアップも素敵でした」

西條真希さん(ファッションジャーナリスト)

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ダイアン・キートンに遭遇

「ラルフ ローレンのショーにゲストとして来場していたダイアン・キートンに個人的にとても感動しました。いつも変わらない、トラッドで洗練された着こなしはニューヨークの不朽のアイコン。少女の笑顔のように好奇心に満ちたキラキラした瞳も印象的でした。私にとって永遠のミューズです」

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気になったのはDIOTIMA

「ジャマイカ出身のデザイナーによる2021年設立のブランド。地元の伝統的なクロシェを基盤としたセンシュアルかつ都会的なコレクションを提案していて、新しい風を感じます。カリビアンのビジュアルランゲージを広げようとするアプローチも魅力的です。ワードローブに少しモードなアクセントとして取り入れたくなるような、目を引くアイテムが多く揃っていました」

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