2月20日から26日の期間に開催された2024-25年秋冬ミラノファッションウィーク。早くも、気になるのがネクストトレンドですよね。現地ミラノを取材したSPURエディターKとRがそれぞれのアンテナに引っかかったアイテムやデザインをトーク。ファッションキーワードとともにコレクションを振り返ります!
1. 吹き荒れる! モスグリーン旋風
エディターR(以下R): 約1週間にわたるミラノコレクション取材、お疲れ様でした! 20以上ものブランドのショーと展示会を取材しましたね。早速ですが、次なる秋冬の最注目キーワードはなんですか?
エディターK(以下K): 最も印象的だったのはモスグリーンカラー。抹茶色とも表現できるような、渋いグリーンが複数のブランドから登場していたので、トレンドカラーになることを確信しています!
R: 示し合わせたかのように、いろんなブランドから提案されていたカラーですよね。秋冬らしいくすんだトーンなので、日常で着やすそう。
K: そうそう。馴染みがいいからいろんな色合わせが楽しめそうだけど、圧倒的に全身モスグリーンのルックが多かった! それでも圧がなくて優しい雰囲気にまとまってたから、その汎用性の高さに気付かされましたねー。
R: ベーシックカラーと同じような気持ちで使える色なんだな、って感じました。グッチやバリーのようにアウターからモスグリーンにトライするのもあり。”モスグリーン イズ ニュー ブラック!” そのくらいの感覚でガンガン取り入れていきたいです。
2. お行儀のいいコート
K: アウターの話をすると、今季はかっちりとしたお行儀のいいデザインが多くなかった? ピーコートのようなトラッド風のものや正統派な印象のダブルボタンなど、クラシックでした。
R: ファーストルックとして登場したフェラガモのピーコートは、裾部分に太いベルトが配されていて、今っぽさも抜群で可愛かったです。ドルチェ&ガッバーナからは、着るだけで背筋が伸びそうな、タキシードをアレンジしたロングコートが。
K: ここ最近は、ショートコートやダウンジャケット、レザーコートなどカジュアルなアウターが人気だったから、その反動もあるのかも? キリッとした正統派のアウターがあれば、一気に雰囲気が変わりそうです。
R: あ〜また今年もアウターが欲しくなりそうですねー。毎年、今季は買わない!って誓ってるのに……。
3. ラウンドシルエットに包まれて
R: アウターで言うと、ふっくらまあるいシルエットのジャケットやコートが多かった記憶があります。
K: 肩から腕に掛けてカーブを描くラインが目立ってましたね。一方でウエストはキュッと絞られていて、そのコントラストが面白かった。
R: フェミニンなボディラインがモダンな形で強調されていると感じました。ボトムスはペンシルスカートやストレートラインのパンツでコンパクトにまとめていたルックが多く、このバランスならすっきり見えそうだし、マネしてみたいと感じました〜!
K: 長らくオーバーサイズが主流だったジャケットにも、新しいシルエットの選択肢が出てきた、といった感じ。オニツカタイガーのように、インナーにフーディを着て、スポーツミックスを楽しむのもよさそう。
4. 活動的な深スリット
K: さて、もう少し細かいディテールにフォーカスしていきましょう。大胆なスリットの入ったボトムスが目立っていた気がします。
R: ヌメロ ヴェントゥーノは、ファーストルックから深いスリットが印象的でした。一見ネイビーのニットセットアップでお嬢様風なのにスカートのサイドにはガッツリ……! 今季のスリットは、センシュアルというよりは、”パワフル”、”活動的”と言う表現の方が似合う気がしました。
K: 潔いあしらい方がそう思わせるのかもしれませんね。大股で歩けるからうれしい。重たくなりがちな秋冬の装いのいい抜け感にもなりますし、旬のロングブーツも映えるディテールです。
R: フェンディのように、スリットからカラータイツを覗かせるのもスタイリッシュ!
5. 視線集中! ウエストマーク
K: あと腹巻も多かったです。
R: コルセットですよね。ショー終わりに会った、モデルのミカちゃんにも言われてたじゃないですか!”No, corset!”って(笑)。
K: そう、めちゃめちゃいい発音で訂正してくれた。美佳ちゃんが登場したマックスマーラは、ニットコルセットのオンパレード。ウェアとトーンを合わせ、コルセットの上にさらに細いベルトをしていたのがシックでした。
R: スポーツマックスは、コートやジャケットの上に重ねていました。素材も多様で、太ベルトのようなレザー製から本当に腹巻のような(笑)布製まで。
K: ベルトでアクセントをつける着こなしも目立っていましたね。トッズは、ゴールドのバックルがインパクト大のベルトが、ミニマルなスタイルのいいアクセントになっていました。
6. 意外性のあるバックスタイル
R: 私はバックスタイルにアクセントがあるルックも気になりました。代表的なのはプラダです。
K: 禁欲的なウールのタイトスカートも、後ろに真っ赤なフラワーモチーフがついていたり、ジャケットもバックは素材を変えて仕立ててあったりとかなり二面性がありました。
R: 男性的な素材を女性らしいラインで仕立てたり、女性的なデザインに新しい解釈を加えたりといった実験を試みた今季のプラダのテーマが顕著に現れたアプローチですよね。
K: ディースクエアードでは、ジャケットを前後逆で着たようなユニークなドレスも見つけました!
7. ニットはビッグ or リュクス
R: 秋冬と言えば、はずせのないのがニット。今季らしい傾向はありましたか?
K: グッチやブルネロクチネリで見た、ビーズやスパンコールのついたラグジュアリーなニットが新鮮でした。
R: ジルサンダーは、ニットの上に繊細なメッシュをかぶせていて、紗をかけたようなニュアンスを生んでいたのが面白かったです。メゾンの技が光る、クチュールニットは注目かもしれませんね。個人的には、オーバーサイズニット×ロングスカートのリーンなバランスでの着こなしも好きでした。モスキーノのテクスチャーのあるニット×ティアードスカートやトッズのニットセットアップなど。
K: グッチとボッテガ・ヴェネタに登場した、カーディガンとプルオーバーがくっついた”進化系アンサンブルニット”が私的おすすめです!
R: ここ最近は、比較的プレーンなニットが人気でしたが、ひとくせ効いたニットが次の秋冬は着たくなるかもしれませんね!
8. 日常を彩るレッド
R: すでにカラーはモスグリーンを挙げてますが、レッドも多くなかったですか?
K: 複数のブランドが提案していましたね。中でも、こっくりと深いボルドー系をよく見ました。
R: エンポリオ アルマーニは、前半ボルドーとグレーの配色のルックが続きますし、エトロのファーストルックもボルドーのジャケットセットアップでしたね。ヴェルサーチェは、レッドベースのチェックやレオパードなど、パンクテイストで一線を画していました。
K: メンズの話になりますが、ジルサンダーやフェラガモ、ボッテガ・ヴェネタでは、赤いレザーアウターが鮮烈でした。
R: 情熱的な赤レザーの男……! メンズファッションのトレンドに躍り出るのでしょうか。気になります~。気合を入れて着るというよりは、日常で当たり前のようにレッドを着こなせるようになれたらおしゃれですね!
9. アームカバーがなくっちゃ!
K: 目新しいアイテムは、アームカバーですかね。
R: アームカバーはかなり新鮮なアクセサリーですね。私は、日焼け対策でしか着けたことないですが……トレンドの兆しです。
K: 母が運転中に着用していたあれがモードの表舞台に! アンテプリマやフェンディは、レザーワンピースとコーディネート。マルニのようなロンググローブのパターンも見かけました。
R: アームカバーから派生して、エトロやフェンディではバレエダンサーがよく着用しているようなボレロも! エトロは、片腕だけ通したトリッキーな着方をしていてユニークでした。1つ持っているといろんなアレンジができそうです。
K: 気軽に取り入れられるニット小物としてモードラバーの支持を集めそうですね。
10. 横長バッグは続投、足もとはロングブーツ一択!?
R: さて、ここまでいろいろなトレンドキーワードをピックアップしましたが、Kさんがリアルに取り入れたいのは?
K: うーん迷いますが、私はしなやかなトートバッグが気になりました。トッズや、ロロ・ピアーナで見かけたのですが、サイズが大きめでフォルムが柔らかなタイプ。実用的ですが、リラクシングなムードで持てそうで、”THE お仕事バッグ”にならなさそうでいい!
R: あとバッグは、横長フォルムが引き続き多かったですね。グッチの”GGミラノ”やボッテガ・ヴェネタの”リベルタ”といった新作もこぞって横長でした。ジル・サンダーのファーバッグは、その形も相まってワンコみたいで思わず撫でました(笑)。
K: 靴は、ロングブーツに注目してます。ここ数年のトレンドではありますが、今季はさらに長く進化しているのが見られました。
R: ロングブーツ欲しくなりました! 日本人の身長だと物を選びますが(笑)、自分に似合う1足を探したいです。早くも秋冬のショッピング欲が加熱してしまいますね!