2025年10月。シャネルの新アーティスティック ディレクター、マチュー・ブレイジーによる初のコレクションが発表された。メゾンのアンバサダーである小松菜奈が、新生シャネルの幕開けに立ち会うためパリへ。その姿をとらえたのは、数々のシャネルのプロジェクトをともにし、彼女が厚い信頼を寄せるメイクアップアーティストのUDA。親しい間柄だからこそ写し出される自然体の表情とともに、思い出の地を巡りながら過去を振り返り、今の思いを語った。

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【SPUR独占フォト】小松菜奈×シャネル。パリで見つめる、“原点”と“これから”

2025年10月。シャネルの新アーティスティック ディレクター、マチュー・ブレイジーによる初のコレクションが発表された。メゾンのアンバサダーである小松菜奈が、新生シャネルの幕開けに立ち会うためパリへ。その姿をとらえたのは、数々のシャネルのプロジェクトをともにし、彼女が厚い信頼を寄せるメイクアップアーティストのUDA。親しい間柄だからこそ写し出される自然体の表情とともに、思い出の地を巡りながら過去を振り返り、今の思いを語った。

すべてがサプライズだった2023-24年秋冬プレタポルテコレクション

シャネル 2023-24年秋冬プレタポルテコレクション

パリに到着して最初に訪れたのは、シャネルを象徴するアドレスであるカンボン通り31番地の本店。何度訪れても胸が高鳴るというこの場所は、彼女にとって思い出の場所でもある。

「2023-24年秋冬プレタポルテコレクションのミューズになった時は、本当に嬉しかったです。言葉では言い表せないほど感無量でした。東京の撮影ではUDAさんがメイクアップを、パリではフォトグラファーのイネス&ヴィノードが撮影してくれました」。

そして急遽、ショーのインビテーションにも自身のビジュアルが採用されるというサプライズが重なった。

「すべてがサプライズすぎて、私でいいのかな?という気持ちもあったけれど、実際にショーで自分の顔が大きなカメリアに投影されているのを見たとき、不思議で、夢のような気持ちでした」。

アンバサダーとしての責任と、ファッションを楽しむ心

【SPUR独占フォト】小松菜奈×シャネルの画像_2

シャネルのアンバサダーに就任したのは、18歳か19歳の頃。

「ファッションは大好きだったけれど、アンバサダーになるとはどういうことなのか、最初はよくわからず、ふわっとしていたんです。でも、最前線のファッションを自分の目で見て体験することができて、心が躍った。この体験を多くの人に伝えたいと思いました」。

年月を重ねるうちに、その思いは強く確かなものになっていく。

「特に2023-24年秋冬コレクションの後から、“ただ着る”ということではなく、自分の言葉で伝える責任を感じるようになりました。プレッシャーもありましたが、何より楽しむことが大事。アンバサダーとしての経験から、たくさんの刺激をもらっています」。

マチュー・ブレイジーによるファーストコレクション

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ショー当日の朝、緊張と高揚が入り混じる時間。いざ会場に到着すると、リサイクル可能な素材で作った惑星が吊るされた、宇宙のような空間が広がっていた。

「“宇宙=無限”という深いテーマ性を感じました。天井が床に反射しているのもとても幻想的で、全体がひとつの物語のようでした」。

そして、ついにマチューの初コレクションを観た直後、彼女は言葉を失ったという。

「デザイナーが変わるということはデザインも変わるということ。ショーを見た瞬間、鳥肌が立って、“衝撃的な瞬間を目撃したな”という感動が込み上げました。根本にあるスピリットはそのままに、コードやアイコンを丁寧に組み合わせながら、新しい表現に変換しているルックの一つ一つが本当に素晴らしかったです」。

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ガブリエル・シャネルの精神を再構築しながら、マチュー自身の感性を融合させたコレクションの中で、心を奪われたルックとは……?

「ツイードのシリーズがすごく可愛かった。レイヤリングによって、ツイードが透けて見えるような新しい素材のルックに惹かれました」。

リッツ・パリでのひととき

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ショーを終え、パリ滞在中に訪れたのは、ガブリエル シャネルがスイートルームに長年暮らしたことでも知られるホテル、リッツ。

「雑誌の撮影でもよく訪れていた場所です。ガブリエル・シャネルと繋がることができる特別な場所で、久しぶりに来たけどやっぱり素敵でした」。

カフェでは、フレッシュマンゴーとタピオカ、ココナッツ、タルトタタン、そしてチョコレートケーキをオーダー。慌ただしいスケジュールの中でも、懐かしい時間と味を静かに楽しむその横顔に、アンバサダーとしての表情とはまた違う、リラックスした空気が漂っていた。

カール・ラガーフェルドが手がけた書店「Librairie 7L」へ

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続いて、今回初めて訪れるという書店「Librairie 7L」へ。約36年間にわたりシャネルのアーティスティック ディレクターを務めたカール・ラガーフェルドが手がけた書店で、裏にはスタジオが設けられている。

「彼のフォトスタジオを見ることができると聞いて、とても楽しみにしていた場所。たくさんの洋書の中に、日本を代表する画家の一人として知られる葛飾北斎の本も置いてあって、興味深かったです」。

そこで手に取ったのは『Karl Lagerfeld Unseen』。

「10代の頃から雑誌を買っていて、私は紙が大好きなんです。ページを開いた瞬間のワクワク感は、デジタルにはないから。興味があるもの、読みたいものは、やっぱり“買って読む”のが好きなんです」。

「帰ってきた」と感じる場所、パリ

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「アンバサダーになって初めて来たのがパリ。当時は“憧れの場所”という感じだったけれど、今は“ただいま”という気持ちです」。

約10年を経て、彼女にとってのパリは帰ってくる場所に変わった。

「街を歩いて『あのお店なくなっちゃった』と気づいたり、香りで『あ、パリに来たな』と感じたり。サウス・ピガールの多様な文化がミックスされた雰囲気も好きだし、チュイルリー庭園でひとり座ってリラックスする時間も大好き。エッフェル塔を見上げるたびに、帰ってきたんだなと実感するんです」。

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“変化”の瞬間に立ち会いながらも、大切にしているのは変わらない思い。

「ファッションを楽しむことが一番大事」。その言葉の奥にあるのは、シャネルへの深い敬意と、パリへの愛着。マチューが紡ぐシャネルの新しい物語と、自身の原点を振り返る旅はこれからも続いていく。

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