韓国で口癖のように使用されている「ムジョッコン(무조건)」は、ドラマの台詞にも頻繁に登場する言葉のひとつ。今回はその言葉をキーワードに、『ショッピング王ルイ』や『宮~Love in Palace』など、無条件に面白い“ムジョッコン チェミッタ〜무조건 재밌다〜”作品をピックアップ。ツッコミどころ満載であっても、気付いたら沼落ち状態だった! 難しいことを一時忘れさせてくれたり、頭を空っぽにしてくれて、それでいて楽しい気分にしてくれたり! そんなことってありませんか? ときめきが蘇るような懐かしのロマンス作品4選があれば、“無条件”におうち時間が彩られるはず。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界にどっぷり浸かり、気付けば韓流ドラマ歴18年。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手女優&俳優の発掘が趣味の領域に。
最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜/私の韓ドラの原点はこれだった!
いきなり個人的な話題で恐縮です。何を隠そう私、つい最近まではかの『冬ソナ』さえも観たことのなかったかなりな韓流ドラマ音痴でした。その私がズブズブの韓流沼にハマるきっかけとなった作品こそが、このドラマなのであります。
友人の薦めで、仕方なく乗り気ゼロのまま観始めたのですが、だって、タイトルからしてふざけていませんか。「ドゥグンドゥグン」って! 勝手ながら、主演のチャ・スンウォンの暑苦しいそのお顔、全然私の好みではございません。物語もかなりふざけておりまして、元アイドルで今や落ちこぼれB級タレントのク・エジョン(コン・ヒョジン)と、濃い顔チャ・スンウォン演じる国民的トップスター、トッコ・ジンの最悪の出会いから始まるドタバタなラブコメディ。マジか。で、このトッコ・ジンが本当にいけ好かないヤツでして、こっけいなほどに自信家でわがままなオレ様系。もう、必死の思いで芸能界にしがみついて生活費を稼ごうとしているク・エジョンにいやらしいほどの上から目線。なのに、彼女のかつてのヒット曲「ドゥグンドゥグン」を聴くと、なぜか心臓がドキドキしちゃうという……なんのこっちゃ! 1話のさわりを観て、こりゃあ韓流、申し訳ありませんが好きになりませんと確信。なのに、なのにです。1話を見終わる頃には、ムジョッコン(無条件)に大爆笑。しかも、大っキライなはずのトッコ・ジンの不器用なピュアさに回を追うごとにどんどんどんどん惹かれていっているではありませんか。2人の恋の行方にも、ハラハラ・ドゥグンドゥグン(そう、これ日本語で“ドキドキ”の意味なんです)しながら見守っているという私的まさかな展開。これか、韓流ドラマ、マジックって‼
その後、最終回を観終わった瞬間からトッコ・ジンロスに陥った私が、チャ・スンウォン出演作を間髪入れずに次から次へと漁り続けたのはいうまでもありません。笑いあり、涙あり、切ない純愛あり……、韓流ドラマ王道のラブコメは、説明不要のムジョッコン チェミッタ。文句なく頭空っぽにして楽しめます。(さすらいのライター山崎)
宮~Love in Palace/戯言だと思っていた祖父の遺言で、皇太子の婚約者に!?
母とともに『冬ソナ』から韓ドラ沼へ浸り込んだひとりです。ですが、当時は度肝を抜くマクチャン(出口が見えない、トンデモナイ展開)ドラマに観入りつつ、いわゆる“ときめき”的な要素は感じていなかったんですよね。当時は幼かったからなのか……。ともかく従来の王道の少女漫画や現在のウェブトゥーンのような、「いやいや」とツッコミを入れながらも内心めちゃときめいている!みたいなロマコメ作品を求めていたわけです。で、キターッと雄叫びをあげたのがこれ。ユン・ウネの女優歴史が華咲いたドラマであります。
もし韓国が立憲君主国で王様がいたら?という仮想世界のもとに繰り広げられる王宮ロマコメ。韓国で大人気の漫画原作の実写ドラマ化とあり、それはそれは総力を上げ、予算を惜しみなくフル活用して制作されたそう(なんとセットだけで日本円で約4億円!)。時は仁化14年。現皇帝の病が深刻化したことで、皇太后がまだ高校生の第一皇太子シンに婚約者との結婚を命じたことがすべての始まり。そのお相手というのが、かなりのお転婆娘で愛嬌たっぷりな一般家庭の高校生チェギョン(ウネ)。
シンの婚約者であることは、もちろんチェギョンもシンさえも知らない事実。当事者も世間も大パニックです。あれよあれよという間に否応なくチェギョンの王宮入りが決定。と、ド直球のシンデレラストーリーに見えますが、ここに複雑な糸を絡めまくり、物語と各キャラクターに深みをもたせているから、回が進むごとにグッとのめり込んでしまう! 全世界で大ヒット、そして(15年の時を経て)リメイク決定の所以に納得。のちに発覚する第二皇太子ユルの存在、王宮ドラマ独自の継承者争い、切ない4角関係など、続きが観たくて仕方ない展開がてんこ盛り。もちろん1番の見どころはチェギョン&シンの恋模様ですが、シンには長年の想い人が……。叶わぬ恋に傷付いている+元々の冷徹な性格+チェギョンのおドジぶりに振り回される=全怒りの矛先がチェギョンへ。まさに悪循環。この険悪なムードからどう恋愛に発展していくのか! シンがチェギョンに心を許す瞬間はもう涙、涙。最後の最後までムジョッコンに楽しめる本作。リメイクの追加情報、急ぎ求む(涙)。(エディターK)
ショッピング王ルイ/難しいことを考えず、ひたすらにときめきたい時に
こちらも『最高の〜』同様、かなりふざけたラブコメです。まずは、主人公となるルイ。日本でも大人気のソ・イングク(私の俳優推しメンのひとり)が演じているのですが、幼い頃に両親を事故で亡くし、財閥会社の会長である祖母とともにフランスで暮らしているという設定。なんか“あるある”の匂いがしてきます。過保護な祖母のため、仕事もせずに何不自由ない暮らしをしているも、ちょっと孤独。唯一の楽しみが買い物で、彼が目をつける商品は空前の大ヒットになるという天性の才能(なんのこっちゃ)をもつことから、つけられた愛称がタイトルそのままの『ショッピング王ルイ』。ふ〜む。で、このルイが久しぶりに帰国した韓国で事故に遭い、記憶喪失になってしまうところから物語がスタートするという……。
そして無一文のホームレスになったルイを家出中の弟と間違えて助けたのが、もうひとりの主人公ボクシル(ナム・ジヒョン)。記憶喪失のルイを放っておけない田舎育ちの純朴女子ボクシルは、しばしの間、彼の面倒をみるために貧しい屋根部屋で同居生活を始めることになる……という展開。財閥御曹司×田舎の純朴娘×記憶喪失×貧しい屋根部屋×行きがかり上の同居。まさに韓流ドラマ“あるある”てんこ盛り。これだけ揃えば、いい加減“ざけんなよ”とつっこみを入れたくなりそうなものの、これがやっぱり見るほどにムジョッコンに惹き込まれてしまうから不思議。
あるあるでありながら斬新なストーリー展開で飽きさせない、さすがの力ワザ演出&脚本はもちろん、それより何より演技派として定評のある2人が演じるムジョッコンに可愛い主演のキャラクター。特にルイ。御曹司としての育ちのよさを保ちつつ、自分の面倒を見てくれるボクシルにぴったりくっついて離れない捨てられた子犬のような、こりゃあ放っておけないよね、とムジョッコンに納得してしまう悶絶級の可愛らしさ。しかも、キス職人とまで言わしめたあの手この手のキステクニシャンぶり! もう、これで胸キュンしない人がいたら、ぜひお目にかかりたい。難しいこと考えずに、ほんわかきゅんきゅん気持ちよくなりたい時、必見です!(さすらいのライター山崎)
イタズラなKiss〜Playful Kiss/真っ直ぐピュアなヒロインを無条件に応援
個人的に、本作にはかなーり強い思い入れがありまして。『ウギョル(韓国の大人気バラエティ番組)』の大ファンだったことがきっかけでSS501へ沼落ち、そして『花より男子』からの『イタキス(略して)』で完璧にノックアウト。そう、キム・ヒョンジュンに(近年は色々なニュースが飛び交い悲しくもなりましたが、それはさておき……)。奇跡的に一列目で当選した本作のファンミのために、深夜バスで遠征。学生時代の青春の思い出と紐付いている特別な作品なのです。
日本の言わずと知れた大人気漫画のリメイク!ということで、原作ファンの方との視点とは異なるかもしれませんが、とにかくチョン・ソミン演じる主人公オ・ハニが愛くるしさ1,000%。可愛すぎやしないかい? 元々はヒョンジュン目当てでしたが、いつの間にか心はソミンを求めてる(彼女は本作から女優として大ブレイク!)。ヒョンジュン演じるペク・スンジョ(原作だと入江くん)も、元祖ロマコメ作品のヒーローといった具合にドSかつクールな性格ながら、おドジなハニに振り回されて思わず笑ったり、怒ったり、落ち込んだり。IQ200の頭脳の持ち主故、出会うまでは人生のなかで予測できない事態に遭遇することがなかったスンジョが、ハニという異分子に感情をグラングランと揺さぶられているのがたまらない。そしてハニからのラブレターに赤字を入れる&皆の前で発表するという冷静に「性格難あり」なスンジョが、恋愛脳に目覚める瞬間→両思いになった後の言動といったら、まあトンデモナイ。ムジョッコン、ときめきます。
ある経緯からハニがスンジョの家で同居することになり、恋のライバルに刺激を受けつつ、ふたりが距離を縮めていくといった流れで特筆すべき目新しい展開はないのだけれど、何度観てもときめいてしまう。これが韓流マジックの不思議です。あと台詞の言い回しひとつでブハッと笑わせてくれる本作のギャグヒーロー、ポン・ジュング(※下の写真の一段目中央)はムジョッコン チェミッタ。すべての言動、そして表情もアツい。アツすぎる! 最初はうざったく感じてものちにクセになる確率高しですので、要注意。(エディターK)