いばらの道を気高く進む姿に勇気100倍! イギリス3大“お家ドラマ”

今、イギリス時代ものドラマの人気が白熱中! そこで今回は、イギリスの“お家物語”と称して、19世紀の王室&上流階級を舞台にした3作品をピックアップ。エリザベス2世の半世紀を描く 『ザ・クラウン』、その4代前の女王であり女帝『女王ヴィクトリア 愛に生きる』、19世紀の上流社会の社交界が舞台の『ブリジャートン家』を紹介。3作品セットで観ると歴史的なつながりが垣間見えより作品を楽しめること必至です。

Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中
Netflixオリジナルシリーズ『ザ・クラウン』シーズン1~4独占配信中
『女王ヴィクトリア 愛に生きる』Huluで配信中 © Mammoth Screen Limited 2016 All rights reserved

3作品ともに、歴史ものとしてはもちろん、ロマンス、家族愛、友情、師弟関係、ライバル 、etc. そのすべてが人間賛歌的なテーマとして楽しめる仕上がり。一方、今よりもずっと女性が“生きるのに不自由”だった時代背景が、女性にとっての幸せと生き方の価値観について考えさせます。それぞれの主人公が進む道は決して平坦ではないけれど、持ち前の才と気高さで三者三様に人生を切り拓いていくさまを観ると、女性として、人間として、元気と勇気をもらえるはずですよ!

【海外ドラマ ナビゲーター】
エディターR

一日の終わりを、ワインとショコラとドラマで締めくくるのが愉悦のとき。“SATC”よりゴシップガール派。映像美と緻密な脚本ものが好物。最近は動画配信サービスのオリジナル作品のチェックに余念がない。作品でいうと、Netflix『ザ・クラウン』、Apple TV+ 『ザ・モーニングショー』などがお気に入り。ドラマに出てきた名台詞をコツコツとしたためていて、いつかどこかでアウトプットするのがささやかな目標。

『ザ・クラウン』/やりすぎ!?と思うほどリアル。エリザベス2世の半生を赤裸々に描く

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Netflixオリジナルシリーズ『ザ・クラウン』シーズン1~4独占配信中

“英国史上最高齢君主”として世界から注目を浴びる、イギリス女王エリザベス2世の半生を追う、Netflixオリジナルの、イギリス版“大河ドラマ”。

キャスティングから演出、衣装に至るまで、その徹底した再現力はシーズンを追うごとに“ガチ度”が増すばかり。エマ・コリン演じるダイアナ妃のうり二つぶりが話題になったのも記憶に新しいですね。

日本でいうところの『渡る世間は鬼ばかり』ばりの長寿番組ですが、飽きることなく(むしろ回を追うごとにヒートアップ!)観られるのは、原作・脚本を手がけるピーター・モーガンの手腕によるものが大きいなと思います。ピーターは日本でも大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』の原案を手がけたイギリスの脚本家。リサーチ力と構成力に定評があり、どのエピソードも失速することなく全てがハイライト。語らず説明しすぎずの心情描写も絶妙で、その分キャストには演技力を求められますが、演者がしっかり応えます。

見どころは、エリザベス2世とふたりの女性、イギリス初の女性首相で“鉄の女”と呼ばれたマーガレット・サッチャーと、悲劇のプリンセス、ダイアナ妃が脇を固めるシーズン4。「動」のサッチャーVS「静」のエリザベス2世のバチバチな対立はどちらにも共感できるがゆえの歯がゆさ。チャールズ皇太子の後の妻となるカミラ夫人との確執やダイアナ妃の摂食障害などダークサイドも赤裸々に描かれています。

すでにシーズン6までストーリーボードができているそうで、このままいくとウィリアム王子&キャサリン妃、ヘンリー王子とメーガン妃の物語まで紡がれるかも!? ますます目が離せません!


STORY
今なお世界中から愛される英国君主、エリザベス2世。政界実力者との確執、王室のロマンス、そして20世紀後半を彩る歴史的事件の影で葛藤する、生身の女王の姿、知られざる素顔を浮き彫りにする、大作ドラマ。


Netflixオリジナルシリーズ『ザ・クラウン』シーズン1~4独占配信中

『ブリジャートン家』/社交界を舞台にした恋愛サバイバルゲームで勝つのは?

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Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

今、Netflixで注目すべき作品で、必ず上位にランキングされる話題作『ブリジャートン家』も、イギリスが舞台。19世紀のロンドンに住む富裕層たちの、華やかで複雑な人間関係&ロマンスを描き、世界中で大ブレイク中です。

ストーリーを一言で乱暴に表すと「主人公ダフネの結婚相手探し」。嫌い!から始まる恋、身分を超えた恋愛、不倫、同性同士の足の引っ張り合いと、割とベタでドロドロしたストーリー展開です。がしかし、豪華絢爛で浮世離れしたムードと軽快なテンポが、ヘビーな設定を喜劇のように仕立てます。主要どころだけで十人以上の女性が出てくるのにキャラ被りがないのがスゴイ。社交界で彼女たちが繰り広げる、恋愛サバイバルゲーム。“好きな人と幸せになったもん勝ち!”とはいかない時代だけれど、人を好きになること、想うこと、愛することの素晴らしさと大切さを反面教師的に教えてくれる作品です。

上流社会のゴシップ紙「レディ・ホイッスルダウン」に書かれている記事により、登場人物が翻弄されるさまはときに滑稽。とはいえ、現代のSNSが抱える問題とも捉えることができ、決して他人事ではありません。ゴシップコラムニストの著者、ホイッスルダウンの正体は終盤で明かされますが、おぬしやはり……な人物なので、本編を観て確かめてください。ちなみに声を演じるのは、『メリー・ポピンズ』で主演女優賞を受賞した名女優のジュリー・アンドリュース。

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Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』独占配信中

『女王ヴィクトリア 愛に生きる』/女帝にだって「愛」が必要だ

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『女王ヴィクトリア 愛に生きる』Huluで配信中 © Mammoth Screen Limited 2016 All rights reserved

時代ものの作品は、その国の歴史や文化を知るとぐっと面白さが増しますよね。大ヒット配信中の『ザ・クラウン』も類にもれず。イギリス王室の人物相関図や歴史、風習などを知っていると、より味わい深く楽しめます。そこで『ザ・クラウン』と併走して、または予習&復習として観ておきたいのがこちらの作品。

主人公のヴィクトリア女王は、『ザ・クラウン』の主人公、エリザベス女王(エリザベス2世)の高祖母。つまり、四代前の女王で、エリザベス2世のおじいさんのおばあさん。ヴィクトリア女王からみたら、エリザベス女王は玄孫(やしゃご)となります。

『ザ・クラウン』のシーズン1で、 エリザベスとフィリップとの結婚が描かれるなか、“ドイツ系”といったキーワードが飛び交い、それが理由で意見がわれ上手くことが進まない場面がありましたが、その歴史的背景を知ることができます。

ヴィクトリアが王位についたのは18歳のとき。『ザ・クラウン』のエリザベスが戴冠したときは「とまどい」があるように見えましたが、ヴィクトリアから透けてみえたのは「独りよがりな覚悟」。自分勝手で傲慢で、王位を自分の才とばかりに、魔法のステッキをふるように後先考えず権力を行使する様は、怒りを通り越しハラハラするほど。

とはいえ、タイトルに「愛に生きる」とあるように、ヴィクトリアをとりまく「愛」に焦点を当てることが鑑賞ポイント。政治、外交、ジェンダーが複雑に絡み合い、難題となり立ちはだかるなか、若い王女から女王へと成長する糧となった様々な「愛」とは。それらが与える勇気と切なさとやるせなさが、ドラマを盛り上げます。

ちなみに、ヴィクトリア女王を演じたジェナ・コールマンは、ヘンリー王子との交際を噂されてたこともおさえておきたいティップス。本国ではシーズン2の放送も終わり、シーズン3の制作も決定しているようなので、日本での放送が待ち遠しい!

STORY
18歳でイギリスの女王の座に就き、およそ64年間にわたって国を治めたヴィクトリアの、孤独と愛を描いた歴史ドラマ。父を早くに亡くし、ドイツ人の母の影響で閉鎖的な環境で育ったヴィクトリアは、突然の即位に戸惑いながらも、女王らしく振る舞おうとするが、周囲にはなかなか認められず……。


『女王ヴィクトリア 愛に生きる』Huluで配信中 © Mammoth Screen Limited 2016 All rights reserved

FEATURE