主人公(ヒーロー)に劣らず、物語のなかでキーパーソンとなる人物=サブナムジュ。今や大スターへの道を着実に歩むチョン・ヘインが演じた『あなたが眠っている間に』のハン・ウタクは、まさに韓ドラ歴史に残るであろうサブナムジュ! 加えて最新のNetflixシリーズ『わかっていても』のサブナムジュは、若手のホープであるチェ・ジョンヒョプが演じたヤン・ドヒョク。一途にヒロインを想う姿に「ドヒョクエンド」を希望する視聴者も多かったのでは? そんな恋の2番手でありながら、気付いたら心を奪われているスーパーサブに注目したい4作品をピックアップ!
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界にどっぷり浸かり、気付けば韓流ドラマ歴18年。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手女優&俳優の発掘が趣味の領域に。
チョン・ヘイン/『あなたが眠っている間に』
チョン・ヘインと言えば、やっぱり『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』(2018年)ですよね。ヒロイン役のソン・イェジンを支える一途で頼もしい年下彼氏っぷりで(詳しい内容は前々回のこの連載をチェックしてくださいませ)、見事“1番手”というスター俳優の座を不動のものとしたのは記憶にまだ新しいところ。
でも実は私の韓ドラ仲間の間では、その前年の本作で、すでにチョン・ヘイン旋風が吹き荒れまくっていたという。彼が演じたのはハン・ウタクという警察官役。もちろん2番手です。1番手は、トップスター女優ペ・スジが扮するヒロインを守り抜く検察官ジェチャン。演じるのは、『ピノキオ』『W−君と僕の世界−』などなど主演作が軒並み大ヒットを飛ばすことから“不敗王子”と言われる、こちらもトップスターのイ・ジョンソク。ドラマは、予知夢を見るスジ(役名はホンジュ)を中心に、その夢が次々と現実となって事件が巻き起こるサスペンスもので、夢に見ながらその悲劇を阻止できないことに苦しむスジを救うため、イ・ジョンソクが奔走しながら悲劇を未然に防いで事件を解決していくという展開。
で、チョン・ヘインは、その最初の事件でイ・ジョンソクに命を救われたことから2人に関わっていくのですが(もちろん、次第にスジに惹かれていくという設定)、危機迫る事件が解決するたびに、スジ&イ・ジョンソクのロマンスも当然深まっていくという……。スジに惹かれながらも想いを抑えてチング(友達)という関係に甘んじながら、イ・ジョンソクをサポートするというサブナムジュのセオリー通りの切なきヘイン=ウタク。隠しきれない想いを胸にしまう抑制の効いた男子って、なんだかとってもセクシーで、ヘインのちょっぴり憂いを含んだすっきり醤油顔が、さらにその想像を膨らませるというか。そのせいか、私の韓ドラ仲間の話題は、主人公のイ・ジョンソクをさしおいて、ヘイン・ネタでもちきりに。とくに、ドラマ終盤、スジとの“影”エピソードや、思わずスジを抱きしめちゃうシーン(OSTの歌詞も切ない)は必見。愛おしくて切ないヘインのサブナムジュ沼に堕ちること必至です。(さすらいのライター山崎)
チェ・ジョンヒョプ/『わかっていても』『シーシュポス: The Myth』
以前こちらの記事で紹介した『わかっていても』。ヒロイン・ナビ(ハン・ソヒ)に長年恋をしている2番手こそ、通常“じゃがいもくん”のドヒョクを演じたジョンヒョプです。彼をはじめて見たのは、ブレイクするきっかけとなったドラマ『ストーブリーグ』。イップスに悩む若きプロ野球選手役に何度涙を誘われたことか。元々モデル出身でブレイクの数年前から「WEBドラマ界のパク・ボゴム!」と話題になっていたので、少し乗り遅れてジョンヒョプ沼に落ちました。
話を戻してなぜ彼が“じゃがいもくん”と呼ばれ親しまれているのか? それはナビとドヒョクが偶然居合わせたバスで10年振りの再会を果たしたときのこと。電話番号を伝えて颯爽とバスを降りようとするナビを呼び止めたその瞬間、ドヒョクが持っていた大量のじゃがいもがコントのようにバス中に散らばったことが所以です。ちょっと鈍臭いけど(笑)、可愛らしくて、見ている人を不思議と笑顔にさせるというスキルを発動するのがドヒョクの特徴。ジェットコースターのように感情を振り回される分ときめきは倍増だけれど、緩急がありすぎて、心の健康が保てるかは疑問……なジェオンと、いつ見ても変わらずそこにある不変的な優しさを持ち、THE包容力に長けたドヒョク。とにかくビジュアル、言動、すべてが癒しなんですよ〜。この「ジェオンか? ドヒョクか?」問題は、誰かとお酒を飲み交わしながらぜひ徹底討論したい。若かりし頃であればジェオンに夢中になっただろうなぁと個人的には思いながら、今はもう完全にじゃがいもくん派です。あれだけ自分だけを見つめて大切にしてくれる人と出会えることがどれほど貴重か。その重みを知ってしまった今、やはりドヒョクしか勝たん!状態です。でもやはり物語では2番手なのですよね〜〜切ない!
ちなみにジョンヒョプのサブナムジュ歴史は『シーシュポス: The Myth』でソヘ(パク・シネ)に想いを寄せたジェソン役に遡ります。不器用ながらもヒロインを心から思い、自分を犠牲にして守る勇姿は感動もの。ドヒョクとはまた違ったスーパーサブっぷりに翻弄させられますよ!(エディターK)
キム・ソノ/『スタートアップ: 夢の扉』
最初に心に留まったのは、ギョンス主演の時代劇『100日の郎君様』でのヒロインにひと目惚れするお役人さま役。すらりとした長身(183cm)、文武ともに長けている上、優しさも正義感もあわせ持つというパーフェクトなサブナムジュ(2番手)っぷりに、『こんな人いた?』とばかりに速攻調べてみれば、その放送当時で、すでに32歳(ちなみに現在は35歳)。通常2番手役は、次の主役も期待できる新人が抜擢されることも多く、「彗星感あるけど年齢高め?」と思っていたら、もともとは舞台で活躍していた人。なので、ドラマデビューはその前年の31歳と遅めですが、その年には新人賞と優秀賞を受賞するという実力派でもあるとわかり、納得した次第。
そんな彼のサブナムジュ代表作が、スジ&ナム・ジュヒョク主演の『スタートアップ:夢の扉』。シリコンバレーばりのITの聖地「サンドボックス」で、夢に向かって奮戦する若者たちを描く青春ヒューマンロマンスものなのですが、以前この連載でエディターKが「“ドサン派? ジピョン派?”と盛り上がる〜」と紹介しておりまして、キム・ソノが演じるのが、まさにそのジピョン。スジ演じるダルミとナム・ジュヒョク演じるドサン(こちらが1番手)の起業グループを指導する投資家にしてメンターという役どころで、実は施設育ちの苦労人、成功する前は、一時期ダルミの祖母に世話になっていたという設定です。
その当時、ジピョンは祖母に頼まれ“ドサン”の名を借りてダルミと文通するのですが、ダルミはその文通相手の“ドサン”に恋してしまうという。そして、時が経ち3人が再会、複雑なトライアングルラブがスタートするというわけでして。自分が“ドサン”だったと言いたくても言えない切なさ、祖母との胸熱くなる関係などなど、キム・ソノはこの役で『歴代級サブナムジュ』と言われるほど時の人に。キラキラのスターというよりは、むしろ隣に住むお兄ちゃん的なフツーっぽさで、気づいてみたら後からジンジン効いてくるタイプ。現在はNetflixの『海街チャチャチャ』も大ヒット中。かの好感度女優シン・ミナ相手に“1番手”役を爽やかに演じているので、そちらもぜひ、チェックを。(さすらいのラター山崎)
コンミョン/『ピョン・ヒョクの恋』
元B1A4のジニョン同様に(最新作『警察授業』でついに1番手に!)、韓ドラ好きで知らぬ人はいないのではなかろうか。コンミョンが数々のドラマで披露してきた「スーパーサブ」っぷりを。まずはなんと言っても『おひとりさま~一人酒男女~』。兄ジョンソクが講師を務める予備校に通うことになったコンミョン(同名)が、講師のハナに一目惚れ。しかしのちに親密な関係になっていくハナとジョンソクを切なく見守るという……まさにスーパーサブ役の悲しすぎる定め。そして本作がきっかけとなったかはさておき、翌年放送のドラマ『ピョン・ヒョクの恋』でも恋の2番手を演じることに。
1番手となるのはガンス財閥一族の御曹司のヒョク(シウォン)。ヒロインは、ある理由からアルバイトで生計を立てているジュン(カン・ソラ)。そしてコンミョンが演じるのは、ヒョクのお目付け役で、ジュンの大学時代の同級生であるジェフンです。ジュンの逞しい姿に心を射抜かれたヒョクは、まるで獲物を見つけたイノシシのように目をハートにしながらジュンに向かって猪突猛進する日々。最初はもちろん冷たくあしらわれつつ、のちに……という王道展開なんですが、ここで注目したいのがジェフンです。
実はジェフンとジュンは大学生当時両思い。にもかかわらずある理由から、ジェフンはジュンの告白を断腸の思いで断ってしまいます。それには過去のしがらみも関係してくるのですが、その後もチングとしてずっとジュンを側で見守ってきたと。せ、切なすぎるぞ。「恋愛はタイミングがすべて」とよく耳にするフレーズではありますが、その言葉が痛いほど沁みる……。最初はおちゃらけキャラのヒョクを応援していたのに、中盤からは一気にジェフン沼へ。後半になるにつれジェフンがどんどんいい男へと成長していくことと、心の奥底に隠している本当の思いが見えてくるせい? ジェフンへの想いが止まらない。これぞスーパーサブの威力!
しかも現在韓国で放送中の『ホンチョンギ』を5話まで視聴したところ、何やらスーパーサブっぷりを披露してくれそうな予感。またしても素晴らしきサブナムジュの姿を見られることを嬉しく思いながら、1番手の出演情報もいつでもウェルカム!!(エディターK)