思いがけない展開で、観れば観るほどのめり込む! 韓国ドラマで押さえておきたい良作“サスペンス”4作品

韓国ドラマを語る上で欠かせないジャンルといえば“サスペンス”。固定ファンの多いジャンルだけに、どの放送局、制作会社にしろ、毎年必ず1作品は放送される人気カテゴリー。サスペンスを筆頭にラブロマンスやファンタジー要素を加え、韓国内でも絶大な人気を誇り、何年経っても色褪せない『君の声が聞こえる』や、あまりの人気ですでにシーズン2の制作が決定している『模範タクシー』など。まるでドラマの中に入り込んだかのような一体感を覚える良作サスペンスドラマを4作品ピックアップ!

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Netflixシリーズ『Vagabond/バガボンド』独占配信中





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『模範タクシー(原題)』KNTVで11月21日(日)7:00〜11:30からアンコール放送開始! 毎週4話ずつの一挙放送。
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『君の声が聞こえる』U-NEXTにて配信中! ©SBS

【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。

韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界にどっぷり浸かり、気付けば韓流ドラマ歴18年。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手女優&俳優の発掘が趣味の領域に。

怪物/サスペンス好きを唸らせる最新作

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『怪物(原題)』現在KNTVで毎週日曜7:00〜11:30に4話ずつ放送中。©JTBC Studios Co., Ltd. all rights reserved.

実は私、かなりのサスペンス好きでして、犯人探しは結構、得意だと思うのですが(自分調べ)、なのに、これほど先の展開が読めない、事件の核心がなかなか見えてこないサスペンスは初めてかもしれません。それほど、複雑、そして、誰もが怪しい……。

物語は、警察庁次長の父を持つエリート刑事ジュウォン(ヨ・ジング)がマニャンという地方の派出所に転任してくるところから始まります。彼の相棒となるのは、マニャン出身のベテラン警察官ドンシク(シン・ハギュン)。この男がそもそものっけから怪しい存在なのですが、実は彼には、20年前に連続殺人事件の容疑者として逮捕されたという過去が。自宅の庭から彼の妹の切り取られた10本の指先が発見されたことから容疑者に浮上したのですが、ドンシクは友人のアリバイ証言で釈放され、事件は迷宮入りに。そして、ジュウォンの転任間もなく20年前と同じ猟奇事件が発生し、サスペンスが再び動き始めるという具合。舞台となるマニャンは、地方の小さな田舎町。それゆえ、町の人々全てが知り合いという体で、仲が良さそうに見えるものの、心のうちにはなんだか秘密を抱えているような不穏なムード。しかも、ひとつの謎が解決しても、それがさらなる謎を呼び、全貌がなかなか明らかになっていかないという!

ドンシクを演じたシン・ハギョンはこの役で第57回百想芸術大賞のテレビ部門最優秀演技賞を受賞。その目力も強烈で、冷徹そうにも優しそうにも見えちゃう読みきれないキャラクター。対するジュウォン役のヨ・ジングは、子役時代から活躍し、数々の主演をこなす逸材。総じて心優しい役柄が多かった彼が、このドラマでは高慢な潔癖症というキャラに初挑戦。謎解きの複雑さとともに、この2人の絶妙な距離感が、実はかなりの見もの。ありがちなバディものとは一線を画す最後まで緊張感ゆるまない関係性で、だからこそ余計に深く、そして切なく……。特にクライマックスの2人が圧巻。タイトルの「怪物」は、誰もが怪物になりうる存在であるという意味。果たして、2人は? 町の人々は? そして、観ている私たちは? じっくりとその真相を見極めてください。(さすらいのライター山崎)

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『怪物(原題)』現在KNTVで毎週日曜7:00〜11:30に4話ずつ放送中。©JTBC Studios Co., Ltd. all rights reserved.

模範タクシー/暴力は暴力を呼び、復讐は復讐を呼ぶ……その結末とは?

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『模範タクシー(原題)』KNTVで11月21日(日)7:00〜11:30からアンコール放送開始! 毎週4話ずつの一挙放送。©SBS

『ヴィンチェンツォ』『模範タクシー』『ロースクール』まで、韓国でいま続々と制作されているのが、司法とは何か?を訴える“復讐”をテーマにしたドラマ。それぞれの結末は異なるものの、法で裁くことのできない悪人、罪の重さに対してさまざまな事情から軽い処罰しか与えられない罪人を、登場人物たちが自らの手で処罰していく。いずれも行き場のない憤りや心に傷を抱えた人たち……というのが作品のポイントであり、感情をグワングワンと揺さぶる要因。

まず主人公のドギ役にイ・ジェフンをキャスティングしているのがミソ。いかにも“復讐を代行”してくれそうな力強さはもちろん、悪人をビシバシとぶった斬る痛快なアクションシーン、加えて潜入捜査で様々な人物になり切る役ゆえに問われる繊細な演技力。これらを加味すると彼以上に適任はいないのでは!?と感じざるを得ません。
ドギが勤めているのは一見普通のタクシー会社に見えるムジゲ運輸。ところがその実態は、法で裁くことのできない悪に苦しむ被害者からの依頼を受けて、復讐の代行へと駆けつける“模範タクシー”。模範タクシーのアジト兼代表の自宅には、新約聖書の一節「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」との書が飾られている。運転手ドギを誘い入れた代表を含め、優れた車体を作り上げる整備士のギョングとジノン、ハッキング技術に長けたゴウンのファイブマンセルで動くのですが、このひとりひとりに言葉では言い表せないほどの苦しい過去があり、観ているこちらの心までえぐられます。

ひとりの女性検事ハナがムジゲ運輸に疑念を抱きはじめたことで、これまで保たれていた均衡が崩れていくことに。ただ、推定無罪の原則「100人の罪人を逃したとしても、一人も冤罪者を出さない」をモットーに生きてきた正義感の強いハナが“模範タクシー”と出合ったことで、法の在り方やその矛盾、効力に関して問うようになることも本作のキーポイント。実際に起きた事件や被害者をドラマ内で映す演出も本作ならではで、一概に痛快な復讐劇と言えない理由は、物語の随所で社会問題を問うメッセージ性の強いドラマだから。一度観たら忘れることはできない名作だと思います。(エディターK

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KNTVで11月21日(日)7:00〜11:30からアンコール放送開始! 毎週4話ずつの一挙放送。

君の声が聞こえる/色褪せない良作サスペンスといえば

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『君の声が聞こえる』U-NEXTにて配信中! ©SBS

2013年の作品。大ヒットした人気作ではありますが、8年も前の作品なだけに、“ちょっと古い?”と感じられるかもしれません。でも、それゆえに古き良き韓ドラ王道エッセンスも存分に楽しめて、もう、キュンキュン、ハラハラ、ドキドキ、ジ〜ンがてんこ盛り。全18話ですが、ヘタすると一気見沼にはまる危険!

物語の発端となるのは、10年前の殺人事件。父の殺害現場に居合わせた幼いパク・スハはその事件をきっかけとして、人の心を読める特殊な力を持つようになります。犯人のミンは交通事故に見せかけスハの父を殺害したのですが、証拠がなく無罪が濃厚に。ところが、高校生のヘソンの目撃証言によって、ミンに下ったのは有罪判決。ミンの心にヘソンへの強い恨みを読み取ったスハは彼女を一生守ると誓うのですが。そして、時を経て10年。高校生のスハ(イ・ジョンソク)は、国選弁護士となったヘソン(イ・ボヨン)と再会。ところが、時を同じくして、刑期を終えたミンが出所して……という展開です。ドラマのテイストが、フラットなスタジオ照明にベタな少女マンガ風ラブコメ調なこともあり、最初は「これ、本当にサスペンス?」と戸惑うかもしれません。スハが年下男子という設定も韓流ロマンスの鉄板。だから、つい、年上の想い人を守ろうと身を挺する年下スハに無防備にキュンキュンしてしまうのですが、油断しているといきなり強烈な殺人シーン。嘘、嘘でしょう……。いやあ、マジで犯人ミンの執拗なまでの復讐心が怖すぎます。

ドラマは、そうした凄まじい復讐サスペンスを縦軸に、ヘスンとヘスンのライバル検事のドヨン(イ・ダヒ)らが繰り広げる法廷劇を合間合間にはさみつつ、ラブ、サスペンス、ヒューマンの要素がくんずほぐれつ絡み合いながら進んでいくという展開。だから、次へと進まずにはいられないという。そして、一番のミステリーは、なぜ、ミンがそこまで強い殺意を持ち続けたのかということ。その真相が明らかになるに連れ、ドラマが突きつける大きなテーマも浮き彫りに。人を裁く意味と、謝罪する意味と、許すことの意味と……。改めて考えさせられる16話以降は、ぜひハンカチのご用意も。(さすらいのライター山崎)

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『君の声が聞こえる』U-NEXTにて配信中! ©SBS



バガボンド/まるでアクション映画のような迫力!

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Netflixシリーズ『Vagabond/バガボンド』独占配信中

『九家の書〜千年に一度の恋〜』が大好評だったイ・スンギとペ・スジ。クミホに縁あり(笑)なスンギ演じるガンチと、スジ演じる女剣士ヨウルのケミに沼落ちした一人だった故、そんな2人が再共演!? しかも主演とヒロイン!?と観る要素しかなかったわけです。で、本作はサスペンスに加え、製作費250億ウォンを投じた本格スパイアクションものと放送前から大注目。韓国では、シーズン1での伏線回収がまるでない、放送時間内の広告が多いなどの一部批判もあったようですが(基本ドラマの前後にしか広告が入らない)、個人的には1話1話がアクション映画かのような迫力満点の映像や展開、心臓がドッキンドッキンするスケール違いのアクションの連続で、見る価値あり!と思っている次第です。

亡き兄の息子フンを育てるアクションセンター所属のスタントマン俳優ダルゴン(スンギ)はある日、フンを乗せたモロッコ行きの飛行機が墜落したことで突如愛する甥を失うことに。しかもそれが事故ではなくテロの可能性があることを知り、真相を探るべくモロッコへと旅立ちます。そこで出会うのがモロッコの韓国大使館に勤めるヘリ(スジ)。実は国家情報院職員で“エルサ”としての顔を持つ謎多き人物ですが、ダルゴンと行動を共にすることになります。

各キャラクターの心理描写や関係性をより繊細に描く韓国ドラマが多いのに対し、本作では(あくまでシーズン1は)あまり描かれておらず、とにかくド派手なシーンで魅せる!といったイメージ。だからこそ毎話アクション映画のように迫力満点なんですよね。隠蔽された巨大な国家不正の真実を見つけ出すサスペンス要素に加えて、この壮大なアクション(銃撃戦、カーチェイス、爆弾オンパレード)を見せつけられたら、目も脳も忙しい!
これ空飛んでますよね!?とつっこみたくなるダルゴンの超人的な身体能力も圧巻。屋根の上を走ることはもはや彼の中では地面を駆け抜けていると同義か?くらいの華麗な走り。まるで忍者です。シーズン1が「ええええ!?」と叫ぶような展開で幕を閉じたものの、シーズン2の制作は検討中て嘘やん……と若干脱力しますが、配信されると信じています。伏線回収の続編、全力で求む。(エディターK)

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