人気海外ドラマの新シーズンがアツい! 配信ラッシュが続くなか、注目の3作品をピックアップ。見所などを推しポイントとともにレビューします。
紹介するのは、3年ぶりのカムバックで世間を席巻中の『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4、セレーナ・ゴメスとカーラ・デルヴィーニュの共演が話題の『マーダーズ・イン・ビルディング』シーズン2、Netflixの世界の視聴ランクで、常に上位をキープ。新キャラ登場で賑わう『アンブレラ・アカデミー』シーズン3の3作品。どれも、新シーズンをむかえてさらにパワーアップ。海外ドラマのレジェンドとなりうる作品ばかりなので、この波に乗り遅れないで!
3年ぶりのカムバック! パワーアップした新展開は、おかわり視聴必至!/『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4
もはや社会現象といっても過言ではない、超・人気ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が、3年ぶりにカムバック! 配信された週末に2億8,700万回視聴されたそうで、その人気を裏付けます。
3年待っただけのかいがありました。
1話あたり約36億円の制作費を投じたというシーズン4。1話あたりの尺も、一番短い3話が65分、他は70分超え、9話はなんと150分と、映画なみ。四方八方にスケールアップしていて、なんならクリーチャー(敵となる「裏側の世界」の生物)も、シーズン史上最悪(最高)に、強い&恐ろしい。ストーリー展開も終始テンションが下がることなく、ぐいぐいと作品のなかに引き込まれます。
シーズン4は、イレブンとバイヤース一家が住むカリフォルニア、ホッパーがいるロシア、そしてマイクたちがいるホーキンスと、複数の舞台で話が進み、やがてそれらが交わります。それぞれの持ち場で、成長する登場人物たち。その全員に肩入れしてしまい、今シーズンも“親戚のおばさん”モード全開で観ていました。
そして、ストレンジャー・シングスといえばファッション! 前回のレビューでもコメントした、マヤ・ホークの制服コスプレも健在で、シーズン3のアイスクリームショップの店員のマリンスタイルに続き、今回はレンタルビデオ店のブレザースタイルに、きゅん♡
また、当時を象徴するアイコニックなモチーフがいたるところにあり、それを見つける楽しみも。例えば、1話で、イレブンがホッパーについてのプレゼンをするために作った工作では、Reebokの靴箱が使われていたり、ナンシーの部屋にはトム・クルーズのポスターが飾られていたり。これらを紹介するだけで、もう一本記事を書けそうです(笑)。ディテールチェックのときは、字幕を追いにくいので、日本語吹き替え版がおすすめ。今回は、俳優・モデルとして活躍する高橋ひかるさん、元乃木坂46の新内眞衣さん、お笑い芸人・三四郎の相田周二さん、プロデューサーの佐久間宣行さんの4人が、ゲスト声優として登場しているんですよ。
なお、後半はホラー要素が強いのですが、『エルム街の悪夢』シリーズの殺人鬼フレディ役で知られるロバート・イングランドが出演しているのは、サプライズでした……といった具合に、見所&楽しみかたがいろいろあって、私はすでに2巡目。今までのシーズンと同じく、3巡目もしてしまうんだろうと思います。
そしてセットで観て欲しいのが、Netflix JapanのYouTubeチャンネルで公開されているインタビュー動画。SPURの連載でもお馴染み、ニッポンのエンタメ界を牽引するプロデューサーの佐久間宣行さんが、製作総指揮・監督・脚本を務めるマット&ロス・ダファー兄弟にインタビュー!
シーズン4のインスパイア源が、日本のアニメやゲームにあることが明かされ、興味深い。アニメ、漫画、映画、ゲームなど影響をうけた日本のエンタメ作品を、宮崎駿作品からマニアックなものまで、列挙がとまらない。ドラマに出てくるオタク少年らもひるみそうな、“ガチ勢”です(笑)。
「スマホがないので連絡をとりあえない。これが、80年代を描く醍醐味です」と、ダファー兄妹。“物理的なはがゆさ”のなか、主人公たちがどう協力しあって総力戦へと持っていくのか。ここが、今作品の山場でしょう。
ダファー兄弟は、シーズン5が最終章になることを発表しています。レジェンド作品として、歴史に刻まれること間違いなしの本作。すでに観たことのある人はおかわりを、未見の人は、その世界に足をふみいれてみて。
STORY
ホーキンスに恐怖と破壊をもたらしたスターコート・バトルから6カ月。離ればなれになってしまった仲間たちは、それぞれが不安を抱えている。そんななか、ホーキンスで新たに恐ろしい超常現象が起こり、不可思議な遺体が発見される。「裏側の世界」への終止符を打つべく、イレブンたちは立ち上がるが……。
セレーナとカーラの共演も必見! 史上最高のスコアを叩き出した、ミステリー・コメディドラマ/『マーダーズ・イン・ビルディング』
昨年末にイッキ観のおすすめ作品として紹介した、『マーダーズ・イン・ビルディング』のシーズン2が、絶賛配信中です。
アメリカのレビューサイトRotten Tomatoesでは、総合評価100%という史上最高のスコアを叩き出し、米Huluでは“最も視聴されたコメディ作品”という記録を達成。私も心の底から疑いなく「だよね」と思える傑作です。近年を代表するハイコメディ作品だと思います。
シーズン2の見所は、新キャストとして加わったカーラ・デルヴィーニュ。美術キュレーターの役どころなのですが、登場して間もなくセレーナが演じるメイベルとのキスシーンがどーん! カーラの横顔とセレーナの仕草が美しかったです。眼福……♡ プライベートでも仲のいいふたり。今後もどんな絡みを見せてくれるのか、楽しみでなりません。
ジャンルでいうと、ミステリー・コメディドラマ。約30分のちょうどよい尺で繰り広げられるテンポのいいストーリー展開、シニカルでユーモアたっぷりの掛け合いが痛快で、一日の終わりやブレイクタイムに観るのにぴったりのドラマです。シーズン2は、謎解きパートもアップグレードした感アリ。推理する楽しみが増えました。実録犯罪ポッドキャストで真犯人をつきとめるという現代的な設定もとってつけた感がなく、さもありなんと思える。自分もアパートの住人になった気分で観られる、没入感があります。
シーズン2も、セレーナ・ゴメスと、米国コメディ界の大御所であるスティーブ・マーティンとマーティン・ショートとのトリオが絶好調! 前回のレビューで「あ、後世に語り継がれるトリオが誕生したかも」とコメントしましたが、シーズン2を観てそれが確信に変わりました。セレーナ演じるメイベルと、おじさま2人の世代差が生む価値観のズレが活かされたやりとりは微笑ましい。一方、3人それぞれに孤独を抱えていて、世代が異なるからこその客観的アドバイスもあり、ほろり……なところも。この“泣き笑い&謎解き”こそが作品のコアだなと思い、3人のことがもっと好きになりました。
現在、第4話まで配信中。シーズン2から観ても充分楽しめますが、シーズン1を観て3人の個性や性格を形成しているバックグラウンドを知れば、より人物に愛着をもてて、物語に深みが増しますよ!
STORY
ニューヨークの高級アパートの住人である、チャールズ、オリバー、メイベルの3人。実録犯罪番組マニアの3人は、同アパートで起こった殺人事件を解決する。それも柄の間、メイベルの部屋で理事長のバニーが何者かに殺害される。3人は殺人犯として疑われることになり……。
新キャラ登場でさらに賑やかに!/『アンブレラ・アカデミー』シーズン3
Netflixにおいて、視聴回数は人気のバロメーター。『アンブレラアカデミー』シーズン3の配信がはじまった週は、視聴1億2,453万時間を記録。その週の最も視聴された作品となり、91ヵ国でTOP10入りという快挙。今、世界のネトフリファンとコミュニケーションをとるなら、知っておくべき作品のひとつであるかも知れません。
シーズン3の見所は、スパロー・アカデミーという対抗勢力の出現。キャラクターが一気に増え、総勢13人となり、かなりの大所帯。10人以下のアイドルグループの顔と名前を覚えるのさえ苦手な私は、相関図が手放せませんでした(笑)。
ただ、今まで同様、登場人物それぞれに役割が与えられているので、話が進むうちに多彩なキャラクターが、ストーリーを面白くしていることに気がつきます。
新キャラのスパロー・アカデミー陣営は、アンブレラ陣営に比べてダークな能力をもっているのですが、例えば、口から毒を飛ばして相手に幻覚を見せるなど、クスッとしてしまうのはご愛敬。
シーズン3は、1960年代に起きた事件や出来事を取り上げ、前シーズンに仕掛けられた伏線を回収していくので、続きで観ている人は、すっきりした気分になれます。
また、トランスジェンダーであることを告白し、エリオットと改名した、俳優のエレン・ペイジの演技も見逃せません。ドラマの中で演じていたヴァーニャも、ヴィクターに名前を変更。 NetflixのオフィシャルがSNSで「私たちのスーパーヒーローを誇りに思う。WE LOVE YOU ELLIOT! シーズン3で会えるのが待ちきれない」とツイートしたことも話題になりました。
もうひとつ、『アンブレラ・アカデミー』の魅力といえば、サウンドトラックの素晴らしさ。原作者であり、マイ・ケミカル・ロマンスのフロントのジェラルド・ウェイが制作に携わっているだけあって、毎シーズンごとに楽曲リストが話題になるのも、風物詩のひとつ。シーズン3も、Queenの名曲から、The xx、Lilly Winwoodまでと、耳からも楽しませてくれます。
シーズン4の制作も決定済。さらに新キャラが増えたらさすがにちょっとついていけるか心配なところ。シーズン1から総復習しようかと目論んでいます。
STORY
1963年の世界滅亡を阻止し、元の世界に戻ったアンブレラ・アカデミー。しかし、安堵感に浸るも“何かが違う”と気づきだす。そこに、スパロー・アカデミーが現れ対立することになり……。
【海外ドラマ ナビゲーター】
エディターR
一日の終わりを、ワインとショコラとドラマで締めくくるのが愉悦のとき。“SATC”よりゴシップガール派。映像美と緻密な脚本ものが好物。最近は動画配信サービスのオリジナル作品のチェックに余念がない。作品でいうと、Netflix『ザ・クラウン』、Apple TV+ 『ザ・モーニングショー』などがお気に入り。ドラマに出てきた名台詞をコツコツとしたためていて、いつかどこかでアウトプットするのがささやかな目標。