2022.08.17

真夏に観たいホラー映画は“知られざる掘り出しもの”3作品に注目。思わず叫ぶ、恐怖の展開がてんこ盛り!

夏にはやっぱり、背筋がゾゾッと凍るような“ホラー映画”が欠かせない! 今回ホラーマニアの人間食べ食べカエル氏がおすすめするのは、配信サイトで鑑賞できる「隠れ名作」のホラー映画3作品。火照った体が一気に冷え込むような恐怖体験を、ぜひ映画で味わってみては?

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『モクソリ』 © 2018 FIVE DAY / Kkuljam Compnay , ALL RIGHTS RESERVED.  配給/レフライト
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『ロッジ −白い惨劇−』 デジタル配信中(prime video、Apple TVほか) © 2022 Spooky Movie, LLC. All Rights Reserved. ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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『スタジオ666』デジタル配信中(prime video、U-NEXT、Apple TVほか) © 2019 Lodge Distribution, LLC. All Rights Reserved. ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

【ゾンビドラマ ナビゲーター】
人間食べ食べカエル
あらゆるジャンルのホラー映画・ドラマを網羅する敏腕ライター。人が喰べられる作品に目がない。的確なコメントと面白いつぶやきがクセになるTwitterアカウントは、@TABECHAUYOをチェック!

スタジオ666/フー・ファイターズファンもホラーファンもまとめて虜にする傑作

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『スタジオ666』デジタル配信中(prime video、U-NEXT、Apple TVほか) © 2019 Lodge Distribution, LLC. All Rights Reserved. ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

世界的ロックバンド「フー・ファイターズ」。数々の名曲を生み出してきたこのバンドのメンバー全員が出演した、とんでもないホラーコメディが誕生した。それが『スタジオ666』だ。
フー・ファイターズのメンバーは大台となる10作目のアルバムづくりのため、いつもとは違う環境を望み、とある古びた屋敷を訪れてレコーディングを始める。だがそこには恐るべき存在が潜んでいた……。

メンバーがワチャワチャしていれば多少アレな出来でも良いかなあ……と少しハードルを下げて鑑賞したら、これがメチャクチャ面白かった! 捻くれた考えで観てしまってごめんなさい!と思わず謝りたくなるくらい良く出来た作品だ。デイヴ・グロールを始め全員に見せ場があるので、ファンも大満足すること請け合い。本当にみんな楽しそうで何より! 特にパット・スメアのチャーミングな立ち振る舞いは必見である。生前のテイラー・ホーキンスの姿も沢山拝むことができる。

バンド映画としてだけでなく、純粋にホラー映画として観ても物凄く良く出来ている。恐怖と笑いのバランスが見事。デイヴのコミカルな演技も上手すぎる。また、ゴアシーンも想像以上に力が入っていて驚かされた。バンドファンもホラー好きも全員が楽しめる、文句なしのおすすめ作品だ。

ダミイダミイ
『スタジオ666』デジタル配信中(prime video、U-NEXT、Apple TVほか) © 2019 Lodge Distribution, LLC. All Rights Reserved. ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

モクソリ/お化け屋敷で味わう本物の恐怖を描く、韓国ホラーの隠れた秀作

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『モクソリ』 © 2018 FIVE DAY / Kkuljam Compnay , ALL RIGHTS RESERVED.  配給/レフライト

『箪笥』や『女校怪談』シリーズ等、これまで数多くの韓国産ホラー映画が作られてきた。その中で、良い出来にもかかわらず埋もれてしまった作品がいくつもある。『モクソリ』もそんな不遇な作品の1つだ。

受験を控えた高校生たちが、思い出作りに海に行こうと車を走らせるが、道に迷って廃遊園地に到着! 彼らは「まあいいや」というノリで、園内のお化け屋敷に不法侵入するが、そこで作り物ではないマジの幽霊に襲われる!! 恐怖描写はあまり洗練されているとは言えないが、幻想的な廃遊園地のビジュアルと洞窟内に作られたギミックが満載なお化け屋敷の美術が素晴らしい。その画力の強さに思わず引き込まれてしまう。ただ探索するだけのシーンもしっかりと見せ場として機能しており、やはり映画において画作りって重要だな、という当たり前のことを再認識した。

ストーリーはオーソドックスな心霊モノだが、そこに韓国の過酷な受験戦争やIMF通貨ショックといった社会問題をサラッと織り交ぜるのが巧い。通貨ショックが呪いに繋がっている作品は初めて観た。悲しい余韻の残るラストも評価したい。本作は、ここ日本では僅かな期間のみ劇場公開されたのち、有料配信へ直行している。そんな背景もあってか、あまり話題になっていないのが残念だ。もし機会があれば、ぜひ鑑賞していただきたい1本である。

ダミイダミイ
『モクソリ』 © 2018 FIVE DAY / Kkuljam Compnay , ALL RIGHTS RESERVED.  配給/レフライト

ロッジ −白い惨劇−/オーストラリアの邪悪職人が放つ戦慄の家族ホラー

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『ロッジ −白い惨劇−』 デジタル配信中(prime video、Apple TVほか) © 2022 Spooky Movie, LLC. All Rights Reserved. ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

『へレディタリー/継承』や『ダーク・アンド・ウィケッド』、日本に未上陸の『Caveat』など、ジャンプスケアを始めとした即物的恐怖を避けて、じわじわと追い詰める厭な恐ろしさを味わわせるタイプの作品が増えている。『ロッジ −白い惨劇−』もその系統の作品だ。

この映画、設定の時点でもう逃げ出したくなるほどキツイ。自殺により母親を失った兄妹。父親は僅か1ヵ月後に再婚する。当然だが子供たちは親に反発する。そんな中で父親は、家族で人里から離れ雪に覆われた山荘を訪れ、新しい母親と子供たちの仲を深めようとする。だが父親が急用で不在に! 母親と子供たちだけが残され雰囲気は険悪に。そんなタイミングで追い打ちをかけるように不可解な出来事が発生する!

どうでしょうか。この最悪に最悪を重ねた展開。現実に起こりうる厭な展開を少しだけ誇張して、これ以上ないほどに後味の悪いストーリーに仕上げている。人間の悪意を、悪夢のような映像と共にこれ以上ないほどに見せつけていく恐るべき作品だ。
そんな本作を手掛けたのは、『グッドナイト・マミー』でもウワア……となる展開を見せてくれたオーストラリアの邪悪職人、セヴェリン・フィアラとヴェロニカ・フランツ。まだ手掛けた作品は少ないが、人の厭な一面を描くスキルの高さは既に証明されている。今後どんな地獄を見せてくれるのか、非常に楽しみである。

ダミイダミイ
『ロッジ −白い惨劇−』 デジタル配信中(prime video、Apple TVほか) © 2022 Spooky Movie, LLC. All Rights Reserved. ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント