世界中でシンドロームを巻き起こしている『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』に加え、医療×法廷×復讐劇の韓ドラの人気ジャンルを詰め込んだ『ドクター弁護士』、韓国初の“軍法廷”を題材にした注目作であり、悪役で大ブレイクを遂げたアン・ボヒョン初主演作の『軍検事ドーベルマン』など、近年新たな「法廷」ドラマが続々と誕生。そこで今回は、脚本の切り口も、演出の見せ方も、従来とは異なる良作の最新法廷ドラマ4選をピックアップ!
なぜオ・スジェなのか/主演俳優としての確かな実力を改めて証明
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オ・スジェ役の主演ソ・ヒョンジンが凄すぎです。時代劇もラブコメもヒューマンもオールマイティにこなせて、どんな作品だってピリリとコク味に仕立ててしまう凄腕。実力派ひしめく30代俳優の中でも、その上手さはもはや別格といえるかもしれません。で、本作はそんなヒョンジン初のリーガルサスペンス。大手法律事務所TKに所属するオ・スジェは、どんな案件も冷徹に処理して勝ち続ける超一流のスター弁護士。でも、実は高卒であるがためのなき力を得るため、なりふり構わず昇り続けてきたという経緯があるわけです。ドラマ序盤は、だからなのか戦場に赴く女性兵士のように誰にも1ミリだって心許さないぞ的面持ち。何せ、オープニングからして、純白ワンピースを血に染めて登場し、でもって顔についた血しぶきをクールに拭ちゃう衝撃的なカット。な、何が始まるのぉ!と、その表情一つで一気に引き込む手練れ感なわけです。
で、物語は、TK法律事務所の次期代表弁護士の座をつかんだスジェが、ある国会議員の性的暴行事件を担当する中、被害を受けたと主張する女性が墜落死したことから始まるのですが、その責任を問われてスジェはロースクールの教授に左遷……。そんな重苦しい流れではありますが、そこにそよそよ癒しの風を運ぶのがロースクールの学生チャン(ファン・イニョプ)。実は彼、10年前にある殺人事件の容疑者に仕立てられ有罪判決を受けたのですが、その時、唯一無罪を信じてくれたのが、当時はまだ力なき国選弁護士だったスジェ。で、スジェの女性兵士の鉄仮面がチャンの出現により徐々に解きほぐされていくという展開なのですが、なんとラブ命の私が、それはさておき釘付けにされたのが、スジェとTK法律事務所の代表テグク(ホ・ジュノ)の対決。このテグク、権力も金も人脈も自在に操るラスボス的な敵役。誰が見てもこいつが事件の黒幕だろうとわかるのですが、巨大な力を持っているがゆえに、証拠という隙を一切残さないのはもちろん、途轍もない攻撃を次々と繰り出してくるわけです。瀕死の白鳥状態に追い込まれるスジェは、テグクの悪を暴くことができるのか。詰めの甘さが気になる部分も多々ありはしますが、それでも法廷サスペンスの面白さは一気見したくなる力強さ満々。
そして、何よりやっぱりヒョンジンの天才的演技っぷりです。穢れなき10年前の清純スジェと、武装して闘う鉄仮面スジェと。表面だけでなく心の佇まいまで一変させて見せる圧巻の実力。必見です。(さすらいのライター山崎)





