2月から怒涛の配信ラッシュを繰り広げている最新韓国ドラマ。なかでもNetflixの日韓同時配信作品が兎にも角にもアツい! 1997年のIMF通貨危機を背景に滲ませながら、若者たちの夢と希望と人生を描いた『二十五、二十一』や、『愛の不時着』で世界中の人々を虜にしたソン・イェジン主演の『39歳』、さらに“Netflixの息子”との異名を持つソン・ガンとロマコメ女王のパク・ミニョンの恋愛ドラマ『気象庁の人々: 社内恋愛は予測不能?!』など、パワー俳優たちがゴロゴロ出演中! そこで今回は、韓ドラ好きエディターがとにかくリアタイを強くお勧めする、新作韓ドラ4作品をご紹介します。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手女優&俳優の発掘が趣味の領域に。
二十五、二十一/こだわり抜いた演出にも脱帽する良作春ドラマ!
ナム・ジュヒョクは本当に作品選びが上手いなあと思います。『恋のゴールドメダル』や『スタートアップ: 夢の扉』、そして号泣の『まぶしくて』などなどなど、そのほとんどが良作。で、まだ7話までの視聴ではありますが、この作品もきっと彼の代表作のひとつとなるに違いありません。
舞台となるのは、IMF通貨危機が韓国を直撃したあとの1998年。ドラマのヒロインは、キム・テリ演じるフェンシングが大好きな高校生ナ・ヒド。負け続きで心折れながらも、夢は国際大会出場なのですが、経済危機のあおりで、なんと高校のフェンシング部が廃部に。ヒドは、憧れのオリンピック金メダリスト、コ・ユリム(ボナ)が通う高校へ転校しようと画策するのですが……。その最中、ヒドが出会ったのがジュヒョク演じるペク・イジン。彼も経済危機のあおりを受けたひとりで、父親の会社が倒産し、一家は離散。通っていた一流大学を休学し、いくつものバイトを掛け持ちしながら就職試験に落ちまくるというかなりつらめな境遇。私だったら、完全にやる気をなくしてふてくされるところですが、この2人は違います。倒れても傷ついても、明日を諦めることなく前に向かう……。そんなまばゆいほどにキラッキラな青春の数々に、まだ折り返し地点なのに、もう何度、涙で心のお洗濯をしたことか。
特に2話の水道噴出シーンと、7話の誤審エピソードは、2人の美しすぎる絆に号泣。実年齢31歳のキム・テリの高校生役は、驚くほどにナチュラルで、そのどこまでも前向きに光り輝く明るい存在感は、それだけで観るものを勇気づけてくれます。7話では、23歳と19歳という2人ですが、タイトルでも示される25歳と21歳は、2人が恋に落ちる年齢なのだそう。ということは……。これまたますます先が楽しみではありますが、気になるのがナム・ジュヒョクです。常日頃、彼を見ると、実体があるようでない陽炎みたいな特異な存在感だなあと思っていたのですが、それゆえに、イジンがこの先、消えてなくなってしまうのではと気が気ではありません。ドラマは、現在のナ・ヒドのひとり娘キム・ミンチェが、母であるヒドの高校時代に書いた日記を読み進める形で展開されるのですが、ミンチェの姓が“ペク”ではないことが気になるのは私ひとりだけなのでしょうか。(さすらいのライター山崎)
39歳/3人を通して思わず自分に問いかける。“人生とは?”
作品の時代背景もあって、春ドラマのなかで(個人的に)大優勝は『二十五、二十一』なのですが、本作のエナジーもやはり只事ではない……。なんと言っても『愛の不時着』で世界を熱狂させた新婚ほやほやのソン・イェジンと、ミュージカル出身の圧倒的な演技力にしびれる『賢い医師生活』のチョン・ミド、同じくドラマ出演から知名度をぐんと伸ばしたミュージカル出身の実力派キム・ジヒョンの3人がメインキャスト。18歳で出会い、39歳になった今も友情を育む3人の物語とリンクするように、全員82年生まれ。
皮膚科開業医のミジョ(イェジン)、演技指導者のチャニョン(ミド)、化粧品セールスマネージャーのジュヒ(ジヒョン)は、高校時代に印象的な出会いを果たしてから常に一緒。互いの性格も、家族も、恋愛遍歴も熟知し、なんでもないことに大笑いして、誰かが傷ついた時はとことん酔っ払って、人生を共に歩んできたチング。この3人の関係性がどこまでも本物で、物語にグイグイ引き込まれます。
いざ、登山!の瞬間に山を見て尻込み、「よし。お酒飲もう」と勢いよくUターンしたり、暇になったらすぐに「ご飯食べよ」とチャットで召集したり、ひとりの夜は缶ビール片手にスマホで韓ドラ(『それでも僕らは走り続ける』が度々登場)を観たり、チャニョンの恋愛を巡ってミジョが本気で激怒したり、些細なやり取りから喧嘩の仕方までとにかくリアル。特にミジョとチャニョンの泣きの演技は桁違い。彼女たちの感情が心に入り込み、気づけばこちらも涙……。
当然おばあちゃんになっても一緒だと思っていた30代ラストの年に、この中の誰かがいなくなるなんて当人たちは想像できるはずもない。ドラマ配信前の番宣動画を観て私と同じように「もしや……?」と勘づいた人も多いと思うけれど、予感は見事的中。物語序盤で1人が余命宣告を受けたことが発覚します。年齢の捉え方は人それぞれですが、亡くなるには早すぎる39歳。誰にでも起こり得ることだからこそ、共感して、感情移入して、絶望と希望の間で気持ちがグラグラと揺らいでしまう……。自分自身や大切な人が余命を告げられたら、限りある時間を、最後の瞬間を、どう過ごすのか、過ごしたいのか。エピソードが配信されるたびに、怒って、泣いて、笑いながら、彼女たちと共に自分に問いかけています。(エディターK)
気象庁の人々: 社内恋愛は予測不能?!/気象庁を舞台に繰り広げられる新たなロマンス
気象庁が舞台。その目の付けどころが心憎いなあと。ありそうでなかった気象にまつわる人々のお話は、それだけで新鮮だし、何よりお天気の移り変わりは、人生そのもの。恋愛はもちろん、仕事に家庭に人間関係に、快晴の日もあれば、突然の嵐に見舞われることだってあるわけでして。そして、気象も人生もその先を予測するのがなかなか難しい……。
天気のように目まぐるしく変わるそんな人々の悲喜こもごもを、小気味よく軽妙に、かつ丁寧に映し出しているのがこのドラマ。単なるラブコメとあなどるなかれ。そのセンス、只事ではありませんから。主演はラブコメ女王のパク・ミニョンと、顔面国宝ソン・ガンという美しすぎる組み合わせ。ソン・ガン好きの私としては、常々、彼のイケメン前提ではない“ふつう”のお役を切望していただけに、この気象庁勤めの公務員というとびきり“ふつう”の設定は、まさに待ってました的。で、ドラマは、パク・ミニョン演じる専任予報官ハギョンの破局から始まる、いきなりの大荒れスタートです。ハギョンは、若くして課長に抜擢されたバリバリのエリートキャリア。社内恋愛中の報道官ギジュン(ユン・バク)との結婚も間近に控え、まさに順風満帆。と、思いきや、そのギジュンが他の女性(ユジン=気象庁詰めの記者)とベッドインしているところを目撃し、一気に暗雲立ち込める展開に。
実はギジュンの相手ユジンは、ソン・ガン演じる特報予報官シウの同棲相手なのですが、シウもユジンから突然の別れを告げられるという。社内恋愛コリゴリのハギョンですが、新たに部下となったシウとなんと再びの社内恋愛へ。マジか。ということで、春の嵐吹き荒れる気象ロマンスが展開するのですが、「体感温度」「視程」「局地的大雨」などなど、気象用語になぞらえたドラマ展開も巧みかつおしゃれで、現在6話まで視聴中の私の中では王道ラブコメランキングでも上位クラスのクオリティ。2人の社内恋愛の行方はもちろん、ますます露呈するギジュンのおマヌケっぷり(彼をバッサリ斬り捨てるミニョンが痛快)も、妻と娘から邪魔者扱いされる単身赴任帰り予報官の今後も、夫が休職したいと言いだすレーダー分析官のお話も、我関せず的予報官のこれから始まりそうな恋バナも、どれもこれも楽しみでしかありません。(さすらいのライター山崎)
社内お見合い/観ているだけでエナジーチャージできる最新ロマコメ
プデュシリーズのワンピックだったキム・セジョン。近年女優としてメキメキと成長していますが、前作の『悪霊狩猟団: カウンターズ』とは打って変わった姿がまあ楽しい。酒乱シーンやギャグ顔披露をはじめ、ロマコメでここまでできるのかと正直ギャップを感じるあっぱれ!の演技の連続。しかもセジョン演じるハリの友達役ヨンソには、学校シリーズで共演したソル・イナ。マニアには嬉しすぎる世界観です。頭を空っぽにしてロマコメの世界に没頭できるのは、細やかな演出に富む韓国クオリティあってこそ。
財閥令嬢のヨンソにお見合いの話が舞い込み、これまで同様にハリに代役を頼んだのが事の発端。過去のお見合いはすべて渾身の“ヤバい人”演技で相手を撃退したハリでしたが、お見合いの場に現れたのは、ハリが勤める大手GOフードの社長テム(アン・ヒョソプ)。ネジが1本ぶっ飛んでいるテムには一撃も当たらず、結婚に前向きな姿勢。社員であることがバレるわけにもいかず、苦しい嘘に更に苦しい嘘を重ねていって次第とラブな関係に……と想像通りの展開。なんですが、前記したセジョンの演技然り、喋り方が若干時代劇入っているヒョソプの表情然り、先がわかっていても笑える演出が多く、従来のロマコメ色は残しながらも、独特のギャグセンスを入れ込んでいる。ハリのせいでこの先、始祖鳥を見聞きする度に笑ってしまいそう!!
そして本作にいい旨みを生んでいるのが、テムの祖父でGOフード会長役のイ・ドクファです。未だ『赤い袖先(原題)』ロス故に感情がとっ散らかっていますが、韓ドラお決まりの財閥イメージではまったくないのがミソ。孫の見合い相手をせっせと探しながらも、国際結婚でも良い、愛する人と結ばれて欲しいという優しいハラボジです。秘書室長のソンフン(キム・ミンギュ)といつも一緒にいるため、「もしかして付き合ってるのか?」とごく普通に聞いてしまうところも好き。さらに意地悪な財閥家族が息子の思い人(ヒロイン)をいじめる作中のドラマ『がんばれ、クムヒ!』を会長が観ている設定で、これまた絶妙な笑いを誘ってくるんですよ。脳天気な会長のコメントに思わず吹いた豚カツシーンは特にお気に入り。ソンフンとヨンソの秘書×財閥令嬢の恋愛模様もときめくし、意外と見どころ盛りだくさんで飽きません。(エディターK)