あっという間に2023年も半年が過ぎ、折り返し地点。海外ドラマ界は一段と賑やかになり、今期も多くの良作が誕生しました。そこで、今まで紹介した作品群から、独断と偏見で選び出した、マストで観て欲しい3作品を紹介します。それぞれ異なる視点から視聴者を引き込み、夢中にさせてくれる良作たちです。夏休みや秋休みの時間を充実させるだけでなく、みなさんの“ドラマライフ”に新たな風を吹き込んでくれる作品となりますように。
1位 『YOU -君がすべて-』/多様性の時代の今こそ、必見の作品
海外ドラマの人気度の指標のひとつに「シリーズ化されるか否か」があるように思います。あくまで自分比ですが、シーズン3までは多くの作品が辿り着く。シーズン4から失速する作品が多い印象です。今回選んだ『YOU -君がすべて-』は、最新作であるシーズン4で、舞台をアメリカからイギリスに。主人公のジョーが追うのではなく、追われる立場になるといった風に、ベースとなる設定を変えてきましたが、これが大正解! 賛否はもちろんあるものの、作品のマンネリ化を防げたと思います。
この作品の推しどころは、主人公ジョーが、非常に人間らしいキャラクターであるというところにあります。彼は、誰もが持っているような愛情や欲望を抱いていますが、それをコントロールすることができずに暴走してしまうのです。このドラマは、ジョーというキャラクターを通して、人間の心の闇を深く掘り下げています。自分を含め人間なら誰もが、ジョーになりえるんだというのを、反面教師として見せてくれます。
もちろん、エンタテインメントとしても秀逸。いい意味で“裏切られる”スリリングでショッキングなストーリー展開は、最後まで目が離せません。サイコスリラードラマが好きな人はもちろん、人間の心の闇に興味がある人にもおすすめの作品です。今の時代だからこそ、観ておきたい作品ですよ。
なお、続編はなく、今シーズンで完結といわれています。違う登場人物の目線の、スピンオフを期待したいところです!
2位 『エミリー、パリへ行く』/共感度No1! 元気をくれる、観るサプリ
続いては、この上半期、私がもっとも“おかわり視聴”した、『エミリー、パリへ行く』です。現在、シリーズ3が配信中。約30分尺で、サクッと観られるのに、物足りなさがない。すぐ続きを観たい!という衝動はないものの、毎日観ても飽きるわけでもなく、「さて、エミリータイムだ」と、ほどよい距離感で観られるのがポイント。パリの街並、しゃれたレストラン、エミリーはもちろん、出演者のカラフルなファッションとパリの街並が眼福。視覚から栄養補給できます(笑)。
リリー・コリンズ演じるエミリーがパリの文化やしきたり、お作法に順応しながら、仕事や恋愛を通じて新しい自己を発見していく様子。忖度のない、若さ、野心、ときに楽観的なアメリカンスピリットが物語全体に活力を与えます。プレッシャーの多い現代だからでしょうか。エミリーの真っ直ぐな生き方に、エールを送りたくなるのですよね。近くにいたら“ちょっと痛い”人かもしれないけれど(笑)。落ち込んだときや、エネルギー不足を感じたとき、観ると元気になるサプリのような作品ですから、最近なんだか元気がない人に、全力ですすめたいです。
“SATC”やゴシップガール同様、作中のファッションが話題になりますが、この作品は、ファッションは競うものではないということを教えてくれるように思います。ユーモラスでありながらも作品全体が心地よいムードで流れるのも推しどころ。いわゆる「悪人」がひとりも出てこないのも、多くの人に愛される理由なのかもしれません。
3位『5ファースト・デート』/観れば恋愛上手になれる!? 今期イチ推しのリアリティショー
海外ドラマの配信が増えたことで、世界中のリアリティショーを視聴できるようになりました。今期観たなかでの推しは、なんといっても『5ファースト・デート』です。
恋人募集中の主人公が、同じ場所で、異なる5人とデートをして、相手を見定めるユニークな設定。デートの相手によって、主人公が魅力的に見えたり、イマイチだったり。いわば、他人のデートをのぞき見するのですが、恋愛云々よりも、コミュニケーションの見本市みたいで、人間の心理への深い洞察を促してくれます。
主人公が多様性に富んでいるのも面白さのひとつ。バックグラウンドや年齢、ジェンダー、職種などもバラバラ。人間の心理の変わらない根っこの部分と、環境によって左右される思考回路などが見えます。
もちろん一番のクライマックスはカップル誕生。出会ったばかりのふたりが徐々に親密さを深め、互いを理解し、心を開いていくさまは、ドキドキして胸が高まります。異なる背景やライフスタイルを持つ参加者たちが、恋愛における自身の価値観に気づき、成長する過程も見逃せません。
また、スタイリッシュなデートスポットやサプライズな展開も本作の魅力のひとつ。人見知りな人、デートが苦手な人、デートから先の展開へ持ち込めない人はもちろん、恋愛上手な人も楽しめる作品ですよ!
【海外ドラマ ナビゲーター】
エディターR
一日の終わりを、ワインとショコラとドラマで締めくくるのが愉悦のとき。“SATC”よりゴシップガール派。映像美と緻密な脚本ものが好物。最近は動画配信サービスのオリジナル作品のチェックに余念がない。作品でいうと、Netflix『ザ・クラウン』、Apple TV+ 『ザ・モーニングショー』などがお気に入り。ドラマに出てきた名台詞をコツコツとしたためていて、いつかどこかでアウトプットするのがささやかな目標。