【2023年上半期ベストホラー】最新韓国バイオレンスに進化系人形ホラーなど、今年観るべき最恐ホラー3選!

2023年も半年が過ぎ、ホラーマニアをうならせる良作が続々と誕生。そこで大のホラーマニア・人間食べ食べカエル氏が、2023年上半期スペシャルベスト3作品をセレクト! 上半期No.1の出血量!?と驚く韓国バイオレンス『オオカミ狩り』や、なぜか“ベニー”を好きになること請け合いの進化系人形ホラー『ベニー・ラブズ・ユー』など、内容が気になって仕方がないホラー映画をぜひ堪能してみて。

『オオカミ狩り』/今年いちばんの出血量で観る者を襲う!韓国発の劇薬バイオレンス!

ホラー映画 オオカミ狩り
『オオカミ狩り』

韓国からまたとんでもない映画が誕生しましたよ。人間ドラマは限界まで最小限に留め、その代わりひたすら殺し合いが繰り広げられ、全編にわたって血しぶきが舞い散る、超殺戮特化型の激烈バイオレンス・アクション・ホラー。それが『オオカミ狩り』だ! 2023年の上半期で最も出血量が多かった映画は?と聞かれたら、即答で本作と答える。少しマイルドになりつつあった韓国バイオレンスに活を入れるかのような、凄まじい映画である。

逃げ場のない船上で、脱獄した凶悪囚人たちと暴力警官たちが殺し合う。それだけでも十分に最悪なのに、本作の場合は、そこに殺人改造人間まで参戦するのだから大変だ。登場人物がかなり多いのだが、それを恐ろしいペースで殺しまくっていく。思わず「え?これ最後まで尺持つんですか?」と心配になるほどだ。こんなに人の命が軽い映画、久しぶりに観たよ。そして案の定、ほとんど生き残りがいなくなった……と思ったらなんと!死に要員が追加されます!! なるほど、この手があったんだな。これは映画界における発明ではないだろうか。無駄なドラマを間に挟んで人死にのペースを調整し、むりやり尺稼ぎをしなくても、足りなくなったら単純に人員を追加すればいいのだ。これによって、無限に死人が増え続ける激ヤバ映画が完成した。恐らく今年は、これを超える殺戮量の映画は出ないだろう。物理的に血湧き肉躍る傑作だ。

『ベニー・ラブズ・ユー』/絶対ベニーが好きになる!愛着型血みどろ人形ホラー!

ホラー映画 ベニー・ラブズ・ユー
『ベニー・ラブズ・ユー』

人形ホラーは数あれど、ここまで愛が心に深く突き刺さる映画はなかなかない。幼少期をずっと一緒に過ごした人形ベニーを手放さないといけない子ども部屋おじさん、という設定からしてすでに辛い。長い時間をともにした持ち主の主人公に捨てられて、愛情が歪んでしまったベニーは、彼に認められるために邪魔な周りの人々を排除(=抹殺)していく。ド派手に内臓をブチまけて得意げに「ジャジャーン!」と言うベニー。なんて愛らしいんだ!! やられる方からしたらたまったもんじゃないけど、傍から見ていると「ベニー!もっとやっていいよ!」と応援したくなってしまう。死体が増えるたびに愛着が湧いてくる唯一無二のホラーである。

それだけにとどまらず、ベニーの更なる暴走、そしてハイテクオモチャとの対決といった面白すぎる見せ場も盛り込まれており、そのサービス精神に驚かされる。最後の最後まで楽しい見どころがたっぷりで、見終わった後は本当にお世辞抜きで「良いもの観たな……」と感傷に浸ったことを覚えている。限定的に劇場公開されていたこともあって、世間での認知度はあまり高くないが、機会があればぜひ観ていただきたい一作だ。『トイ・ストーリー』が好きでグロOKな人なんかにはグッサリ刺さるのではないかと思う。

『SMILE スマイル』/逃げ場を奪う笑顔の呪い……この恐怖は後を引く

韓国ホラー映画 スマイル
『SMILE スマイル』Prime Videoで視聴可能。

本作は、2022年に全米で特大ヒットをかまして、恐怖の笑顔旋風を巻き起こしたホラーである。野球スタジアムの観戦席に笑顔全開のヤバ気な人が佇むという、飛び道具的な宣伝がSNSでバズッたことも記憶に新しい。色々と外側のインパクトが強い作品だが、その中身は非常に手堅く作られた良質な作品だ。怯えていた人が突然満面の笑みを浮かべて自ら命を絶つ。それを目撃した人は笑顔の人々が迫ってくる幻覚に追いつめられ、やがて同じ運命を辿る。そんな、笑顔を媒介とした呪いがテーマとなる。『リング』や『イット・フォローズ』的な伝染系のストーリーを丁寧に描き、逃げ場が一つずつ確実に失われていく地獄の恐怖を生み出すことに成功している。

主人公を演じるソシー・ベーコン(ケビン・ベーコンの娘さんです)の憔悴演技が素晴らしく、本作の恐ろしさを引き上げている。また、本作はジャンプスケア描写(突然大音量とともに刺激的な映像を放つびっくらかし演出)が抜群に上手い。どんなに身構えていても確実にビビってしまう。そのタイミングとハズシが絶妙で、ここで来るかなと予測したわずか後ろで炸裂させたりと、まんまと監督の掌で転がされてしまった。これを劇場で鑑賞していたらショック死してたんじゃないかと思う。監督のビジョンが明確で、それが見事に映像作品へと昇華されている。本作の元となった短編『ローラは眠れない』も不気味な良作なので、併せて鑑賞することをオススメします。


【ホラードラマ ナビゲーター】
人間食べ食べカエル
あらゆるジャンルのホラー映画・ドラマを網羅する敏腕ライター。人が喰べられる作品に目がない。的確なコメントと面白いつぶやきがクセになるTwitterアカウントは、@TABECHAUYOをチェック!

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